先々週のここで,40年ぶりのJR貨物吹田機関区訪問をお話しした.その結果は,好評発売中のとれいん3月号で発表している.同行してくださった来住憲司さんと吹田の駅で待ち合わせ.この駅を利用するのも,何年ぶりのことだろうか.
 吹田の機関区へは,この駅で電車を降りて,本線と吹田工場との間の路地のようなところを延々と歩いて…木造の冷蔵車が留置してあったのを覚えている.今にして思えば,なぜ写真を撮らなかったのか…通ったものである.
 それよりなにより,駅に隣接してアサヒビールの大工場があり,数え切れないほどの有蓋車が留置されていたのも,印象的だった.そういえば,昭和40年代ごろまでの京阪神間には,ここ吹田を筆頭に,尼崎には麒麟麦酒,向日町にはタカラビール…のちに麒麟麦酒になった…,西ノ宮にはアサヒビールの工場があって,いずれも多くの貨車がたむろしていたものである.吹田と西ノ宮のアサヒビール工場は今も盛業中だが,貨車の姿は,とっくの昔に消え去ってしまった.

ところが,久し振りに吹田の駅に降りたってみてびっくり,ホームの目の前を,31フィートコンテナがゆっくりと移動してゆくではないか.
 ナニゴト? と目を凝らしてみれば,そのコンテナは貨車に載っているのではなくて,トレーラーで移動中であった.どうやら,新しくできた吹田貨物ターミナルの構内通路として,かつてのビール工場荷役場用地が活用されているようなのだ.
 しかも,工場にはその取付道路へのゲートが設けられていて,コンテナでの出荷に活用されている様子.どうせなら線路を敷いてトレーラーを介在させずに出荷すればよいのに…と思うのは,きっと“好き者の戯言”ではあるのだろうが.
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アサヒビール工場のゲート前を通過する,日通のUV48A-38070.31フィートのウィングコンテナである.“ECO LINER”という愛称がある.
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吹田操車場…ではなくて,吹田貨物ターミナル方面をのぞむ.目の前の高層ビルにはびっくり仰天だが,たくさん並んだ線路は,むしろ見慣れた吹田の風景.取付道路は急勾配を下って本線の下を潜り,ターミナル駅の荷役場へと向かって行く.ほぼ同じアングルで撮影した,40年以上前の写真もあるはずなのだが,探し出しているヒマがなかった.また次の機会のお楽しみに!
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ほどなく,今度はJOT(日本石油輸送)の31フィートウィングコンテナ,U50Aらしいのだが,番号を読むことができない……39543…だろうか.載せられているのが味の素物流のトレーラーだから,味の素の製品か原料を輸送している?東京貨物ターミナルと大阪及び福岡貨物ターミナルの間の専用とされている.

さて,無事に撮影を終えて駅へと戻ってきた僕である.駅前に見つけたのが,この風景.
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なんともシュールな情景である.鉄道の車輪が1枚だけで自立している.車軸もない.でもレールらしいものは敷かれている.“鉄道の町”としての吹田を象徴したモニュメントなのだろうか.

そして懐かしい地下の改札口からホームへと戻る.木製柱の上屋は,橋上駅を新築した際に分断されてしまっているが,それを挟んで南北は,元のままで健在だった.
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財産票を探している余裕はなかったが,戦災に遭っていないとすれば,昭和初期の複々線化,電化のころの造作だろうと思う,ちょっと古風に見える梁の組み方である.
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京都方面行きのホームを見れば,同じ構造の上屋を見渡すことができる.

吹田は,長らく緩行線の区間電車折り返し駅だった.その当時,どのホームでどうやって折り返していたのか,すぐには思い出せない.西の甲子園口だって,今では面影がほとんど失われているけれど.
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その京都方面行きホームの大阪方を眺めれば,なんと,優雅な軒飾りが残っていた.柱は古レール! しかし時は既に遅く,乗るべき電車がもう,こちら側のホームに差し掛かっていたのだった.

また,吹田駅へ行き直さねばならなくなったではないか.

※2019.03.11:西ノ宮駅隣接のアサヒビール工場は廃業し,更地になったとのこと.よって抹消.