相模鉄道21000系の珍道中…失礼!…に興奮してしまい,JR東日本の最新形車紹介が遅れた.しかし今日,諸元などが入手できたのを機会に,少し詳しくご案内する次第.
 今回は,同じ相模でも,JR東日本の相模線用E131系である.とはいえ,この相模線も元をたどれば相模鉄道を名乗っていたからややこしい.
 その経緯を語りだせば長くなるし,いろいろ複雑に絡まり合っているから,中途半端な知識で書いてしまうと間違いだらけ!になること必定である.今年が最初の区間の開業からちょうど100周年になることだけは,間違いない事実である.
閑話休題
JR東日本の相模線は平成3/1991年に一挙全線電化を果たし,車輛も“玉突き”ではなく,205系が新造投入された.それも正面などに独自デザインを採り入れた“相模線オリジナル”である.
dsa_3943
まるで地下鉄乗り入れのための非常用貫通扉が設けられたようなデザインの正面.このスタイルの採用理由は“子供たちに前面展望を楽しんでもらいたい”だった.写真はパンタグラフがシングルアーム化される以前,本誌“205系特集(平成20/2008年7月号=通巻403号)”での取材に際しての撮影である.上溝 2008-4-29

そして,全線電化30周年と開業100周年という節目の今年,登場するのがE131系600番代である.
 既にこの春から房総地区での活躍が始まり,本誌6月号(通巻558号)のMODELERS FILEで詳しく紹介した.8月中旬には,来春に営業運転開始が予定されている,東北本線宇都宮地区と日光線用の600番代がお披露目された.

この600番代は,房総地区用や宇都宮地区用と,どこが同じでどこが違うのだろうか.その詳細はいずれ本誌でご紹介することとして,特徴を列挙すれば,
  1. 4輛編成で車種構成は八王子・橋本方からクモハE131-501~+サハE131-501~+モハE130-501~+クハE130-501~.
  2. オールロングシート.
  3. トイレなし.
  4. 日常的な併結運転を実施しない.
  5. 線路設備モニタリング装置は第11,12編成のクモハE130とクハE131に装備し,580番代となる.ただし座席配置などの違いにより自重や定員は若干異なる.
の5点だろうか.
主要機器は,主制御装置の形式がSC123Aに“A”が追加されている以外,主電動機も含めて既存2種と変らない.暖地使用ではあるが,耐雪ブレーキは装備されている.
G8A_7798
9月22日に国府津車両センターで催された報道公開でお目見えした第1編成G01.手前が茅ヶ崎方先頭車のクハE130-501.これまでのクハE131はトイレを装備していたが,今回初めてトイレなしとなった.日常的な併結運転を行なわないので,密連の下の電気連結器は装備されていない.
G8A_7937
続いてモハE130-501.茅ヶ崎方にPS33Hパンタグラフを装備している.主制御装置は山側床下に取り付け.
G8A_7960
新形式のサハE131-501.クハE130-501~とともに電動空気圧縮機と補助電源装置を山側床下に取り付けている.

ラインカラーは相模川と湘南の海をイメージしたブルー濃淡.併せて前面の縁取りも房総用や宇都宮地区用と違って濃いブルーに彩られている.
 各側面に2台ずつのホーム状況監視用カメラが取り付けられているのは従来の2種と同じだが,相模線では当面,ワンマン運転の予定はない.
G8A_7859
モハE130-501の客室を橋本・八王子方から見る.腰掛の表地がブルー濃淡になっていることのほかは,他地区用と同じ色遣いである.

運転室も基本的には同じ機器配置.中央部は扉があり,必要があれば貫通路として使うことが可能である.
G8A_7834
貫通路から見た運転室.画面には写っていないが,間通路には非常用梯子が備え付けられている.

さてこの相模線用E131系500番代.すでに5編成が落成済みで,11月18日からの営業運転開始に備えtレ習熟試運転に勤しむ毎日である.

そしてE131系の次の投入線区は……? だって,少なくとも100番代,200番代,300番代,400番代が空いてるではないか!

※2021.10.07:形式に関する記述一部修正