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【記事:横川 和明・撮影:なんこう】

3月14日はJR・私鉄の多くでダイヤ改正が行われ,併せて様々な車輛の世代交替劇が繰り広げられた.その一つ,近鉄の鮮魚列車2680系も3月13日(金)をもって引退し,代わりに3月16日(月)からは2410系2523+2423編成のうち,鮮魚専用車輛に改造された2423号車により鮮魚が運ばれることとなった.これにより専用列車から,一般定期列車に増結される形態へと変化した.
 さて,3月14日(土)には新旧交代を記念し,明星検車区にて新旧の鮮魚列車が報道公開された.新しい鮮魚専用車輛は“伊勢志摩お魚図鑑”という愛称がつけられ,昭和45年製の2423号車には車体全体に伊勢志摩の海に生息する様々な魚介類,たとえば伊勢志摩の代表的な海の幸の伊勢エビを始め鯛やフグ,イワシ,マンボウなどなど,43種類が美しいラッピングにより描かれている.ちなみに相方2523号車は一般車輛のままである.
 鮮魚専用車輛の室内は広告類が外され,大きな鮮魚運搬ケースが各座席間,ドア前に置かれている.また本車輛は一般乗客の誤乗防止のため,貫通路には立入禁止のステッカーが貼られているほか,一般の方が乗らないように第1・3ドア内側には立入禁止サインの入ったベルトパーテーションが取り付けられ,第2・4ドアは常時閉め切りとなった.お魚のラッピングと併せ,これで一般客が誤乗するリスクは回避できるであろう.





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ところで,3月13日は鮮魚列車の最終日であったことから特製看板が取り付けられた.また,3月16日からの新鮮魚専用車輛については運転初日のみ,特製看板が取り付けられた.そこで報道公開時には近鉄広報の配慮により2680系の“さようなら鮮魚列車”と新鮮魚専用車輛の“伊勢志摩お魚図鑑運行開始”の看板が並んだ状態での並びが実現した.大変貴重な瞬間に立ち会えたといえよう.
 新しい鮮魚専用車輛の運用は月曜から金曜の平日朝6時44分に松坂駅から6輛編成の急行として名張まで行き,4輛を増結して10輛編成の快速急行として大阪上本町8時46分着で運転される.折り返しは松坂行き急行となるが,先頭の鮮魚専用車輛は回送扱いとなる.
 昭和38年から続いている近鉄鮮魚輸送であるが,一般運用に組み込まれるとはいえ,これからも活躍を目にすることができる.一鉄道ファンとして素直に喜びたい.



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