2009年3月14日に亡くなられた,写真家,真島満秀さんをしのぶ写真展が,長野・信濃追分のギャラリーで9月28日まで開かれています.
真島さんが移り住んで長年暮らした地,追分はもうすっかり秋の気配.この日(22日),浅間山の全貌が見え,頂上からうっすら噴煙が立ち上っているのが見えました.
真島さんは言わずと知れた「鉄道風景写真」というジャンルを築いた方です.撮影対象は鉄道車輛のみではなく,鉄道をとりまくもの全て,そこで暮らす人々や,風土を映し込んだ作品が特徴です.
会場は中山道追分宿の歴史的建造物「油屋」のギャラリー一進
こじんまりとした会場に大小パネルがぎっしりと.ファンであれば遠目からでも撮影地が瞬時に思い浮かびます. あぁもう亡くなられてから6年も経つのか.新作はもう二度とみられないのだなぁ..と感慨深くなりますが,あっというまにぐいぐいと作品に引き込まれてゆきます.
奥の仕切られたスペースには真島さんにゆかりのある方々の写真展と,テレビ出演された時のビデオ映像が流れています.
真島さんの著書や,写真が掲載されている本を手に取って見ることができます.ほとんど持っていましたけれど,知らなかった本もあり,時間を忘れて見入って
しまいました.青春18きっぷのポスターの写真をまとめた本は知らなかったので買いたいなぁ.なお,手前のアルバムにはプライベートショット&若き日のお
宝写真(!)がたくさん.これはぜひ見てみてのお楽しみ.
真島さんと二人三脚で数々の写真を世に送り出してこられた猪井貴志さん.現在の「マシマ レイルウェイ
ピクチャーズ」を主宰されています.今回,真島さんとの貴重な思い出話,ウラ話(!?)も思いがけずたくさんお聞きすることができ,大変貴重な時間でし
た.ありがとうございました.
少々個人的なことではありますが,鉄道により深く興味を持つようになったのは,真島さんの写真がきっかけで
す.たしか1996年頃,講談社のカルチャーブックス「日本全国 ローカル線の旅」を手に取ったのが最初でした.「日本にこんな美しい風景があるのか!」
「真島さんがみたのと同じ景色が見たい!,撮りたい!」 日本全国鉄道の旅をあちこちするようになったのも,はじめのうちはそれだけが原動力でした.
旅を続けるうち,真島さんの写真はその1枚を切り取るのに,深い観察力と洞察力,忍耐力を駆使して撮影されているのだということをいやというほど思い知ることになるのです.
撮影をしているとき,「真島さんならこういう時どう撮るだろうか」と頭の片隅をすっとよぎり,それはたぶん一生そう自分に語り続けていくのは変わらないと思います.
そんな,すごく新鮮な昔の気持ちを思い出させてくれ,訪れてよかったなと思いました.
真島満秀さんの写真,作風を好きな方は,またそれぞれ違った入口があるかと思いますが,そういったファン同士の交流,真島さんとの思い出話に時間がたつのを忘れてしまう空間でありました.
ふと,もしかしたら会場の片隅に真島さんが立ってらして,こちらの話をこっそり聞いていて,くしゃみでもしているのでは! なんてそんな錯覚さえ覚えたのでした.
会期は28日まで.
なお,26日(土)には13:00から14:00までイベントデーとして,真島満秀写真事務所卒業生の方たちによる豪華トークショーが開催されるとのこと.
軽井沢は今,とてもいい季節です.すぐ近くには堀辰夫文学記念館など見どころもたくさん.散策がてら訪問されてはいかがでしょうか?
※掲載した会場風景は,ブログへの掲載のため許可を得て撮影したものです.
真島満秀写真展「記憶の中の鉄道回廊」
■開催期間:
2015年9月17日(木)から9月28日(月)
11:00から17:00
■イベントデー:
2015年9月26日(土)
13:00から14:00
「卒業生たちが語る真島満秀の人と作品」
■会 場:
信濃追分文化磁場油や
ギャラリー一進
電車の場合:
JR長野新幹線・軽井沢駅下車→しなの鉄道・信濃追分駅・徒歩約20分
車の場合:
(東京方面より)上信越自動車道・碓氷軽井沢ICより約30分
(長野・上越方面より)上信越自動車道・佐久ICより約30分
■入場料
無料