報道公開の終了後,ちょっと思案して赴いた,品川駅の5番,6番線ホームの南端.さらにその先では,京浜東北線北行の線路を,これまでの3番線から4番線に切り替える工事が行なわれていた.
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品川駅ホーム切り替えの概念図.今回の工事完了後は上から3番目の状態となる.線路移設は今回で完了だが,北行き線路の跡地にホームを拡張する作業が残っている.
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既に線路の切り替えは終わっているのだろうか.ホームからの観察では,よく解らなかった.京浜東北線の“品川”行き表示も撮ろうかとおもっていたのだけれど,近づいてくるころには既に折り返しの行き先を示していた.残念(?)

続いて向かったのは田町駅.6番線の上野・東京ラインの列車に乗って新橋で折り返し.この日はこの方法を公に案内していたから,折り返し乗車の特例としたのだろう.
 まずは,京浜東北線の北半分の折り返し風景を観察.スイッチバック式の折り返し作業なのに,実に綿密なプログラムが組まれていて手際よいことこの上ない.
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画面左は,発車してゆく京浜東北線北行の大宮行き,京浜東北線南行ホームから折り返して山手線外回りを経由して引き上げ線に入る回送,そして浜松町を発車し,行先表示を“回送”に変更して田町に近づく田町行き.

田町駅の南端から数百メートルの,札の辻橋という陸橋のあたりでは,山手線内外と京浜東北線北行の線路を一気に切り替える工事が行なわれているはずである.この札の辻橋は防護ネットが思いっきり高く,しかも目が細かいことが判っていたので,一眼レフではなくコンパクトカメラの径の小さいレンズで撮影に挑戦してみた……
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こここでも軌陸車が大活躍.線路の締結は終了していたようで,高所作業車として架線の締結工事がたけなわであった.地上の作業員が持っている黄色いT字形の用具は,レール上面から架線までの寸法をチェックするためのもの.

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田町の駅前で昼の腹ごしらえをしてから向かったのは上野駅.山手線の折り返し風景を観察してみようというわけである.
 山手線の上野駅には鶯谷方に折り返し用引き上げ線があり,田町での京浜東北線と同じように,到着した外回り電車は向きを変えて鶯谷方へ引き上げ,折り返して内回りホームへ転線,さらに向きを変えて発車するという行程が組まれていた.
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到着する外回りの“上野行き”と,引き上げ線から内回りホームへ転線中の編成.表示はどちらも“回送”.

E235系の行先表示には“上野”が用意されていなかったようで,通常の“山手線”表示だけだったようである.一方,大崎では日常的に大崎行きが設定されているので“大崎”表示で走っていたようである.
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発車してゆく田町行きの京浜東北線.東北本線の列車が東京方から来てしまったので,停車状態では撮れず,流し撮りとなった.

上野駅のホームを,“鉄道少年”よろしく徘徊していたら,常磐緩行線用E231系がやってきた最初は不思議とも思わなかったのだが,行先表示を見たら“品川”とある.あれ?
だったのだが,案内ポスターを読み返してみたら“上野東京ラインは4時40分頃から品川~上野間で運転本数を増やします”とあった.ピストン運転用に駆り出されたのだろう.上野駅で撮影できたのは付属が139,基本が118の15輛編成だったが,その後,107+121や112+124の2編成も,通常運用の間合というか,変運用でこのピストン輸送に加わっていたのが確認できている.
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上野駅に停車中のE231系139編成による品川行き.駅の案内放送では“上野東京ライン品川行き”となっていたが,車輛の表示は“東海道線”だった.

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この日ならではの特徴的な風景は,ほぼすべて見ることができたということで,ちょっと一休みののち,再び田町駅へ.山手線の運転再開と,その前に運転されるだろう試運転列車を待ち構えようという算段である.
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カメラ内の時計では15時24分,京浜東北線の南行線路に姿を見せたのはE235系第30編成だった.運行番号は9577Gである.なぜ京浜東北線?と思ったのだが,山手線は田町まで“閉鎖”されていたから,のではないかと,思う.

聞き覚えのある番号だと思ったら,線路設備モニタリング装置搭載編成だ,なるほど!それで新線の検測をするのか!と思ったけれど,次の瞬間に,この編成は単なる準備工事だったことを思い出した.ということは,単なる偶然なのだろう.
 そして15時37分,試運転列車はゆっくりと新線区間へと向かって発車して行った.
 内回りの試運転列車名どうなるのだろう.今の編成が大崎で折り返してくるのだろうか,ならば移動している暇はない,ということで,田町駅の北行きホーム南端で待ち構えることにした.
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そして15時53分,やってきたのは9500Gの運行番号を掲げたE235系第17編成だった.運転室内は添乗者で満員.編成後方の地上に待機する作業の人々の姿勢に,安堵の雰囲気が…….

この編成,田町駅に停車している間に運行番号が変わり,16時ちょうどに,田町からの運転再開1番電車として出発していった.
 そして外回りの運転再開1番電車は,16時28分頃に到着の予定とアナウンスされていたが,実際にはほとんど10分遅れの16時38分,E235系第26編成が運行番号9513Gとしてやってきた.これに乗ろうかと思ったが超満員でとても叶わず,僕の新線区間初乗車は2番電車,8515GとしてのE235系05編成となった.最後尾に陣取る人々の隙間から,なんとか後方かぶりつきはできたけれど,詳しい観察は後日…まだ果せていない.京浜東北線北行きの真新しい乗り越し高架線にも乗らなくちゃ,であるし.

なお,この約30時間の工事のための要員は約2,000名,用意された軌陸車は約90台とのことである.
 さらに山手線では,渋谷駅でも,路盤の扛上を含む大規模な工事を実施中である.どのように進むのか,目を離すことができない.あ,渋谷駅は地下鉄銀座線が年末年始に運休を含む大規模工事の予定と発表されている.こんどの正月は休むことができるのだろうか…….