まもなく国鉄が“終わり”を迎えようとしていた昭和50年代後半,当時の高崎鉄道管理局には,全国から歴史的価値の高い車輛が集まりはじめた.
 とにかく北から南まで,多種多彩な車輛を,高崎第二機関区や高崎駅構内の一隅でみることができたのである.
 どの程度までで具体的に活用方法が考えられていたのか,今では知る由もないが,とにかく“失われてはならない車輛を出来る限り”,“とりわけ西の蒸気機関車に対して電気機関車を”という方針であったのは間違いのないところである.注目すべきは,電気機関車とともに客車が大きな割合を占めていたことである.
 それらの車輛たちは職員の精力的な活動によって整備が行なわれ,不定期的ながらも一般公開も行なわれていた.
 平成11/1999年には,横川駅隣接の“碓氷峠鉄道文化むら”がオープンし,大多数が収蔵車輛となった.
 収蔵されず解体の憂目にあった車輛もあった一方で,車籍を残していた旧形客車は,まだ国鉄時代の,EF55 1の動態復元に際して本格的な活用が始まり,続いてD51 498とペアを組み,ある時には関東平野のみならず,時には東北でも活用されているのはご存じのとおり.
 我が“とれいん”でも平成13/1991年秋に上野と水上の間で旧形客車+D51 498の列車を運転している.今では夢のようなできごとだけれど.
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C61 20の足馴らしに付き添う旧形客車4輛.後閑-上牧 平成23/2011年5月5日

それから幾歳月.気がつけばJR東日本の発足からでも30年を経過した.現役車輛に比べれば稼働率は低いとはいえ,走れば傷むのは道理.また,純粋な“博物館列車”でないわけだから,営業的にも成立される必要がある.
 ということで,去る12日,高崎支社から“SLぐんま旧型客車 内装リニューアル”というプレスリリースが出された.
 現在の陣容はオハ47が3輛(オハ47 2246, オハ47 2261, オハ47 2266),スハフ32が1輛(スハフ32 2357),スハフ42形が2輛(スハフ42 2173, スハフ42 2234),そしてオハニ36が1輛(オハニ36 11)の,合計7輛となっている.
 計画では今年の運転シーズン終了後に着手,来年4月にお披露目というスケジュールである.
 リニューアルの主眼は,43系客車の内壁や床を木目調に変更すること.具体的にはフィルムの貼り付けや塗装によるという.
 リリースに掲載されている“現行”の写真はオハ47またはスハフ42で,“リニューアル後”はスハフ32の写真である.だから全ての車輛の扇風機を撤去してしまうのかと思ってしまうのだが,実際にはそうではないだろうと思う.
リニューアル後
“リニューアル後”のイメージ写真.窓幅などから明らかにスハフ32と判る.写真:JR東日本高崎支社

もうひとつは“ラウンジカー”の登場である
車両全体図
窓割から,種車がオハ47かスハフ42であることが知れる.写真:JR東日本高崎支社
全体平面図
従来の腰掛はほとんど撤去されている.写真:JR東日本高崎支社
ロングテーブル席
奥には小さなカウンターをしつらえている.天井には扇風機もグローブ形燈具も活かされている.なお現在,全ての客車の室内燈は電球色のLED球に交換されている.写真:JR東日本高崎支社

そうそう,種車の車号はスハフ42 2173だとのことである.

と,いうことで,どのような仕上がりになるのだろうか.来春が楽しみなことである.