今週の火曜日,春の陽気に誘われて芦の湖まで出掛けてきた.前回の訪問は一昨年秋のことで,大雨と風に見舞われたものだから,再挑戦という意味もある.一昨年秋の出来事は,とれいん本誌の2017年11月号Coffee Cupに“ロマンスカーで、箱根へ。プルマン車とスイーツを味わう”と題した訪問記でご報告申し上げているから,ご記憶の読者も多いことだろう.
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当日は,やや雲が多い目ながらも春…というより初夏の陽が射す空模様.朝7時前の小田急新宿駅は既にラッシュアワーの様相を呈しており,到着した“モーニングウェイ92号”からは大勢の通勤客が降りたっていった.そして乗るのは折り返しの“はこね51号”.GSEこと70000形.営業列車は初体験である.

列車は,実に何ごともなく歩みを進めて箱根湯本に定時到着.箱根登山電車の乗り場にやってきたのは,2輛ユニットの“アレグラ”3100形3101+3201を先頭に,3000形3001を従えた3輛編成であった.
 この電車にも,営業運転では初乗りである.
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最初の停車駅である塔ノ沢で山の上からやってきたのは,103+107+109の3輛編成.しんがりの109は緑色に塗られていた.

109が4月中旬の検査出場に際して緑塗りになったということは,鉄道フォーラムなどのインターネット情報で知っていたのだけれど,こうも易々と遭遇することができるとは…….

103と107は,片運転台化されているものの,今では箱根登山線で唯一の吊掛け式電車だから,“山を登っている”ことを強く実感できる貴重な存在である.一方で109は108とともにカルダンに換装されているけれど,一方では両運転台だし,扉間がクロスシートであることで古風さを感じさせてくれる存在である.

“緑色の箱根登山電車”は,昭和10年代を再現したものだが,実は今回が初めてではない.
1998年4月から2000年4月までの2年間(108はさらに1年後の2001年まで),創立70周年を記念して108とともに緑色化された経歴を持っている.
 箱根登山電車の色といえば小田急ロマンスカー色という印象が,僕には強いわけだけれど,ご本家ではLSEこと7000形の引退とともにその色は消え去ってしまった.登山電車でも今やロマンスカー色をまとう電車は急速に数を減らしつつある.そんな中で旧型車6輛は,登場時の色に戻されている,“ベルニナII”という愛称がけられた1000形第2編成とともに貴重な存在であるわけだが,これからどうなるのだろう.

さて,“アレグラ”独特の,床まで届く大窓から千丈の谷を眺めていたら,あっという間に小涌谷に到着してしまった.
 ここで箱根町港へ向かうバスに乗り継ぐことになっているのだが,さっき塔ノ沢で箱根湯本へ降りていった3輛が,そのまま折り返してくるのを期待してしばらくまってみることにした.そうしたら期待通り!
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完全な逆光になってしまったが,103を先頭に107,109と続く旧型車3輛編成.各部をを観察しはじめると前照燈やパンタグラフ,そしてなにより台車が現代的であるわけだが.
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終点まであとひと息.発車して行く109の後ろ姿.こちらも前照燈やパンタグラフ,台車は新しい.なにより聞こえてくるのがカルダンドライブの音というのが現代的.

それにしても,103と107が属するモハ1と,109が属するモハ2はどこが違うのか…….
 扉間の窓の数が違うというのは判るし,ロングシートとクロスシート,片運転台と両運転台であること…そして釣り掛けとカルダンと……は,違っていて,モハ1でも104と106はカルダンドライブなのである.
 そもそもはモハ1が米国製部品を使っていたのに対してモハ2はスイス製だったと.そういう根本的な違いがあって車体の寸法も形も異なっていたわけだけれど.

そういえば,とれいん5月号の“甲種・特大輸送運行情報”によれば,2輛の3100形が5月には搬入されることになっている.純粋な増強であるならよいのだが,そうでないとしたら,旧型車のうち2輛が置き替えられることになる.さて,どの車輛が対象だろう.素人が思いつくのは,吊掛け式の2輛…103と107ということになるのだろうが,さて.

そんなこんなを思いながらバスに乗ってやってきた箱根町港.全開と違って遠くに富士の高嶺も顔を見せている.箱根観光船の海賊船も無事に動いているようだ.ほっ.
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桟橋で待っていたのは,金色も艶やかな,真新しい船.その名を“クィーン芦ノ湖”という.

総噸数318t,全長35m,全幅10m,運行速力10.5ノットというこの船.ドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治さんが内外装のデザインを担当して,本日4月25日に就航することになっている.できたてなのである.
 そう,この日の芦の湖行きの主目的は,GSEに乗ることでも,緑色になった箱根登山鉄道109号…でもなくて,この船に乗ることだったのである.前回の雪辱を晴らすために…ではなく,この船をレポートするために.
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4層構造の客室の目玉が,この,特別船室に設えられた,女王陛下の椅子である.この船に乗られたお客様の,なによりの記念になる設備ということで考案されたものだという.線内には,このほかにもたくさんのメモリアルゾーンがあって,その部分を切り取っても“写真映え”するように工夫が凝らされている.

 この“クィーン芦ノ湖”のすべて!と,GSE初乗りの記は,来月発売のとれいん本誌でご紹介の予定である.乞うご期待!

※2019.04.29:箱根登山鉄道搬入月訂正
※2019.05.08:[芦の湖]n表記は[芦ノ湖]が正しいようです.タイトルにも関係しますし,煩雑になるので修正はいたしませんが,注記としておきます.