一昨日6月4日は京急金沢文庫へ出向くことになった.
 目的地は総合車両製作所横浜事業所.どこかの新型車?ではなく旧型車である.となれば,ここでも何度が途中の状況をお話した,京浜急行電鉄のデハ230形236のことだろうと,熱心な読者の皆さんならば察してくださることだろう.
 最初は2017年5月25日付けのここでの“京浜急行電鉄デハ236が新天地へ”.ちょうど2年前のことである.川口市の公園から運び出される模様をお話している.2度目は2018年3月8日のここ“京急電鉄からのお便り デハ230形の整備進捗状況”として広報からご提供いただいた,復元作業中の写真をご紹介した.そして3度目は,12月13日のここでの“京急電鉄からのお便り 2018年12月”であった.
 そして半年後の今年5月27日に,“京急電鉄に帰郷して2年!『デハ230形』車体の修繕作業が完了しました”というご案内をいただいたのだった.その取材日が,おとといだったという次第.
 いつも,逸る気持ちを抑えきれず,指定の集合時刻より随分早く現地に到着してしまう僕だが,世の中にはさらなる強者(失礼!)がおられて,この日も,僕が到着した時点で,既に3人の取材仲間が到着していた.
 受け付けを済ませ,会議室での打ち合わせを終えて向かった建屋の中には,目指すデハ236が鎮座していたが,最初のセレモニーはこの作業に携わってきた,京急ファインテックと京浜急行,そして総合車両製作所の人々への,京急電鉄車両部長からの挨拶.
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向かって左から総合車両製作所,京浜急行電鉄,そして京急ファインテックのメンバーたち.右端で挨拶するのが京浜急行電鉄車両部長.

続いて,ようやく車輛そのものの撮影となった.まずは行き先札のない姿で…….
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川口市の公園から運び出された時の状態からは見ちがえるような姿を,我々の前に見せた,236だった.床下機器もパンタグラフも,すべてがピカピカになった.

残るは台車だが,これは現在,久里浜の京急ファインテックで整備中であり,もう間もなくできあがることになっているという.
 その台車と車体は,この総合車両製作所構内ではなく,横浜みなとみらい地区に建設が進められている京急新本社ビルにおいてだという.そのビルは,5月20日付けのプレスリリースで名称を“京急グループ本社”に決定し,9月17日から事務所の引越しが始まると発表された.
 このビルの1階には仮称“京急ミュージアム”という施設が設けられることになっており,では236は,その目玉的存在と位置付けられている.
 完成予想図には,もう1輛の電車のような“影”が見えるのだが,その正体は別の保存車輛ではなく,運転室部分を利用あるいは新製したシミュレータである.
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続いては貫通路からの室内見学,順番待ちでじっくりと眺め廻すことはできなかったけれど,その美しい仕上がりから,困難な作業が連続しただろうことがうかがい知れた.

写真では,吊り手の陰に隠れてしまってよく見えないのだが,蛍光燈の様子がちょっと変だなぁと思って質問してみたら,特注の“蛍光燈色LED”なんだそうだ.気合いのは入用をうかがい知ることができる事実のひとつだろう.
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運転室も見せていただいた.やはり現役時代の姿が美しく甦っている.床材は全面的に新調されているようだ.

ということで,
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最後は,現役時代の最終職場だった大師線の行き先札を取り付けての撮影タイムとなった.

ということで,現役時代最終期の姿を,ほぼ忠実に再現するというのが,今回の事業のコンセプトであるのを再確認したことであった.考えてみれば…みなくても,だが…,この電車が引退してから40年以上が経過している.この間に新造されて廃車になってしまった車輛も少なくないなかで,なんとも幸せな車輛だろうか,このデハ236は.