いまや日本海縦貫線の貨物列車牽引機として主役の座を占めるEF510.その新しいバリエーションとして九州地区及び関門トンネル用の300番代が登場したことは,本誌の2022年1月号や,昨年12月9日のここでお伝えした.
それにしてもEF510という機関車,息の長いことである.思い起こせば最初にお目見えしたのは2002年である.量産が始まったのは翌年の2003年のことだけれど,それからでも19年が経過している.もっとも,同じJR貨物の直流機のEF210は,最初に登場したが1996年だから,途中でシステムの変更が行なわれているとはいえ,もう26年が経つ! 両形式とも,いかに使い勝手がよい機関車だという証であろう.
本誌では2002年2月号のMODELERS FILEでご紹介した.
羽越本線4090列車を牽いて南下するEF510-14.すっかり地域に馴染んだ姿を見せてくれた.越後寒川 2019-9-16
このEF510に“異端”ともいえる500番代が誕生したのは2010年のこと.JR東日本が,“北斗星”や“カシオペア”の牽引を担当していたEF81の老朽化が著しいとして導入したものである.JR貨物とも全く無縁というわけではなく,同じJR東日本が受託していた常磐線の貨物列車の牽引を担当することにして,合計15輛が田端運転所に配置された.とりわけ509と510は車体が“カシオペア”客車とお揃いの銀色に塗装されて,さらなる“異色”ぶりを見せた.
北海道新幹線開業に伴ってJR貨物に移籍したのは既定方針だが,東日本大震災によって常磐線が不通となり,貨物列車が大幅減となったのは,目論見外れだったに違いない.
この500番代は2010年4月号と9月号のMODELERS FILEで詳細をお伝えしている.
“北斗星”を牽く,銀色のEF510-509.JR貨物への移籍後は流れ星やストライプは外され,本当に銀色一色となった.僕は残念ながらまだ実見てきていない.栗橋-東鷲宮 2014-3-8
そして3番目…4番目?…のバリエーションとして登場したのが300番代というわけである.
川崎車両でのお披露目では,残念ながら外観のみの公開で,運転室の撮影は叶わなかった.しかし,JR貨物のご厚意により,たくさんの写真を提供していただくことができた.
あす21日に発売の本誌2月号にも掲載したが,スペースの都合でほんの2枚を小さく掲載できただけとなった.そこでそれを補うという意味も含め,今日のブログで広くお目に掛ける次第.
川崎車両兵庫工場でお披露目されたEF510-301.ここでは,本誌や当日のブログに掲載できなかった1エンド側をお目に掛けることにしよう.2021-12-9 写真:来住憲司
この銀色の300番代を,“カシオペア”用と重ね合わせる人は少なくない.けれど,JR貨物からの発表にもある通り,元イメージはステンレス鋼製車体を持つEF81の300番代である.遡ればEF30,もっと昔に戻ってEF10のステンレス鋼製車体を思い浮かべる人も,あるだろう.しかし長らく九州地区の電気機関車の塗色として親しまれてきた赤も,車体裾やナンバープレートの地色に生きている.新しいのはスカートと台枠側面の青だが,これとて直流機の青15号類似色と考えれば,全てが伝統色を引き継いでいることになる.
12月9日のブログでは“アムトラックの機関車を思い浮かべる”というコメントもいただいた…….
さてその運転室である.ちなみに2エンド側を示すが,基本番代機では運転台背面のスイッチ類の配置が1エンド側と異なっている.300番代でも同じように違っていると思われる.
最初は運転台コンソール付近.レバーは,左から機関車だけにブレーキを効かせる“単弁”,その右が列車全体にブレーキを効かせる“自弁”,少し間を置いて右手がマスコンレバー,その直右が前後進切替レバーである.左端の赤いレバーは汽笛弁.メーター類はいずれもアナログ指針式で,左端の横軸ボビン式は左が交流電圧計,右が直流電圧計.各種表示等の右が圧力計,そn右は130km/hまで刻まれた速度計.その右のボビン式3連メーターは第1,第6主電動機の,そして全電流計.その右は機関車各部の状態を示すモニター.画面右端の運転時刻表挿し(モニター)下には交直流切換スイッチが見える.さらにその右のモニターはGPS情報を利用して列車位置情報などを把握して運転を支援するシステム,PLANETS用である,写真:JR貨物
運転台背面から補助席(昔なら助士席)側を望む.画面右側の日除けの右に見える赤いツマミとその上の筒は信号炎管である.写真:JR貨物
運転台背面.基本番代機の1エンド側では画面左側の壁面に多数のスイッチ類が並んでいる.天井には空調装置からの風吹き出しグリルが配されている.写真:JR貨物
EF510-301は無事に門司機関区へ到着し,機関区構内での試運転を実施したのち,年が明けてからは北九州貨物ターミナル構内で試運転,さらに今週初めには熊本操での目撃情報も上がっている.初期の性能確認作業は順調に進んでいるようである.
一日も早く,本線での列車牽引の勇姿を見たいものである.
それにしてもEF510という機関車,息の長いことである.思い起こせば最初にお目見えしたのは2002年である.量産が始まったのは翌年の2003年のことだけれど,それからでも19年が経過している.もっとも,同じJR貨物の直流機のEF210は,最初に登場したが1996年だから,途中でシステムの変更が行なわれているとはいえ,もう26年が経つ! 両形式とも,いかに使い勝手がよい機関車だという証であろう.
本誌では2002年2月号のMODELERS FILEでご紹介した.
羽越本線4090列車を牽いて南下するEF510-14.すっかり地域に馴染んだ姿を見せてくれた.越後寒川 2019-9-16
このEF510に“異端”ともいえる500番代が誕生したのは2010年のこと.JR東日本が,“北斗星”や“カシオペア”の牽引を担当していたEF81の老朽化が著しいとして導入したものである.JR貨物とも全く無縁というわけではなく,同じJR東日本が受託していた常磐線の貨物列車の牽引を担当することにして,合計15輛が田端運転所に配置された.とりわけ509と510は車体が“カシオペア”客車とお揃いの銀色に塗装されて,さらなる“異色”ぶりを見せた.
北海道新幹線開業に伴ってJR貨物に移籍したのは既定方針だが,東日本大震災によって常磐線が不通となり,貨物列車が大幅減となったのは,目論見外れだったに違いない.
この500番代は2010年4月号と9月号のMODELERS FILEで詳細をお伝えしている.
“北斗星”を牽く,銀色のEF510-509.JR貨物への移籍後は流れ星やストライプは外され,本当に銀色一色となった.僕は残念ながらまだ実見てきていない.栗橋-東鷲宮 2014-3-8
そして3番目…4番目?…のバリエーションとして登場したのが300番代というわけである.
川崎車両でのお披露目では,残念ながら外観のみの公開で,運転室の撮影は叶わなかった.しかし,JR貨物のご厚意により,たくさんの写真を提供していただくことができた.
あす21日に発売の本誌2月号にも掲載したが,スペースの都合でほんの2枚を小さく掲載できただけとなった.そこでそれを補うという意味も含め,今日のブログで広くお目に掛ける次第.
川崎車両兵庫工場でお披露目されたEF510-301.ここでは,本誌や当日のブログに掲載できなかった1エンド側をお目に掛けることにしよう.2021-12-9 写真:来住憲司
この銀色の300番代を,“カシオペア”用と重ね合わせる人は少なくない.けれど,JR貨物からの発表にもある通り,元イメージはステンレス鋼製車体を持つEF81の300番代である.遡ればEF30,もっと昔に戻ってEF10のステンレス鋼製車体を思い浮かべる人も,あるだろう.しかし長らく九州地区の電気機関車の塗色として親しまれてきた赤も,車体裾やナンバープレートの地色に生きている.新しいのはスカートと台枠側面の青だが,これとて直流機の青15号類似色と考えれば,全てが伝統色を引き継いでいることになる.
12月9日のブログでは“アムトラックの機関車を思い浮かべる”というコメントもいただいた…….
さてその運転室である.ちなみに2エンド側を示すが,基本番代機では運転台背面のスイッチ類の配置が1エンド側と異なっている.300番代でも同じように違っていると思われる.
最初は運転台コンソール付近.レバーは,左から機関車だけにブレーキを効かせる“単弁”,その右が列車全体にブレーキを効かせる“自弁”,少し間を置いて右手がマスコンレバー,その直右が前後進切替レバーである.左端の赤いレバーは汽笛弁.メーター類はいずれもアナログ指針式で,左端の横軸ボビン式は左が交流電圧計,右が直流電圧計.各種表示等の右が圧力計,そn右は130km/hまで刻まれた速度計.その右のボビン式3連メーターは第1,第6主電動機の,そして全電流計.その右は機関車各部の状態を示すモニター.画面右端の運転時刻表挿し(モニター)下には交直流切換スイッチが見える.さらにその右のモニターはGPS情報を利用して列車位置情報などを把握して運転を支援するシステム,PLANETS用である,写真:JR貨物
運転台背面から補助席(昔なら助士席)側を望む.画面右側の日除けの右に見える赤いツマミとその上の筒は信号炎管である.写真:JR貨物
運転台背面.基本番代機の1エンド側では画面左側の壁面に多数のスイッチ類が並んでいる.天井には空調装置からの風吹き出しグリルが配されている.写真:JR貨物
EF510-301は無事に門司機関区へ到着し,機関区構内での試運転を実施したのち,年が明けてからは北九州貨物ターミナル構内で試運転,さらに今週初めには熊本操での目撃情報も上がっている.初期の性能確認作業は順調に進んでいるようである.
一日も早く,本線での列車牽引の勇姿を見たいものである.
※2021.01.21:記事は昨晩のうちに出来上がっていたのですが,操作上の手違いにより,公開が遅くなりました.お待ちいただいていた皆様には,申し訳ありませんでした.