最新のとれいん7月号(通巻535号)では,登場から1年余を経て,房総地区に定着したサイクリング列車“B.B.BASE”を採り上げてみた.
 編成外観や内部の撮影取材は落成直後に済ませていて,このブログでも,2017年12月17日付けのここで松本正敏さんが幕張車両センターでの取材結果をレポートしてくださっている.
 詳しくはそのブログと,今月号の本誌で!というところではあるのだが,それではあまりにも素っ気ない.MODELERS FILEならではの真横の写真を撮影するために出かけた折りの,使い切れなかったカットをお目に掛けることにしよう.
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1枚目は朝の,佐原行き…この日は佐原まで電車で出掛けて,水郷地帯を走り回るというプランだった….撮影場所は成田線の滑河と下総神崎の間.まっすぐな線路の両側に田圃が拡がっていて,真横写真にうってつけのシチュエーションではある.

チャンスは回送を含めて2往復しかないから,本来なら真横の写真を最初に撮影すべきなのだけれど,“表紙向けの写真も撮って来てね”という命題があったものだから……表紙で“回送”ではサマにならない…….
 しかし結果的には,表紙の縦横比に合致するアングルを得ることができず,普通の列車写真になってしまった次第.
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2枚めは夕方の,両国行き.めでたく表紙用写真を撮ることができた,その振り返りである.側窓に夕陽が反射して…….僕好みの光線状態ではあったのだが,表紙向けにはちょっと絵柄が大胆過ぎるということで,お蔵入り.

この日,この辺りの田圃は田植えの真っ盛り.一方では,夕方のこのポイントでは,線路に沿って麦畑もあって,綺麗な麦秋風景を繰り広げていた.
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米と麦との二毛作…というのは小学生のころに学校で習った,効果的な食料増産の手段である.この風景を前面に入れて…とも考えたけれど,やっぱり比率が表紙向けではない,ということで,涙を呑んだ.この画面の左側では,地元の方らしいファンが“麦秋とB.B.BASE”を撮影しておられた.きっとよい写真が撮れたことだろう.

さて,この2枚の場所,どちらも鹿島行き貨物列車の有名撮影地なのだそうだ.家に戻ってから知ったことだが.

その鹿島行き貨物列車.一般の209系を撮影している合間にやってきた.最初は,12時半に鹿島行き.
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牽引機はEF65 2139.1000番代のラストナンバーだった.連なるコキ107の上には塩化ビニル樹脂専用のUT22AやUT20Aが多数.コンテナの絵本によれば,前者はみなと運送,後者は中央通運の所有だそうだ.
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編成の後半は有蓋コンテナだった.コキ55000が淘汰されたことで,20Dや20Gという背の高いコンテナの増備が進んでいるようである.
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2本目はその約1時間後に,機関車の単機で成田方面へ向かっていった.その機関車はEF64 1033.一時期はほとんどの機関車が纏った“JR貨物色”も,数を減らしつつあるようだ.この日は,そのJR貨物色.喜んでよいのか.

1枚目と2枚目の撮影地の中間にあるのが,下総神崎…しもうさこうざき…である.かつては小口の貨物も扱っていた,典型的な亜幹線の小駅である.
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佐原方から成田方面を,駅の跨線橋から望む.209系の向こうには2本の貨物側線が残り,画面左手にも,もう1本線路が敷かれていたようにも思える.現在使われている2本の線路には,両方向ともにそれぞれ出発信号機が植わっている.この駅での折り返しが可能,ということである.
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駅の外の跨線橋から見た駅前広場.駅前のよろず屋はコンビニに変化しているけれど,雰囲気は往年の“普通の”駅前そのものである.
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最後にお目にかけるのは,駅前には欠かすことができない,周辺の案内地図である.

この地図には描かれていないが,実はこの駅,距離的には“成田ゆめ牧場”の最寄り駅でもある.無料送迎バスが発着するのは西隣の滑河ではあるが,自分の自動車で訪問するならば,世界最新の蒸気機関車,上野の亀の子の再来である“GINGER”とEF65と209系と…幅広く鉄道を楽しむことができる一帯なのである.

※熱心な読者から,“B.B.BASE”の記事について早くも感想をよせていただいている.嬉しいことである.その中で“機器更新やパンタグラフの交換が今回の改造に伴うものなのか南武線転用の時なのか,ちょっと紛らわしい”というご意見があった.確かに“床下艤装”の中で“改造に際して主要機器が…”という記述してしまっている.この“改造”が,B.B.BASEへの改造なのか,南武線転用改造なのか……“南武線用2200番代について”という項で説明してはいるのだが.確かに紛らわしいことであった.失礼しました.