東京雑司が谷の画廊からスタートした“鐵樂者”写真展.ここ数年は会場の都合により場所が転々とし,昨年は東京西郊,大泉学園での開催となった.なかなかよい雰囲気のギャラリーだったので,今年も?と思っていたら,一転して都心(江戸時代にまで遡る人はいまい)の新宿御苑前に移動した.

その会場の名前は“ギャラリー蒼穹舎”.案内の住所をたよりに現地へ到着しても,それらしい看板や表札が見当たらない.はて?と,建物の名前で探してみたら,すぐに判った.ほっ.

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会場案内.確かに★印のところに,“ギャラリー蒼穹舎”はあった.ただし1階の表には,2階にある薬局の看板があるだけだから,ご注意.扉を開けば,その名前を発見することができるから,ご安心を.目印はむしろ,ビルの名前.

案内状にもある通り,この写真展は既に8月24日から始まっている……9月6日まで………今度の日曜日だ!

そ の内容はといえば,今年は杉 行夫,蔵重信隆,野口信夫,金澤 忠の4氏での協同開催.テーマは,杉さんが台湾・平渓台和炭礦の人車軌道.蔵重さんがフィ リピン・ネグロス島の製糖工場鉄道.野口さんが中国大陸・樺南の森林鉄道.金澤さんがミャンマー(ビルマ)の鉄道.と,一軒,てんでバラバラだけれど,で も一堂に会して鑑賞していると,なんだか共通する点が.それがなんのか,すぐ言葉にすることはできない.でも,感覚的に共通点があると確信できるのだ.不 思議なことではあるけれど.

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今回の会場は普通の四角い部屋で,間仕切りもないから,中央部に立って一回転すれば,全作品の雰囲気を一挙に肌で感じることができる.もっとも,訪問時にはご覧の通りの盛況で,とてもそんなのんきなことはできなかったけれど.

その四角い部屋の一隅,ちょうど出入口の対面あたりに開口部がある.なんだろうと覗いてみたら,特異な空気が….一歩足を踏み入れてみれば,さまざまなジャンルの写真集が棚や平台にギッシリと並んでいる.これこそが“蒼穹舎”の本体なのであった.
  あるじの大田通貴さんにうかがってみれば,この新宿御苑の地で既に10年近く.それ以前から数えれば,大凡20年にわたって写真集を販売し,また制作出版 も手がけてこられたのだという.しかも,鉄道趣味人でもあり,弊社の古くからのお客様でもあったことがわかり,なんだかとても嬉しくなってしまったのだっ た.

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あらゆるジャンルの写真集がギッシリと並んだ蒼穹舎の内部.一角には,“明治の機関車コレクション”や“軽便讃歌”,“夕陽に映える鉄道”なども,さり気なくたたずんでいたりもする.

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恒例(?)みなさんの記念写真.右から杉さん,野口さん,金澤さん.この日は蔵重さんは所用で会場にみえておらず,勢揃いとならなかったのが,残念だったが.

ということで,いつもながら,よい意味でのアマチュアリズムに満ち満ちたこの写真展.会期はあと3日を残すだけになってしまったけれど,機会があれば,いや,作ってでも訪問する価値充分!