きょう,3月28日に相模鉄道では12000系電車の報道公開をかしわ台車両センターで実施し,併せてJR東日本線への相互直通運転開始日を発表した.
 12000系電車は,その,JR東日本線への乗り入れ用新型車である.
 乗り入れ運転は,相模鉄道が同社の西谷駅から分岐する新線を建設して横浜羽沢駅隣接地で横浜貨物線に接続,新宿方面へ直通する.JR東日本からは埼京線電車が海老名まで乗り入れる.

ということで,相模鉄道12000系は,JR東日本のE233系電車をベースにして設計された姉妹車……ということではあるのだが,大きく異なった外観の電車に仕立てあげられた.
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この報道公開は,JR東日本との相互直通運転や沿線のデザインブランドアッププロジェクトの意義紹介.そして車輛解説から始まった.写真は,12000系の解説をする関根雅人 車両課長.
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そして検修庫の海老名方から,12000系電車がお目見え.隣りの線路では東急線乗入れ用20000系が,そしてさらにその脇では大先輩である2005もそっと新人の披露を見守っていた.

姿を見せたのは1輛目の半分だけ……全体像は,お預けとなった.
 それでも,顔の表情はもちろんのこと,総合車両製作所のsustinaコンセプトを採用した,レーザー熔接による継目や凹凸のないスムーズな車体側面や側板と一体化した雨樋など,この電車のユニークな点は充分に観察することができた.
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背景の映り込みを利用して,車体の平滑さを観察する.京急電鉄の最新1000形グループとともに,これまでのステンレス鋼製車体のイメージを完全に覆す仕上がりである.

ステンレス鋼製車体に塗装を施すというのは,塗装に関するメンテナンスの軽減という,ステンレス鋼採用のメリットを捨て去ることになるわけだけれど,周囲の風景との融合ということでは,望ましいことといえるかもしれない.

続いて,かしわ台から西横浜まで試乗会が設定されていたのだが,その出発前には直通運転開始の発表が,JR東日本と共同で開催された.
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相模鉄道の滝澤秀之社長とJR東日本横浜支社の廣川 隆支社長,そしれそれぞれのマスコットによって,11月30日に開業と発表された.

先日までは2019年度下期とだけ発表されていたのだけれど,これで年内に横浜貨物線から大崎を経て山手貨物線で新宿“方面”へと,相鉄電車が東京都内へ姿を見せることが確定したわけである.ちなみに,横浜貨物線と品鶴線が合流するのは新川崎と武蔵小杉の間なので,直通列車は新川崎には停車しない.

さて話は12000系に戻る.車両センターで乗り込んだ車内は,同社の11000系や20000系との共通点とともに,新しさも随所に感じさせるものであった.
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4号車の客室を海老名方から横浜方へ向けて見る.座りやすく立ちやすい独特の腰掛や,相鉄らしさとして20000系で復活した鏡とともに存続している.

色合いはグレーベースでガラスや金属を多用した直線的なデザインは20000系から踏襲されたが,デザインの“流れ”は20000系の上下方向から一般的な前後方向へと変更している.照明は調光・調色機能付きのLED.

運転室は直通先であるJR東日本の車輛との操作統一性を重視した機器配置となっている.
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三ツ境付近を走行中の12000系試乗列車.映り込みはご勘弁いただくとして,基本的な機器配置や色遣いなどは解っていただけることだろう.

試乗列車は,新たに分岐駅となる,変貌著しい西谷を通過,星川で営業列車をやり過ごして西横浜に到着,留置線に転線してバスへの乗り換えとなった.

バスでどこへ向かうのかといえば,昨年1月18日付けのここで“相模鉄道20000系電車 ついにお披露目!”と題する記事中でも紹介した,羽沢横浜国大の駅.
 1年ちょっとの間に,工事は大幅に進み,今日はここでレール締結式が催されることになったのだ.
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現代のレール締結式は,ゴールデンスパイクを打ち込むということもなく,締結バンドロールタイプの締結装置を器具によって締め付けるだけという,あっさりした催しであった.このあと,“通り初め”としてモーターカーが目の前を通過していった.
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架線も張られ,いつでも電車が走ることができるようになった新線.両側が横浜貨物線への接続線路.真ん中の2本は新横浜経由で日吉へ向かう.架線は,吊架線が饋電線を兼ねるハイパーインテグレート架線を採用している.吊架線も銅色に光り輝いているのは,そのためである.


入線試験は間もなく実施されることになっており,続いて7月か8月には習熟運転も始まる予定とのことである.
 ちなみに,12000系は6編成が製造されることになっている.開業までには第5編成までが用意され,残りは追って落成の予定である.
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完成間近の駅本屋全景.これを撮影して,本日のプレストリップは終了となった.

そして帰宅後に,いただいた資料と首っ引きで,このブログを執筆し,ようやく長い1日がおしまいとなった.

12000系は4月に営業運転を開始する予定だが,その直前,4月13日には相模大塚駅構内で新型車輛デビュー記念撮影会を開催する.会場内では記念グッズや記念入場券セットの販売も実施の予定.時刻は10時から15時まで.入場は無料である.

※2019.04.15:架線の方式修正