伊豆方面への新しい特急電車として,これまでの“踊り子”に,宝石のサファイアのフランス語名である“サフィール”を冠した“サフィール踊り子”ことJR東日本のE261系電車が報道公開された..

既に新聞やTV,インターネット・ニュースサイトなどの速報でご覧になった方もおれらるかもしれない.その速報性にはとても敵わないけれど,少しでも濃い内容で,しかも少しでも早く…と,いつもより1日繰り上げてお伝えする次第.
 とはいえ,12月16日に公開されたのは8輛編成のうちの伊東方3輛だけ.セールスポイントのひとつである“ヌードルバー”は含まれていなかったから,本当の“詳介”は改めての機会を,楽しみにお待ちいただきたいと思う.
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伊東方から見た第2編成.編成番号はRS2.伊東方3輛が川崎重工製で,東京方5輛が日立製作所製で,それはRS1編成も同じである.

編成の内容は東京方から順にクロE261-1~(Tsc)+モロE261-201~(Ms)+モロ260-1~(M2s)+モロE261-1~(M1s)+サシE261-1~(TD)+モロE261-101~(M1s1)+モロE260-101~(M2s1)+クロE260-1~(Tsc').
 注目すべきは食堂車の記号が復活したこと.JR東日本の電車では,もしかして初めてだろうか.
 設備は,クロE261からモロE260までの4輛(8~5号車)が1/2人掛けの開放室グリーン車,サシE261が4号車で“ヌードルバー”.モロE261-101~とモロE260-101~が3,2号車で個室グリーン車,そしてクロE260が“プレミアムグリーン車”.編成定員は164名となっている.モロE260には車椅子対応席が設けられ,伊東方には大型車椅子対応のトイレが設備されている.
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注目の食堂車サシE261.4号車である.なぜ“ヌードル”なのかといえば,“伊豆の新鮮な魚介類などは,到着してからお召し上がりいただきたい”とのこと.“なるほど!”であった.今回は室内は公開されなかった.これからのお楽しみ!
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1号車クロE260の“プレミアムグリーン”客室全景.定員は20名.1日と掛けのシートはぐるぅと回転させることが可能で,海向きにも,あるいはグループで向かわせにセットすることもできる.この車輛を始めとして,8輛全部に天窓が設けられている.
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2号車モロE260-101~と3号車モロE261-101~は個室車.写真は6人部屋で,4人部屋とともに1輛に2室ずつ設けられている.2号車と3号車の個室配置は同じで,前者はトイレと洗面所が伊東方に,後者は東京方に設備されているのが相違点である.

機器類の配置だが,主制御装置SC121は全ての電動車の海側に取り付け,補助電源装置SC106Aは両先頭車に取り付け,電動空気圧縮機MH3130-C1600FはモロE261-201~とモロE261-101~の山側に取り付けている.パンタグラフはモロE261-201~とモロE261-101~の東京方とモロE261-1~の両側にシングルアームタイプのPS33Hを取り付けている.
 主電動機はMT79でE235系と同じ.ということは定格出力は140kWだろうか.歯数日は今回の提供資料には記されていなかった.
 台車は軸梁式ボルスタレス台車でヨーダンパと軸ダンパ付き.フルアクティブサスペンションを装備している.形式は電動車がDT88,付随車がTR272とTR272A(駐車ブレーキ付き).
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広々とした運転室.仕切のガラス越しでの撮影となったので,写り込みはご容赦を.ブレーキ・マスコンはJR東日本標準の左手操作式横軸ワンハンドルである.
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この面構えというか全体のライン,どことなく“スーパービュー踊り子”の251系に通ずるところがあるような…….色は異なるけれども.

今回の車体塗色は,窓回りや屋根の灰色が火山岩をイメージした“城ヶ崎グレー”,車体のメインである青が海をイメージした“伊豆アズール”,その間に挟まった白が砂浜をイメージした“白浜ホワイト”と名付けられている.いずれも繊細な色で,とりわけ伊豆アズールは天候や光線具合によって大きく変化する,写真撮りには手ごわい色である.

さてこの“サフィール踊り子”は,3月14日のダイヤ改正から営業運転に就役する予定である.定期列車としては東京発11時,伊豆急下田発14時12分の1往復だが,平日運転の臨時として東京12時30分発,休日運転の臨時として新宿発12時25分発が設定され,上りは休日平日共通で伊豆急下田発が16時30分となる.

このE261系と同時に,E257系を改造した編成も“踊り子”に投入することが発表されている.間もなく発売となる,とれいん2020年1月号“いちぶんのいち情報室”に写真と記事を掲載しているが,9輛+5輛の最大14輛編成である.
 全部で137輛が改造されることになっており,その内訳は2000番代となる9輛編成13本と2500番代となる5輛編成4本ということなので,185系の行く先が見えたことになる.
 当分の間,伊豆方面にも目を離すことができなさそうである.