JR西日本の新しい総合検測車DEC741が公開された.
 JR西日本ではこれまで,交直流のクモヤ443系と液体式気動車キヤ141系を使って架線,電気,軌道関係の検測を実施してきた.
 そのうちキヤ191系を置き替える形で新造されたをキヤ141系は,平成18/2006年製の“新車”だが.クモヤ443系は昭和50/1975年製であり,いずれ取り替えが近いだろうと,容易に想像できる昨今であった.
 いつ,どんな形で新造車が登場するのか,ずっと興味津々であったところ,本日,DEC741の存在が公表されたのである.
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報道公開は近畿車輌の構内で実施された.写真は京橋方から見た編成.手前がDEC741-1で,奥(木津方)がDEC741-101である.写真全部:2021-10-22

DEC741-101にはパンタグラフを搭載しているが,それは検測用であり,車輛としてはDEC700と同じく電気式気動車である.車体長約21m,最高運転速度は100km/hと発表されている.
 DCE741-1が動力車でDEC741-101が付随車とされている.台車は動力台車がWDT71,付随台車がWTR253である.
 車体は普通鋼製で,塗色の黄色5号は警戒色であるとともに,キヤ141系の帯と同調したもの,青は先日引退したばかりの配給電車のベースカラーを踏襲した青色15号である.この青は,警戒色としての黄色を目立たせる効果も期待されている.

検測項目はクモヤ443系から引き継いだ架線関係に加え,トロリーハンガーや碍子や架線柱,信号機などの電気設備撮影装置と測定装置を屋根に搭載している.さらには線路設備診断システムも加えることにより,引き続いてキヤ141が受け持つ軌道と信号回路の測定を除き,線路周辺の全方位測定が可能ということになる.
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車体側面と屋根には無数のカメラや測定装置,照明器具などが設置されている.とりわけDEC741-1では車体を窪ませての取り付けなど,苦労の跡をうかがい知ることができる.
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屋根には本当に数えきれない裝置類が並んでいて,壮観である.情報から見下ろせば,その“威容”を一望できるのだが,それは次回以降の追加取材でのお楽しみ!

さて室内.今回はDEC741-1のみの公開だった.
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車内の運転室寄りには各種取得データを表示するPCが並ぶ.写真のモニターでは電気設備を撮影したデータを表示中だった.

架線関係の測定装置は既存の設備を活用するとのことで,今回は公開の対象にならなかったのが,ちょっと残念.いずれにしても架線検測車の象徴的存在だった観測ドームは,残念ながら姿を消してしまったが.
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象徴的存在といえば,DEC741-101の側面には,6本の斜めストライプの中に電車と駅と街と山並みが描かれていた.地域とともに存在する鉄道を象
徴的にデザインしたイラストであるとのこと.


配置は京都総合車両所.今のところの開発スケジュールは,来月11月に正式落成させ,2022年4月から架線検測裝置の運用を開始する.その後,令和7年度(2025年4月から2026年3月)以降に電気設備の検査を始めることになっている.
 運用線区はJR西日本の在来線全線区及びJR四国や九州,IR石川鉄道,あいの風とやま鉄道,えちごトキめき鉄道,肥薩おれんじ鉄道,WILLER TRAINSの各線ある.

順調な開発進行を待って,本格的な紹介を計画中である.ぜひご期待いただきたい.

なお,お気づきのとおり,今日は水曜日である.このDEC741の公開が今日だったので,それに合わせて定例の木曜日から繰り上げてお目に掛けた次第.そのことからも,僕のこの車輛に対する関心と興味を感じていただけるものと思う.