パシフィコ横浜で開催されたカメラショー,CP+の初日,午後は一足飛びに大宮へ移動することになった.その目的は鉄道博物館で2月27日から始まる,北海道新幹線開業を祝う企画展のプレビュー.
 “海を航る(わたる)”と題されたこの企画展,明治6/1873年に始まる津軽海峡の定期航路から説きはじめ,日本郵船,日本鉄道,鉄道院,鉄道省,日本国有鉄道と引き継がれた連絡船の歴史を淡々と,しかしきめ細かく語りかける.
 合間に“飾り毛布”と称される毛布の芸術的たたみ方などの,あまり世に知られていないエピソードも織り込みつつ,青函トンネルの工事から開通へと話が進む.
 展示場の後半では,当然のことながら北海道新幹線の解説に熱が入り,昭和48/1973年の整備計画策定から着工,そして3月26日と決定している開業へと,コマが進められるのであった.
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北海道と本州の間の輸送で長い間主役だったのは,なんといっても青函連絡船.歴代船舶の紹介から航路のこと,飾り毛布というエピソードの紹介まで,限られたスペースで盛り沢山の話題が
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飾り毛布のひとつ.“花二輪”.傍らでは1枚の毛布から生まれる芸術的な造形の製作課程がムービーで紹介されている.

飾り毛布といえば,青函連絡船を主とする日本の船舶独特の風習とされているが,僕がはじめて台湾を訪問した1970年代半ば,台湾の宿でも見ることができた.というか,青函連絡船のそれを知らなかった僕にとっては,台湾独自の風習と,長い間思いこんでいたのである.

余談はさておき,スペシャルギャラリーでの展示は,ハイライトのひとつである青函トンネル建設へと続く.

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津軽海峡を渡った列車,渡らなかった列車の一覧.“はくつる”や“みちのく”のヘッドサイン,“白鳥”の方向幕などが全部本物であるというのは,鉄道博物館ならではといえよう.

そして青函トンネルの開業で誕生した列車のうち,最大の花形は,やっぱり“北斗星”だろう.改造とはいえ,さまざまなアコモデーションと外観の寝台車が次々と,しかもJR北海道とJR東日本とで競うように誕生した.今振り返ってみれば,あの頃が,日本の寝台車の最後の黄金期だったのだろう.

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展示されている1/20モデルはオロハネ25 501.JR東日本の“ロイヤル・ソロ”である.“北斗星”寝台車の全貌は,本誌の平成26/2014年10月号で解き明かされている.ぜひ,ご覧いただきたい.

締 めくくりは,当然のことながらE5/H5系の紹介となる.出口に飾られているのはE5の1/20モデル.周囲に比べて,特段のスポットライトがあてられて いるわけでもないのが不思議だったが,訊ねてみれば,公開時には出口の扉を開くので,外光がスポットライトの役割を果たすのだそうだ.まるで小川晴暘の仏 像写真撮影方のように…….

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この日の“おまけ”.折りしも,真岡鉄道のC12 66が構内試運転を行なっていたのだ.C61 20やC58 239などの復元途上での試運転は取材にきたけれど,“たまたま”行きあうのは初めてで,ちょっと新鮮な体験ができた.

鉄道博物館では,北海道新幹線開業の3月26日,新は小楯北都からの一番列車を出迎えるイベントを予定している.ゲストはなんと,新幹線が九州から北海道までつながったことを記念して,JR西日本から公式キャラクターである“カンセンジャー”が駆け付けることになっている.詳しくは鉄道博物館のウェブをご覧いただきたい.

この“海峡を航る”は6月26日まで.展示内容は,丁寧に編集された図録に収録されている(頒価税込み500円).観覧後には,ぜひお求めを.

※ここに掲載した写真は,報道関係者向けプレビューで撮影したものです.会場内は撮影禁止です.