とれいん8月号は,もうご覧いただけただろうか.
 事業用車を採り上げるのは,久し振りのこと……いや,昨年春に総合検測車East i-EことE491系電車をテーマにしていたから,約1年振りということになろうか.
 今回の事業用車,クモヤE493系は全電動車方式の2輛ユニットで,その役目は主に牽引車であるという.車輛の入出場に際してはこれまでも両運転台のクモヤ143などがあって,電車区と工場との間を,電車の中間車を挟み込んだり牽引したりする姿が見られたものである.けれど,近年は編成ごと入出場することがほとんどとなって役目を終えつつある.
 新造車輛の場合,国鉄時代には,例えば神戸の川崎重工で新造した103系電車を,東海道本線を自力で東京へ向かわせるといった豪快な回送方法も採られた.けれど今では,各旅客鉄道会社によって車輛のシステムが異なるから,不可能である.だから,他のJR管内を通過する必要がある時には,JR貨物の機関車が牽引する甲種輸送列車で回送することになる.
 JR東日本の新津車両製作所…今は総合車両製作所の新津事業所…から各配置区所への新造車回送に際しても,電気機関車牽引による回送を行なってきた.自社管内だけだから自社の機関車を使うだけのことで.
 廃車回送や検査入出場も,各現場まで自力で移動できる場合もあるが,電気方式や車両限界などの問題から,機関車に頼らざるを得ないことも多かった.

さて今回のクモヤE493系は,そんなJR東日本の電気機関車の仕事を,一手に担おうというのが目的である.だから機関車ファンの目には“敵”と映っていることだろう.でも,時代の流れというのは,そういうものである.現に,ほかの旅客会社だって,既に機関車の定期運用を持っているところは……多分,ない.

さて,具体的にどんな中身の車輛なのかは本誌を見ていただくこととして,今週のブログでは,その試運転列車撮影取材の合間に見た,今年晩春の常磐線の様子をお伝えしようと思う.

常磐線といえば,すぐに思い浮かべるのは,東邦亞鉛の小名浜と安中の事業所を結ぶ専用列車である.その概要は新形のタンク車タキ1200が新造された時,とれいん2011年11月号(通巻443号)のMODELERS FILEで詳しく紹介した.
 その後,牽引機がEF510からEH500に置き替えられ,運転ルートも田端経由から武蔵野線経由になるなどの変化はあるものの,常磐線では同じ姿を見掛けることができるはず…….
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初日の牽引機はEH500-40だった.赤塚-内原
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貨車はタキ1200は1輛もなく,トキ25000ばかりの編成.先頭がトキ25000-2,次が-9,-1と続いた.

本当は,普通の列車写真を撮りたかったのだけれど,想定される試運転列車の通過時刻とは10分も違わない.場所を移動している間に本命の列車が来てしまったら,なにをしに来たのやら,になってしまう.我慢ガマン.
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2日目の牽引機はEH500-29.GPSアンテナを取り外した跡が,まだ気笛カバーの脇に生々しく残っている機関車だった.やっぱりタキ1200はなく,トキ25000ばかり5輛という編成だった.タキ1200がいないと,やっぱりちょっと寂しい.友部-宍戸

この場所では,貨物列車が通過して1分後に,試運転列車はやってきた.重なっても差しさわりはないとはいえ,やっぱり,単独の方が写真写りはよいわけで.胸をなでおろした次第.

現在の常磐線の花形はE657系.奇しくも東邦亞鉛の私有貨車タキ1200と同じ年に落成した特急電車である.
 今ではすっかり沿線に溶け込んでいるが,かねて気になっていたのが,先頭部の補強具合である.
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貨物列車と同じ陸橋での上野・品川方面行き“ひたち”.先頭部を少しローキー気味に仕上げてみたのだが,継ぎ目が判るだろうか.まるでマスクをしたような…….

どうやら踏切などでの障害事故で受けるダメージを軽減しようという目的らしい.そのようなことは,設計時点で織り込み済みなのではないかと思うのだが,想定以上の損傷が多発したのだろうか.
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参考のために,落成直後,勝田での報道公開での姿をお目にかけよう.こちらの方がすっきりしているというのは,いうまでもないこと.まぁ,後処理としては上出来な方といえるだろうか.2011-6-13

普通電車は,ほぼE531系に統一された.シーメンスの大躍進なるかと思われたE501系も時折はやってくるらしいが.
 E531系も初お目見えしてから,早くも16年を経過した.その間には,いくつかバリエーションが生まれているし,2階建グリーン車も組み込まれた.そしてこの数年は,付属編成に対してワンマン運転対応改造工事が施工され,今年の3月ダイヤ改正から,ワンマン運転が開始されている.
 外観の変更点は,E131系にも取り付けられている,ホーム状態監視カメラの新設であり,それは各車のッ両車端部幕板に取り付けられた.
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K455編成,クハE530-2005の先頭部側面.乗務員扉部の幕板に見えるのがカメラである.
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同編成の中間部である.以下,同じような位置にカメラが取り付けられた.

内原付近での思い出話は,本誌のCoffee Cupに記した.併せてご覧いただければ幸い.