この夏も,実にいろいろなできごとがあった.
 その中で,“嬉しいこと”のひとつが,JR東日本の中央本線特急列車“スーパーあずさ”用新型車E353系のお目見え.春のE235系とともに,まだ“量産先行”の段階だから,乗客として楽しむことができるのは,もうちょっと先のことになるが.
 けれど,なににせよ,新しいモノに触れるというのは心躍ること.7月末の甲種輸送から始まり,車輛基地での報道公開などには勇んで出掛けたものである.
  8月23日には,午前中に豊田車両センター,午後に甲府駅構内での報道公開が催されるということで,ならば,昼過ぎには自力で回送されるに違いないと,久 し振りに小仏峠へ足を運んでみた.やってきたのは,もう30年も前から何度か来たことがある,おなじみのポイント.もっとも,115系特集の時以来だから,約3年振りということになる.前回はまだ工事中だった,圏央道という名の高速道路が完成し,高尾山塊の宙で弧を描くようなジャンクションを車が走り回っていた.
 せっかく来たのだし,空の雲も次第に切れて青空が拡がってきたこともあり,回送列車が通りすぎてからもしばらくの間,普段着の中央東線の列車たちを待ってみた.

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やってきたのは高尾発,甲府行きの545M.車輛は長野総合車両センター配置のN613編成.元の高崎車両センター配置車である.既に115系はほぼ完全に姿を消し,普通電車は211系の天下となっていたのである.

その211系を特集したのは,115系よりももっと前.平成21/2009年のこと.211系もこの6年間で特徴的だった2階建グリーン車は姿を消し,高崎線と東北本線,東海道本線,そして房総地区から退いて,今では中央本線の主役というわけである.

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圏央道のジャンクションを背にやってきたのは,E233系の大月行き快速1415T.E233系だって,気がつけば登場してから9年が経過した.E235系が登場したから,このあたりでバリエーションの総まとめを試みるのもおもしろいかもしれない…….

列 車を待っている間,ずっと僕の廻りを飛び,舞い続ける蝶がいた.羽を拡げると褐色なのだが,閉じると白銀.シジミ蝶にしては大きいような気もするけれど, そちら方面は門外漢.それよりも,僕を気に入ったのかなんだか,ずっと腕に止まり続ける蝶がいた.列車を撮影するために身体を動かすと飛び立つものの,し ばらく経つとまた舞い戻って来る.

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腕にとどまり続ける蝶.

そ ういえば高尾周辺って,蝶をはじめとする昆虫類の宝庫と聞いたことがあるような……もしかしたら珍しい種類かと思って帰宅後に調べてみれば,ウラギンシジ ミという,一般的な種類だそうだ.シジミ蝶の一種ではあるものの,シジミに分類するのには異論もあるとかないとか.僕の腕を好んでいたのは,別に気に入ら れたわけでなく,人の汗なども養分とするためだそうだ.しかも,その習性(?)があるのは,雄!

こうして今年の僕の夏は,蝶との戯れで,終わった.