先月発売の,とれいん9月号では,箱根登山鉄道旧型車のMODELERS FILEを担当した.
6月と7月に1日ずつ,合計二日間にわたって沿線に出掛けることになったのだが,折りしも紫陽花の真っ盛り.有名撮影地は平日の早朝から押すな押すなの大盛況だった.幸いにしてターゲットの吊り掛け駆動車103と107は,二日間ともフル稼働で,たっぷりと撮影取材することができたのだった.
 その成果が,表紙を含めて巻頭から10数頁に,ぎっしりと詰め込んだMODELERS FILEというわけである.

この2輛は,予定通りに7月18日で一般営業を終え,団体臨時列車の運転などイベントに参加したのち,107が鈴廣かまぼこに,103が日本工業大学に引き取られることが決まったと,ここまでが9月号でのレポートである.

引退した2輛のモハ1形は,8月上旬に入生田車庫から強羅まで自走し,まず107が風祭にある鈴廣かまぼこの“かまぼこの里”に搬入された.103も追って…とのことだったが,実際には,台車こそ埼玉県の宮代町にある日本工業大学の敷地に搬入されたものの,車体は9月8日現在,強羅駅に隣接するバス転回所内で留置されている…….
 その9月8日には,107のお披露目が行なわれた.その模様は,強羅駅隣接地で留置中の103とともに,9月21日に発売の,とれいん10月号で詳しく記したので,併せてお読みいただきたい……ではあんまりなので,ここでは,本誌に記すことができなかったことがらや写真を,お目に掛けることにしよう.
C8A_6839
美しく整備された箱根登山鉄道107.すぐそばまで近づいて観察することができるのが嬉しい.観察が困難だった連結面も,じっくりと眺めることができる.

“えれんなごっそCAFÉ107”と名付けられたここでは,数多くのカフェメニューが提供されるが,その多くは鈴廣かまぼこならではの,練り物をからめた品物である.とりわけスペインはバスク風おつまみ・軽食のピンチョスが107種類も用意されるのが圧巻.毎日3種類ずつ用意されるというから,全部を味わうには何度通えばよいのやら.
DSCN7181
107種類も用意されるスペイン・風おつまみ・軽食のピンチョス.全品にかまぼこがあしらわれている.
DSCN7183
箱根の水を使って造られている“箱根ビール”も忘れてはならない.
DSCN7176
103と107の引退記念カタログも用意されている.ケースの下段には箱根登山電車かまぼこが見える.右端の3個セットは,スイッチバックを模したパッケージが秀逸.
C8A_6940
せっかくなので,特に取材許可をいただいて撮影してきた,強羅の駅横に留置されている103もお目に掛けることにしよう.向こうを行くのは氷河急行色の2000形第3編成.

そして箱根の山を降りながら,残るモハ1形4輛の姿を追った.強羅へ向かう途中ですれ違っているから,運用に就いているのは間違いない.綺麗な編成写真を撮ることができる場所といえば,やっぱり大平台の駅だろうか,ということで待機.
C8A_7011
最初は104と106.先日までは緑の109と組んで3輛運転を行なっていたが,その後は2輛での運用が多くなっているようだ.
C8A_7074
続いては金太郎塗りの108と緑塗りの109という両運転台車の2輛が.“アレグラ”3000形との出会いだった.

この4輛は,駆動装置はカルダンではあるものの,旧型車体ということで,力行にしても発電制動にしても,奏でるサウンドは新型車とはまったく音質が異なるような気がする.
 108前照燈ケースが旧式ということもあって,両運転台車の2輛は,なんだか昔の薫りが強いような気がする.クロスシートというのもプラスポイントだろうか.けれど104と106は内張りが昔のままである.それも捨て難いし…….
 なんの話しをしているのかって? 鈴廣かまぼこをはじめとする地元企業に加えて,箱根町小田原市などの協力を得て,近代文化遺産の保存ができないものだろうかと,そして動態保存するとすれば,4輛のうちのどれがよいだろうかという,かなり本気での妄想でありました.