先週の名古屋鉄道9500系に続いて,今度は京成電鉄の成田スカイアクセス線用3100形電車の報道公開が催された.
 成田スカイアクセスの案内カラーであるオレンジに装われたこの電車.詳細はいずれ本誌でもご紹介することになろうが,まずは速報.
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上野・押上方から見た編成.車号は,手前から3151-8+ 3151-7 +3151-6 +3151-5 +3151-4 +3151-3 +3151-2  +3151-1.先頭の行先・列車種別表示装置はコイト電工製で1/250秒のシャッターで文字は欠けない.1/500秒でも,すこしまだらになる程度である.

車種は上野・押上方からM2c+M1+T+M1'+M2+T+M1+M2cで,現在の成田スカイアクセス線用の主力である3000形第7次車……通称3050形と同じ構成である.
 システム的に新しいのは,主制御装置に東洋電機製造製のハイブリッドSiC素子インバータ制御装置を採用したこと.主電動機の定格出力が140kWに向上していること,ブレーキのステップを常用7段に増やすことできめ細かい操作が可能となっていることなどがが挙げられる.
 電動空気圧縮機は三菱電機製のオイルフリースクロールタイプを両先頭車の東側(上野に向かって左側),補助電源装置は出力150kVAの東芝製SIV装置を2輛の付随車の東側に取り付けている.主制御装置は2輛のM1とM1'の西側に取り付けている.
 車体構造は日本車両のブロック工法による軽量ステンレス構造で,車体長は先頭車中間車ともに17,500mm.連結面間長では18,000mmと,京成電鉄として標準的な寸法である.
 パンタグラフはM1車に2基,M2車の成田方に1基,シングルアームタイプを搭載している.
 台車は日本製鉄製のモノリンク式ボルスタつき台車で形式は電動車がFS583M,付随車がFS583Tである.
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日本製鉄製電動台車FS583M.先頭車用である.車体には3050形と同にように飛行機のシルエットが描かれている.今回はさらに沿線のイメージイラストを描いている.この写真にみえるのは千葉県側からの富士山遠景.

優先席は全車に設けている.車椅子スペースは両先頭車にあるが,中間車にも同じ設備を持つフリースペースが備わっている.
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オレンジ系の地色に菜の花と桜の柄を配した腰掛が華やかな客室全体を見る.背摺りがこれまでより高くなっているのが特徴.側扉間は京成標準の8人掛けだが,その間に見慣れない窪みが…….
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1輛について4ヵ所ずつが跳ね上げ式で荷物置き場となっている.この状態が“定位”で,人が座る時には手で押し下げる.立ち上がるとダンパーにより自動的に跳ね上がるという仕掛け.

運転室には,京成電鉄で標準的な両手操作式のマスコン.・ブレーキハンドルを中心として機器類が機能的に配置されている.
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両手操作式マスコン・ブレーキハンドルの前には見なれたアナログ指針式メーターが並ぶ.運転室の腰掛表地は客室と同じ華やかなオレンジで柄も同じである.


全くの新型車にもかかわらず,営業運転は10月26日から始まる予定である.主に京成成田スカイアクセス線経由特急として成田空港と羽田空港の間で使われる予定である.
 今年度は2編成が製作され,日本車両の3151編成と総合車両製作所の3152編成が既に落成している.来年度以降も順次増備して,数年以内には3050形を置き替える予定だという.
 そうなると気になるのが3050形の今後だが,今年度は2編成が京成の一般塗装(ラッピング)に変更されることになっている.残る4本は順次,この3100形に準じたデザインの外観にリニューアルされるのだという.運用は3050形と共通だというから,いつどこで乗ることができるのか,それは運次第ということになろう.
 この電車の更なる楽しみ、それはまもなく落成するだろう、姉妹車である新京成電鉄80000形と、どのような対比を見せるのか,ということ.楽しみは尽きない.