10月23日のお昼前,京阪淀屋橋駅のホームにたたずむ僕がいた.目的は,登場してから4年にもなろうというのに未体験だった,京阪電車の長い長い歴史の中で初めての有料座席指定車輛である“プレミアムカー”への乗車.

久し振りに訪れた淀屋橋駅は,観光客の姿も,ちらほらと見掛けられて,以前の賑わいを取り戻しつつあるように見えたのが嬉しかった.
 8000系改造の“特急”か,はたまた今年の初めに営業運転を開始したばかりの新造車組み込みの3000系“快速急行”にするか,ほんのちょっとだけ悩んだけれど,すぐに出てきた結論は“特急!”であった.
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ホーム上に設置された指定券発売機.改札の外にもあって,僕はそっちで購入済み.現金は使うことができない.500円を,クレジットカードで支払うことになった.

1,000円未満の買い物にクレジットカードを使うことに抵抗を感じる人って,今は少ないのだろうか.僕には,ある.交通系ICカードを使うことはできるようだが.
 それとともに,発券されるのがペラペラの感熱紙であるというのがなんとも.もう一工夫できなかったものかと思う.
 ちなみに特急停車駅の窓口では,現金による指定券の購入が可能である.
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先発の快速急行.こちらも魅力ではあったけれど,次の機会への楽しみに取っておこう.
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そしてやってきた8000系第3編成.塗装デザインは変わってしまったけれど,“鳩マーク”は健在.
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プレミアムカーの出入り口はきらびやかにゴールドで装われている.“車内清掃中”の札も専用品だった.

デビューして40年近くを経過しているとは思えない手入れのよさを感じながら指定された12C席に座ってびっくり.視界が…….
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通路を挟んだ12Aと12Bの様子.

側扉を埋めた跡に設けられたのが,この席だったのだ.
 “京橋を出て,もし空いている席があれば移動すればいいじゃないか”と思った.思ったけれど,停車駅の案内を聞いて“あっ”.京橋の次は七条ではなくて枚方市なのであった.うむ.
 あきらめきれずに車掌さんに“他の人が来たら戻りますから移動してよいですか”と訊ねたら,答えは,

“それでは座席変更扱いをしましょう”

そういう方法があったか.
と安堵したのは淀屋橋を発車してから10分を経過した頃だった.列車は複々線を快走中である.

というところで改めて室内観察.写真は淀屋橋停車中に撮影したカットである.
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見通し.オリジナルの8000系からは様変わりで,これで追加料金500円は安いというべきか.どっちにしても始発から終点まで乗っても1時間ちょっとしか楽しむことができないのはもったいない.だからこその“プレミアム”ということになる.
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気がついたら寝屋川の車庫横を通過するところだった.

僕が新造時に鉄道ファン誌へ紹介記事を執筆した5000系も3000系も姿を消してしまったけれど,それよりも古い2400系の四角くて背の高い分散クーラーや,大きな目玉の2000系車体再用2600系,2000系のあとで出てきた2200系などがまだまだ健在.なにより工場の建屋が,大拡張時のまま.物を大切に使い続けるというのは,とってもよいことだと再認識.

先ほどの車掌氏が,プレミアムグッズの販売に巡回してきた.アイテムは,銘板キーホルダー,京焼・清水焼 箸置きセット,そしてプレミアムカー竹箸&箸箱など.キーホルダーには大いにそそられたことである.

通常時ならば携帯電話用充電器やブランケットの貸し出しサービスが実施されているそうだが,残念ながらCOVID-19感染拡大防止対策の一環として休止中だった.

開発によって大きく風景を変えつつある樟葉と橋本の間や,少しずつ様相が変化しつつも鉄橋の存在によって往年のままという印象が強く残る八幡市…今は石清水八幡宮と呼ぶそうだが…と淀の間などの沿線風景を楽しんで…淀の競馬直方は大々的な工事中だったりした…うちに,列車は地下区間に飛び込んでしまった.
 楽しい時間は,いつも,なぜに速く過ぎ去るのだろうか.

2年ぶりの京都である.四条通を散歩しながらお昼ご飯を食べて向かった先は京都市歴史資料館.お目当ては特別展“こんにちは京都市電 -京都市電関係資料をひもとく-”.
 その様子は現在発売中の,とれいん2021年12月号Coffee Cupでレポートした.ちなみに会期は12月5日まで.きょう初めて,興味と関心を抱いた方でも,まだ,滑り込みで間にあう.京都へ行こう!
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京都市歴史資料館外観.場所は寺町通丸太町上る.京都御所の東側に面している.

※2021.12.03:文章一部加筆修正