インターネット上のニュースサイトでは,その日のうち…場合によっては報道公開の現場からほぼリアルタイム…に公開されているから,すでにご覧になった方もおられることだろう.誌面用写真の撮影と観察が主目的の僕には,とてもまねのできないことである.
 けれど,時間が経過している分,より詳しい情報をお伝えすることができることも,少なくない.最終的には誌面で詳細をお目に掛けることになるのだけれど,それまでには,さらに時間を要してしまうのが,歯がゆいことも,ある.

今回のJR東日本E235系1000番代も,公開日程の加減からちょっとお待たせしてしまった新車のひとつとなった.
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報道陣の前でポーズをとる,E235系1000番代第1編成基本11輛.正面には青とクリームの“スカ色”グラデーションが施され,側面のラインは従来通りの横方向に“スカ色”がラッピングされているので,山手線用とは印象が大きく変わった.撮影場所は大船電…ではなく,鎌倉車両センターである.

このE235系1000番代は,すでに2018年9月6日づけのここで,その概要をお伝えした.本誌の“いちぶんのいち情報室では,総合車両製作所新津事業所で落成して大船まで回送される様子や,同じ総合車両センターの横浜事業所で製造された2階建てグリーン車の新津までの回送シーンも掲載している.

基本スペックは,MT比は基本編成が6M5Tで付属編成は2M2T.最高運転速度は時速120キロ.主制御装置は山手線用と同じSiC(シリコンカーバイド)素子を使った1C4M方式のSC104-A.電動空気圧縮機はクノールブレムゼ製VV180-T2.0.補助電源装置はSC107-A.
 目新しいのは非常走行用電源装置を設備していることで,6号車モハE234-1201と2号車のモハE234-1301の山側床下に取り付けている.この2輛のモハE234では,蓄電池取り付けに伴って空気ダメの艤装スペースがなくなり,床下から屋根上に移動しているのが趣味的には興味深いことである.
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東芝製の非常走行用蓄電池.形式はMB6という.画面左に見えるのが三菱電機製の主制御装置.
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非常用蓄電池を取り付けた2輛のモハE234は,空気ダメを屋根上に搭載した.写真はモハE234-1301.

線路設備モニタリング裝置も備える予定だが,この第1編成…F01編成には取り付けられていなかった.

さて室内.普通車はすべてロングシートである.トイレは横須賀方先頭車1号車クハE234と6号車モハE234-1201~に大型車椅子対応タイプを設置している.
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腰掛背摺りの青が印象的な普通車客室.袖仕切りは完成予想図よりも大型化されているが,座面近くの“くびれ”はどういう意図だろうか.吊り手の色は灰色となった.奥にみえるピンクの壁は大型車椅子対応トイレ.写真はモハE234-1201.

グリーン車は,これまでのE217系やE231,E233系よりもハイグレードなイメージに仕上げられた.
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グリーン車2階客室.写真は一般タイプトイレ付きの5号車サロE235.通路には朱色のカーペットを敷いて高級感を演出している.座面は赤紫系,背摺りは灰色の取り合わせ.すべての座席に交流100Vの電源コンセントを装備.客室内ではフリーWi-Fiを利用することが可能である.

このE235系1000番代は今後,約4年の間に基本51編成,付属46編成の合計745輛を鎌倉車両センターに投入の予定である.これまでにそれぞれ6編成ずつが落成しており,来週月曜日の12月21日から営業運転を開始する予定となっている.そして年度内には3編成ずつの追加が計画されている.

本格的営業が始まったら,さっそく試乗に行って営業運転が始まってからでないと観察できないことを確かめよう.撮影取材もしなくちゃ! である.