すべてのものが溶けてしまいそうに茹だった空気の中,JR東日本の品川駅にいたら,見慣れない紺色の電車がやってきた……などと書くと,いくらなんでもフィクションになってしまう.今週はじめから,待ちに待った相模鉄道とJR東日本の相互直通運転の試運転が12000系電車を使って始まったというインターネット上のニュースを読んだものだから,都心へ出かける道すがら,なんとなく見当をつけて待ち構えていたのであった.今日も運転されていることを祈りながら.
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品川駅8番線に到着する相模鉄道12000系第1編成.遠くに見える八ツ山のトラス橋と,その上を行く京急新1000形ステンレス車が相鉄線での撮影ではないことの,決定的な証しである.カメラ内の時計には14時42分と記録されていた.

列車番号が9122Mであるところを見ると,どうやら少なくとも毎日2往復は運転されているらしい.
 東海道上り到着ホームである6番線で待ち構えれば順光で撮れることは判っていたけれど,同時到着するかも…そうしたら写せない,という恐怖が先になって,逆光を承知で9番ホームから撮影することにしたのだった.
 振り返ってみれば,発車待ちのE657系による特急“ひたち17号”と顔を揃えていた.もうちょっと待っていれば,折り返しで特急“ときわ67号”となる特急“ひたち14号”がやってくるのが判ったから,せっかくなので,どちらも前照燈を点けた状態での撮影を試みた…到着までに折り返しで発車してしまわず,なおかつ12000系のライトが前照燈に切り替えられたならば,という条件つきではあったが.
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定刻より,ほんの少し遅れてやってきたE657系.大勢の同好の士とともに,なんとか所期の目的を果たすことができた.
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存在感がJRの特急電車に負けていないのが,流石である.それにしても濃紺…ヨコハマ・ネイビーブルーと輝くホワイト.なんともカメラ泣かせの強烈なコントラストである.
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そして15時12分,大勢のギャラリーに見送られながら12000系は発車して行った.列車番号は9123Mだった.

今回の試運転が本来の乗り入れ先である大崎方面でなく,品川着発になったということは,まだ乗務員の習熟訓練という段階ではなくて,乗り入れに際して種々の確認を行なっている段階ということなのだろう.ということは,この試運転は長くは続かないということになる.もしかしたら,僕はとてもラッキーだったのかもしれない.

開業日である11月30日まで,あと4ヵ月を切った.運行計画の概要も発表され,相模鉄道の車輛は朝のみとはいえ大宮方面へも乗り入れることが明らかになった.大宮止めなのか,あるいは川越まで走るのか.川越車両センターへの入出庫はあるのか……いずれにしても,乗務員の訓練運転では池袋でも遭遇できる可能性が高い.でも,4ヵ月後には日常的にみることとなるわけである.夢のようである.

※2019.08.02:一部数字修正