全国各地,あれほど走っていた“国鉄型特急電車”も残り僅かとなった.でもJR東日本の中央本線の豊田電車区…ではなくて豊田車両センターには6輛編成3本が配置されていて,臨時列車などに使われてきたから,僕の行動範囲では遭遇するチャンスも多く,まだまだ“絶滅”の実感はなかった.けれど,今年はじめに1本が廃車となり,そして今月に入って残り2本が引退することも発表されたのだった.
これで残りは長野に配置の1本だけ.これは信州地区での使用が主だから,僕の目に触れるチャンスは少ない.
“こだま形”のモデルチェンジ版として183系が登場したときには,特急用なのに側扉が“2枚も”ある,食堂車はおろかビュフェの設定すらない,腰掛の背もたれがリクライニングするのはよいけれど身体を起こしたら背もたれが追い掛けてきて背中を引っぱたかれる.そもそも,同時期に製造の交直両用485系とともにボンネットがない,などと散々な評価だった.その後,ボンネットをやめた理由のひとつである“併結のための貫通扉設置”が全くといってよいほど活用されなかったために“非貫通”タイプが登場することになるのだが,“ならばボンネットを復活させてもよいではないか”という意見が,趣味人ではなく沿線の人々から出たという.それほどに“こだま形”は日本中の憧れの的だったのである.
それでもまぁ,見慣れるにつれてこの表情への違和感も徐々に薄れた.そればかりか,僕は,非貫通でヘッドサインの窓が大きくなったグループを,少し好きになったほど.
183系と碓氷峠での協調運転仕様の189系電車は,10年前には関東各地の車両基地に臨時列車用として配置されていて,関東平野では当たり前の存在だった.写真は東大宮配置のOM103編成.最終的には長野に転じて平成27/2015年まで働いた.東大宮 平成20/2008-4-28
この10年であれよあれよという間に数を減らし,今回の“さよなら運転”企画となったわけだが,その運転を前に,八王子支社では外観のみながら最後の2編成を報道公開した.
M51編成は国鉄色.今年に入ってから,先頭車側面のJNRマークも金属板ではないけれど復活している.編成は東海道本線の新宿方からクハ189-508+モハ189-25+モハ188-25+モハ189-30+モハ188-30+クハ189-10.クハ189-508だけが側窓の天地寸法が大きい.
グレードアップあずさ色のM52編成.こちらはクハ189-509+モハ189-38+モハ188-38+モハ189-41+モハ188-41+クハ189-11.こちらもクハ189-509だけ側窓の天地寸法が大きい.豊田車両センター 平成30/1018-4-19

4月22日,最後の営業列車として豊田と甲府の間の往復を終えて豊田車両センター横を走り抜けるM52編成.
残るM51編成は,あす27日のお昼前に豊田を出て,長野までの片道運転が本当の最後の花道となる.
これで関東地区ではおいそれと183・189系電車をみることができなくなった……と思ったのだけれど,大宮の鉄道博物館に“ランチトレイン”として保存展示されているのが183・189系電車であることを思い出した.
折りしも今日の午後,週末27日から始まる企画展の内覧会があったものだから,帰りがけ,久し振りに姿を拝んできた.
7月5日のオープンを目指して新館の工事が追い込み段階で,普段は先頭車の顔を拝むことができないのだが,特にお願いして撮影させていただいたのがこの写真.画面右にはE1系の先頭車がちらりと見える.新館の全貌は改めてご紹介の予定なので,楽しみにお待ちいただきたい.ちなみに車号は,向かって左がクハ183-1020+モハ189-31.右がクハ183-1009+モハ188-31.
さて,今日の博物館訪問の主目的である企画展.テーマは「明治150年記念NIPPON 鉄道の夜明け」.
明治150年を迎える今年にちなんで“日本の鉄道前史”を説き起こす展示会.重要文化財の古文書や錦絵のオリジナルに接することができる,希有の機会である.
2階のスペシャルギャラリー1で開催の企画展.入口には国産第1号機関車860形と現代の鉄道博物館を混ぜ合わせ,画面一端にはモレル夫妻も登場させせたタペストリー(?)が掛けられている.説明するのは担当学芸員の河野真理子さん.
東海道筋鉄道巡覧書.東京と京都・大阪を結ぶ鉄道ルートを比較検討するために実施された現地踏査報告書の原本.まだまだ江戸時代の風景そのものである東海道沿道の様子を,実に仔細に記録した大冊.その原本を拝むことができるのは,おそらくは初めてのこと.
勝海舟が描いた汽車の絵.勝が天皇の求めに応じて汽車の説明をした際に描いたものと伝えられる.そのほか,諸外国人が日本に持ち込んだ機関車模型のスケッチや,ジョン万治郎が描いた汽車の絵の写しなど,本当にこれまで原本に接することができなかった資料が,ふんだんに展示されている.
展示資料の総数は,明治150年にちなんだわけでもないだろうが,約150点という.ただし,錦絵などは変質をおそれて頻繁に展示替えが行なわれる予定なので,一時に見ることができるのは130点程度だという.東海道筋鉄道巡覧書なども,変色を防ぐために随時ページがめくられることになっている.すべてをみようと思えば何度通えばいいのか…….会期は9月30日までと長期に及ぶから,実現不可能ではないが.
ちなみに,いつもできのよい図録ももちろん作製されていて,税込み700円で頒布されている.この連休中の予定のひとつに,ぜひ.もしかしたら来場者1,000万人達成に立ち会えるかもしれないし.
これで残りは長野に配置の1本だけ.これは信州地区での使用が主だから,僕の目に触れるチャンスは少ない.
“こだま形”のモデルチェンジ版として183系が登場したときには,特急用なのに側扉が“2枚も”ある,食堂車はおろかビュフェの設定すらない,腰掛の背もたれがリクライニングするのはよいけれど身体を起こしたら背もたれが追い掛けてきて背中を引っぱたかれる.そもそも,同時期に製造の交直両用485系とともにボンネットがない,などと散々な評価だった.その後,ボンネットをやめた理由のひとつである“併結のための貫通扉設置”が全くといってよいほど活用されなかったために“非貫通”タイプが登場することになるのだが,“ならばボンネットを復活させてもよいではないか”という意見が,趣味人ではなく沿線の人々から出たという.それほどに“こだま形”は日本中の憧れの的だったのである.
それでもまぁ,見慣れるにつれてこの表情への違和感も徐々に薄れた.そればかりか,僕は,非貫通でヘッドサインの窓が大きくなったグループを,少し好きになったほど.
183系と碓氷峠での協調運転仕様の189系電車は,10年前には関東各地の車両基地に臨時列車用として配置されていて,関東平野では当たり前の存在だった.写真は東大宮配置のOM103編成.最終的には長野に転じて平成27/2015年まで働いた.東大宮 平成20/2008-4-28
この10年であれよあれよという間に数を減らし,今回の“さよなら運転”企画となったわけだが,その運転を前に,八王子支社では外観のみながら最後の2編成を報道公開した.
M51編成は国鉄色.今年に入ってから,先頭車側面のJNRマークも金属板ではないけれど復活している.編成は東海道本線の新宿方からクハ189-508+モハ189-25+モハ188-25+モハ189-30+モハ188-30+クハ189-10.クハ189-508だけが側窓の天地寸法が大きい.
グレードアップあずさ色のM52編成.こちらはクハ189-509+モハ189-38+モハ188-38+モハ189-41+モハ188-41+クハ189-11.こちらもクハ189-509だけ側窓の天地寸法が大きい.豊田車両センター 平成30/1018-4-19

残るM51編成は,あす27日のお昼前に豊田を出て,長野までの片道運転が本当の最後の花道となる.
これで関東地区ではおいそれと183・189系電車をみることができなくなった……と思ったのだけれど,大宮の鉄道博物館に“ランチトレイン”として保存展示されているのが183・189系電車であることを思い出した.
折りしも今日の午後,週末27日から始まる企画展の内覧会があったものだから,帰りがけ,久し振りに姿を拝んできた.
7月5日のオープンを目指して新館の工事が追い込み段階で,普段は先頭車の顔を拝むことができないのだが,特にお願いして撮影させていただいたのがこの写真.画面右にはE1系の先頭車がちらりと見える.新館の全貌は改めてご紹介の予定なので,楽しみにお待ちいただきたい.ちなみに車号は,向かって左がクハ183-1020+モハ189-31.右がクハ183-1009+モハ188-31.
さて,今日の博物館訪問の主目的である企画展.テーマは「明治150年記念NIPPON 鉄道の夜明け」.
明治150年を迎える今年にちなんで“日本の鉄道前史”を説き起こす展示会.重要文化財の古文書や錦絵のオリジナルに接することができる,希有の機会である.
2階のスペシャルギャラリー1で開催の企画展.入口には国産第1号機関車860形と現代の鉄道博物館を混ぜ合わせ,画面一端にはモレル夫妻も登場させせたタペストリー(?)が掛けられている.説明するのは担当学芸員の河野真理子さん.
東海道筋鉄道巡覧書.東京と京都・大阪を結ぶ鉄道ルートを比較検討するために実施された現地踏査報告書の原本.まだまだ江戸時代の風景そのものである東海道沿道の様子を,実に仔細に記録した大冊.その原本を拝むことができるのは,おそらくは初めてのこと.
勝海舟が描いた汽車の絵.勝が天皇の求めに応じて汽車の説明をした際に描いたものと伝えられる.そのほか,諸外国人が日本に持ち込んだ機関車模型のスケッチや,ジョン万治郎が描いた汽車の絵の写しなど,本当にこれまで原本に接することができなかった資料が,ふんだんに展示されている.
展示資料の総数は,明治150年にちなんだわけでもないだろうが,約150点という.ただし,錦絵などは変質をおそれて頻繁に展示替えが行なわれる予定なので,一時に見ることができるのは130点程度だという.東海道筋鉄道巡覧書なども,変色を防ぐために随時ページがめくられることになっている.すべてをみようと思えば何度通えばいいのか…….会期は9月30日までと長期に及ぶから,実現不可能ではないが.
ちなみに,いつもできのよい図録ももちろん作製されていて,税込み700円で頒布されている.この連休中の予定のひとつに,ぜひ.もしかしたら来場者1,000万人達成に立ち会えるかもしれないし.
※:企画展会場内は撮影禁止です.ここに掲載した写真は内覧会に際して記事掲載用として事前の許可をいただいて撮影したものです.