先週の土曜日,9月21日に,JR東日本千葉支社のお計らいで,205系電車の5編成横並びというイベントを取材させていただいた.
 とれいん誌で205系を特集したのはいつのことだったか……2010年春…とおもっていたら,なんと,平成20/2008年7月号(通巻403号)でのことだった.その時のタイトルが“帯色さまざま”.103系に勝るとも劣らない広範囲での活躍を見せていた当時,顔のバリエーションは10種類にも及んでいた.その頃をピークにして205系電車はE233系に追われて数を減らしはじめることになる.
 気がついてみれば,現在の関東地方で205系電車を使っているのは武蔵野線と鶴見線,南武支線,そして相模線だけになってしまった.
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鉄道総研での技術フォーラムの帰り道に西国分寺駅で出会った205系M19編成.側扉の窓が小さい,山手線出身車である.
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武蔵野線での205系の後継車は209系500番代と231系基本番代編成.写真はMU3編成でE231系.もとは総武・中央緩行線のB23編成.中間付随車2輛を抜いて8連化したものである.2019-8-29

そんな中,“205系ファミリーフェスタ”と銘打ち,親子連れのためのイベントが京葉車両センターで催されたのだった.そのメインイベントが,現在の京葉車両センターに配置されている205系によって往年の帯の色を“リバイバル”として再現することだった.
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ずらりと並んだ205系.左から武蔵野線,京葉線,中央・総武緩行線,南武線,京浜東北線,そして山手線.

リバイバルカラーの帯となったのは蘇我方の先頭車正面と乗務員扉までの側面だけだけれど,それだけでも大変な手間を要したはず.
 さらに,実は,もっと凝った仕掛けが隠されていて,“リバイバル帯色”は,すべて,それぞれの線区を走ったことがある編成が選ばれているのだ.左端の武蔵野線M65のクハ205-149は現役だから当然として,京浜東北線色はクハ205-104で浦和電車区に配置されていたことがある.中央・総武緩行線色が三鷹電車区のクハ205-105.南武線色は中原電車区のクハ205-130,山手線色は山手電車区のクハ205-5,そして京葉線のクハ205-56といった具合である.運用のやりくりを含めて,よくもまぁ,こだわったものである.山手線色にはちゃんと“11CARS”のステッカーも貼られているし!
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6扉車の組み込みで11輛編成になった時のステッカーとヘッドサイン.
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数が少なかった京浜東北線の205系だが,こうやって惜別のヘッドサインを取り付けて花道を飾った.
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205系電車は系統立ててインドネシアへ譲渡されているが,南武線の車輛が港へ向かう際には,このようなサインを取り付けたようである.

親子連れに限定してしまうのが惜しい,“好き者”の心を大いにくすぐるイベントであった.鉄道で働く人は,やっぱり鉄道が好きで愛着を持ってらっしゃるんだなぁと,再確認することができた週末であった.