12月3日の公開から時間を経過しているから,既に各方面で報道されているけれど,例によって,僕が自分の目で見た印象など,ご報告したいと思う…JR東海が1999年の313系以来,久し振りに繰り出した新形電車315系である.
JR東海の在来線普通車(一般車)は,まず国鉄時代からの211系を少しモデルチェンジして5000番代や6000番代を投入,続いて快速用の311系を登場させ,満を持して,全て新しい313系をデビューさせたのだった.
その313系は,2輛から3輛,4輛編成のユニットがあって,閑散線区から東海道本線の快速まで,長短さまざまな編成に対応した.
客室も固定クロスシートから転換クロス,セミクロスと,バリエーション豊か.
その結果,基本番代から300,500,1000,1100,1300,1500,1700,5000,5300,そして8000番まで,数え切れないほど……いや,11種類ではないか……のバリエーションが誕生した.
とれいんでも,登場して間もない1999年12月号で“313系電車のすべて”と題したMODELERS FILEを組んだ.今となっては,まったく“すべて”を網羅していないわけだけれど,実に楽しい取材だった印象が強い.
ちなみにこの号は,とれいんの,記念すべき通巻300号でもあった.余談だが.
その特集の少しあと,僕がはじめて買ったデジタルカメラで撮影した313系.カシオのQV2900という機種で,今となっては小さいデータでしか撮れなかったけれど,レンズ回転式が気に入っていて,部分写真撮影などに長らく活躍してくれた.醒ヶ井ー近江長岡 2001-7-21
さて本題.
短いユニットで自由自在に編成を組むことができた313系に対して,今回の315系は8輛固定と4輛固定のみと発表されている.313系のころには,できるだけ“車輛キロ”を増やさず,効率的な車輛運用が求められた時代だったのに対して,今では解結作業のコストが重視される世の中となったのである.
車種構成も単純化されて,形式はクハ315,モハ315の1~と501~,サハ315の1~と501~,そしてクハ314の4形式6種となった.6輛は組むことができそうだけれど,4M2Tとなって,電動車が過剰になる…….
中津川方から見た編成全景.行先が名古屋になっているのは,JR側による演出である.先頭車はクハ315-2.
製造担当は,もちろん日本車両.ではあるが,同社の“ブロック工法”で見られた側扉周辺の継目はない.これは,先日の鉄道技術展で台車だけを採り上げて紹介した“N-QUALIS(エヌクオリス)”と呼ばれる新しいプラットフォームを再騰しているからである.このエヌクオリスの特徴のひとつとして“表面平滑化”が挙げられているのだ.
中間電動車モハ315-504.名古屋方電動車ユニットである.床下中央に主制御装置が見える.素子冷却口が1ヵ所だけだから,この車輛の4基の主電動機だけを制御する1C4M方式と知れる.
隣りのモハ315-4の主制御装置には冷却口が2ヵ所あるので,おや?と思ったのだけれど,近づいてみれば,片バンクはVVVF装置,もう一方にはSIVという銘板があった.補助電源装置を一体化することで,異常時のバックアップを兼ねさせているのだろうか.
モハ315-1~の海側床下に取り付けられた主制御装置.1C4M2群方式の機器箱に見えるが,左側(神戸方)は補助電源装置,右側が主制御装置のようである.製造所や形式は,銘板が山側への取り付けであるようで,読み取ることができなかった.写真はモハ315-4.
さて室内.かねて“オールロングシート”と発表されており,313系のようなバリエーション展開は期待できそうにない.もっとも閑散線区用には車齢の若い313圭がたくさんあるから,当面は飯田線全線をロングシートで“旅をする”ようなことにはなるまい.むしろ旧形国電時代には,そんな旅を“体験”できたのだけれど).
モハ315-504の客室全景.床の色が中央部で薄く,外側に向けて濃くなるグラデーション処理となっているのがユニークである.空間を広く見えsる効果を狙っているのだそうである.袖仕切りの一部にガラスを入れているのも同じコンセプトである.
313系一般車では巻き上げ式の,8000番代では横引きのカーテンを粗寝ていたが,315形にはない.JR東海としては初の,“紫外線と赤外線の両方を99%ガラス”を採用したから,どのことである.
もうひとつユニークなのは窓配置.側扉間の中央に幅広の,その両側にやや幅の狭い窓を設けていること.ちょっとJR西日本の227径や323系に似ているともいえるが,あちらが両脇の窓を下降式で開閉可能としているのに対して,315系では中央の窓の上約1/3を内側へ傾けて開閉可能としていることが異なる.
側扉間の窓配置.中央の上約1/3の部分に横桟があり,その桟を軸にして上部を,換気のため内側に開くことができる.
定員は先頭車が139名(クハ315)と134名(クハ314)で.中間車が154名である.
台車は日本車両で開発の“NS台車”.初採用は小田急70000形だった.
台車は日本車両が新方式としてアピール中の“NS台車”台車枠の製法を工夫して剛性を高め,乗り心地を向上させている.軸箱支持装置は軸ばねをタンデムに配置した,タンデム式である.形式は電動車がC-DT69,付随車がC-TR257.写真はC-TR257を示す.
公表されている性能面のスペックは,最高速度が130km/hであること,加速度は2.6km/h/sであること,常用減速度が4.3km/h/sであることなどである.また,停電時に最寄り駅などまで移動するための非常走行用蓄電池搭載も予定されている.
詳細は,今後,追加取材などを行なってMODELERS FILEでお伝えしたいと企画中.ご期待くださいますよう.
JR東海の在来線普通車(一般車)は,まず国鉄時代からの211系を少しモデルチェンジして5000番代や6000番代を投入,続いて快速用の311系を登場させ,満を持して,全て新しい313系をデビューさせたのだった.
その313系は,2輛から3輛,4輛編成のユニットがあって,閑散線区から東海道本線の快速まで,長短さまざまな編成に対応した.
客室も固定クロスシートから転換クロス,セミクロスと,バリエーション豊か.
その結果,基本番代から300,500,1000,1100,1300,1500,1700,5000,5300,そして8000番まで,数え切れないほど……いや,11種類ではないか……のバリエーションが誕生した.
とれいんでも,登場して間もない1999年12月号で“313系電車のすべて”と題したMODELERS FILEを組んだ.今となっては,まったく“すべて”を網羅していないわけだけれど,実に楽しい取材だった印象が強い.
ちなみにこの号は,とれいんの,記念すべき通巻300号でもあった.余談だが.
その特集の少しあと,僕がはじめて買ったデジタルカメラで撮影した313系.カシオのQV2900という機種で,今となっては小さいデータでしか撮れなかったけれど,レンズ回転式が気に入っていて,部分写真撮影などに長らく活躍してくれた.醒ヶ井ー近江長岡 2001-7-21
さて本題.
短いユニットで自由自在に編成を組むことができた313系に対して,今回の315系は8輛固定と4輛固定のみと発表されている.313系のころには,できるだけ“車輛キロ”を増やさず,効率的な車輛運用が求められた時代だったのに対して,今では解結作業のコストが重視される世の中となったのである.
車種構成も単純化されて,形式はクハ315,モハ315の1~と501~,サハ315の1~と501~,そしてクハ314の4形式6種となった.6輛は組むことができそうだけれど,4M2Tとなって,電動車が過剰になる…….
中津川方から見た編成全景.行先が名古屋になっているのは,JR側による演出である.先頭車はクハ315-2.
製造担当は,もちろん日本車両.ではあるが,同社の“ブロック工法”で見られた側扉周辺の継目はない.これは,先日の鉄道技術展で台車だけを採り上げて紹介した“N-QUALIS(エヌクオリス)”と呼ばれる新しいプラットフォームを再騰しているからである.このエヌクオリスの特徴のひとつとして“表面平滑化”が挙げられているのだ.
中間電動車モハ315-504.名古屋方電動車ユニットである.床下中央に主制御装置が見える.素子冷却口が1ヵ所だけだから,この車輛の4基の主電動機だけを制御する1C4M方式と知れる.
隣りのモハ315-4の主制御装置には冷却口が2ヵ所あるので,おや?と思ったのだけれど,近づいてみれば,片バンクはVVVF装置,もう一方にはSIVという銘板があった.補助電源装置を一体化することで,異常時のバックアップを兼ねさせているのだろうか.
モハ315-1~の海側床下に取り付けられた主制御装置.1C4M2群方式の機器箱に見えるが,左側(神戸方)は補助電源装置,右側が主制御装置のようである.製造所や形式は,銘板が山側への取り付けであるようで,読み取ることができなかった.写真はモハ315-4.
さて室内.かねて“オールロングシート”と発表されており,313系のようなバリエーション展開は期待できそうにない.もっとも閑散線区用には車齢の若い313圭がたくさんあるから,当面は飯田線全線をロングシートで“旅をする”ようなことにはなるまい.むしろ旧形国電時代には,そんな旅を“体験”できたのだけれど).
モハ315-504の客室全景.床の色が中央部で薄く,外側に向けて濃くなるグラデーション処理となっているのがユニークである.空間を広く見えsる効果を狙っているのだそうである.袖仕切りの一部にガラスを入れているのも同じコンセプトである.
313系一般車では巻き上げ式の,8000番代では横引きのカーテンを粗寝ていたが,315形にはない.JR東海としては初の,“紫外線と赤外線の両方を99%ガラス”を採用したから,どのことである.
もうひとつユニークなのは窓配置.側扉間の中央に幅広の,その両側にやや幅の狭い窓を設けていること.ちょっとJR西日本の227径や323系に似ているともいえるが,あちらが両脇の窓を下降式で開閉可能としているのに対して,315系では中央の窓の上約1/3を内側へ傾けて開閉可能としていることが異なる.
側扉間の窓配置.中央の上約1/3の部分に横桟があり,その桟を軸にして上部を,換気のため内側に開くことができる.
定員は先頭車が139名(クハ315)と134名(クハ314)で.中間車が154名である.
台車は日本車両で開発の“NS台車”.初採用は小田急70000形だった.
台車は日本車両が新方式としてアピール中の“NS台車”台車枠の製法を工夫して剛性を高め,乗り心地を向上させている.軸箱支持装置は軸ばねをタンデムに配置した,タンデム式である.形式は電動車がC-DT69,付随車がC-TR257.写真はC-TR257を示す.
公表されている性能面のスペックは,最高速度が130km/hであること,加速度は2.6km/h/sであること,常用減速度が4.3km/h/sであることなどである.また,停電時に最寄り駅などまで移動するための非常走行用蓄電池搭載も予定されている.
詳細は,今後,追加取材などを行なってMODELERS FILEでお伝えしたいと企画中.ご期待くださいますよう.