このブログでは2015年に紹介したきりだったようだが(でも,なんだか他にも書いたようなきもするのだけれど……),日立グループが毎年開催している,Hitachi Social Innovation Forum(日立 ソーシャル イノベーション フォーラム) 2018を見学してきた.
 昨年は,日立ハイテクファインシステムズが製造する線路設備モニタリング装置が展示されていて,今年9月号のMODELERS FILE 線路設備モニタリング装置搭載車たち”に結びついた.
 では通算20回目となる今年は?…と期待をこめ,会場である東京国際フォーラムへ出向いた,僕だった.
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会場中央のステージで展開されていた,全体説明のプレゼンテーション.

会場内は8つのカテゴリーが設けられ,さまざまな分野での日立の技術が披露されている.それらの中で,僕の興味の中心は,なんといってもURBANと名付けられた分野.まちを支える水環境や鳥獣被害対策から,マンションやオフィスビルにおける最適空間実現のための技術まで含まれるのだが,鉄道関係は鉄道車輛内装検証用VR,車載カメラシステム,列車運転支援タブレット,車輛外観検査技術などが展示されていた.
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URBANカテゴリーのエリア,ほぼ全体.中央奥で強いスポットライトをあびているのは……
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どこかで見たことがあるようなないようなデザインの運転室.この中で展開されているのは…….
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まず,車載カメラシステム.近年,防犯目的のカメラが客室に設けられる例が急増している.しかしこのシステムはそれに止まらず,車外の様子も撮影できるカメラを車体外部に装着し,ワンマン運転の列車でホームの安全確認も,より確実に行なうことができる.
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車体外板に取り付けられたカメラ.最新型の路面電車では既に実用化されているが,いわゆる本線用車輛にも展開される樋は,存外近いかもしれない.

そしてこの車載カメラシステムは,さらなる展開として,屋根や床下に取り付けて地上設備のモニタリングにも利用できるのだという.うん?そうすつろ,9月号での線路設備モニタリング装置にとってかわることもできるのか? いや,あれはレールの状態を“測定”もしているのだから,ちょっと違うのかも…….

もうひとつが,鉄道車輛内装検証用VR.
 同じようなシステムは,2015年3月号のCoffee Cupで記した“総合車両製作所の最新コンセプトモックアップ”の記事中にもキヤノンが開発したシステムが登場する.しかし今回は車輛メーカー自身によるシステムであるというのが大きな違い.
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車輛内装のカラーリングデザインのバリエーションをVR(バーチャルリアリティ)でモニターに表示するのがこのシステム.顧客(鉄道事業者)へのプレゼンテーションで大いに活躍することだろう.画面中央で浮遊する白い円筒形の物体はスプレー缶で,オペレーターが別の案に切り替える際,ノズルから切りが噴射されて色が変わるという,オアソビ(?)の度道具である.
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これは壁面に展示された,車体外観検査システム.これまで人の目が頼りだった車体外観状態のチェックを,三次元(3D)センサーに委ねようというシステム.とりわけ屋根上や床下など,目の行き届きづらい場所での活躍が期待されている.

派手な,実物車体モックアップの展示などはなかったけれど,日立製作所とそのグループの守備範囲の広さを実感するのには好適な催しであった.

なおこのフォーラムはきょう18日と明日19日の二日間の開催.入場は無料で,特段の資格は問われない.19日の昼まで事前登録(無料)を受け付けている.なお,訪問される方は,あくまでも純粋な技術展示であり,趣味的なことがらは全く含まれていないことを認識の上で,お楽しみいただきたいと思う.

※ここに掲載した写真は,報道関係の資格で入場し,撮影したものです.