昨日のお昼,いかにも梅雨のまっ最中という空模様のもと,元JR東日本のマニ50 2186が東急電鉄長津田駅に到着した.つい先日まで,水戸支社所属のジョイフルトレイン“リゾートエクスプレス ゆう”が非電化区間を走る際に使われていた電源装置付き荷物車…愛称“ゆうマニ”である.
 7月2日に甲種輸送列車の輸送番号甲62として長野を発ち,一路中央本線を東へ向かって八王子で夜明かしし,昨日の昼前にDE11 2001に牽かれて到着したものである…この輸送については決定が出るのが遅くて,7月号誌面には掲載できず有料制ウェブでのご紹介になってしまった…….
 なぜ東急電鉄でマニ50を?と思った方もおられるに違いない.そこでちょっとだけ,ことの経緯を復習してみよう.
 ことの発端は今年の2月12日,JR北海道JR東日本JR貨物,そして東急電鉄が共同で発表したニュースリリースである.
 その主旨は,北海道胆振東部地震の影響を受けた北海道を観光面で支援するために観光列車を運転するというものだった.
 計画は2年度に及び,今年度は7月から9月に掛けて,JR東日本の“びゅうコースター風っこ”を宗谷本線で運転する.
 話題を集めたのは来年度.平成29/2017年夏から伊豆急行線で東急電鉄が主体となって運転している“THE ROYAL EXPRESS”の編成を,5月から8月の間の約1ヵ月間,週4日程度の頻度で札幌と同等エリアの間で運転するというのだから.
 そこで必要になるのが非電化区間での牽引機と,サービス電源の供給元である.
 リリースにはDE10の重連と思われるシルエットが描かれ,電車との間に“電源車”と記された車輛が組み込まれている……
 ここまでご説明すれば,このブログの読者には,マニ50 2186の目的が解っていただけたことだろう.
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東京地下鉄
08系を横に見つつ,JR東日本の長津田駅からDE11 2001に押されて授受線へ到着するマニ50 2186.

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東急側の牽引車がやってくるまでのひととき.久し振りにこの“電源装置付き荷物車”を観察するチャンスを得た.

マニ50 2186は昭和55/1980年7月7日の新潟鉄工所製で,新製配置は隅田川駅だった.同じ時には2181から2204まで24輛が落成し,2181は直江津,2182から2191が隅田川,2192から2194が門司,2195から2198が鹿児島,2199から2204が名古屋へ配置されている.
 平成3/1991年に大宮工場(現在の大宮総合車両センター)で改造されている.この時にディーゼルエンジンと発電機を荷物室に搭載し,通風口を側面と屋根に新設している.連結器は自連と密連の双頭タイプに取り替え,ブレーキの読替装置も搭載した.配置は水郡線営業所とされ,ふだんは救援車の役割も果たし,“リゾートエクスプレス ゆう”が非電化区間で運転される時には機関車の次位に組み込まれるという,ユニークな車輛として活躍した.
 昨年夏には“リゾートエクスプレス ゆう”の引退が決定し,このマニ50 2186は,ひとあし早く7月には廃車となって長野総合車両センターへと回送されたのである.
 ところが回送後間もなく,今回の構想が浮上し,打ち合わせの途上で“電源車をどうずる?”という課題に対して,JR東日本から“ゆうマニがありますよ”と提案があり,解体が保留となったのだった.
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やがてやってきたのは,2020系搬入取材の時にも使われた“TOQi”ことデヤ7750とデgヤ7500の2輛.

慎重,確実な連結作業ののち,今度は東急の長津田駅へ向かい,折り返して長津田検車区へと向かって,本日の“イベント”は無事に終了した.
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しずしずと東急の駅へ転線するマニ50 2186.陸橋の上は黒山の人だかり.
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ほどなく折り返して検車区へ収容された,今度は僕も,“人だかり”の一員となったのである.

さて今後のことだが,形式や番号,外装をどうするのかなど具体的なことは,東急の長津田工場で施工するのか東急テクノシステム(元の東横車輛)で担当することになるのかも含め,決まっていないとのことである.改造工事の着手は,年が明けてからのことになるようだ.
 電車の側にも改造は必要となるはずだが,それをいつどこで施工するのかも,未定とのことである.

もうひとつ気になるのは北海道での牽引機関車.リリースではDE10の重連風シルエットが描かれているわけだが,5月中旬に高崎のDD51 897が秋田総合車両センター(元の土崎工場)へ入場したのである.もしかしたら?……今のところまったく僕の推測想像妄想にすぎないが.

いずれにしても,今後の推移には大いに注目である.