7月上旬,会津を自動車で縦断する用事があった.ただ順当な経路を辿るのもつまらないということで,磐越西線の野沢駅近くのお寺に,ちょっと寄り道 してみた.目的はそのお寺のすぐそばに保存されているという除雪車.ラッセルのキ100形は全国各地で保存されている…だけでなく弘南鉄道や津軽鉄道では 今もなお現役だったりする…が,珍しいのはロータリー車キ620形.
 国道49号線から少し南へ下がり,磐越自動車道の築堤を潜ったすぐ先に目的のお寺,鳥追観音如法寺(とりおいかんのんにょほうじ).大同2/西暦807年の開創と伝わる古刹だというが,その境内に除雪車が保存された経緯は,よく知らないままでの訪問であった.
 なお磐越西線野沢駅からは西会津町民バスの大久保行きで鳥追観音前下車と鳥追観音のウェブに記されている.でも,利用方法などは,予め充分に確認しておいた方がよいかもしれない.

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彫刻がみごとな観音堂.慶長3/1613年に津川城主の手で再建されたものと伝えられている.

保 存車は境内から道を隔てた北側にあった.2輛が直列に並べられ,全体が大きな上屋で覆われている.柱も太く数が多くて,撮影には不向きだが,なにしろ除雪 車が大活躍していた沿線なのだから,積雪から車輛を守るためには当然の措置といえよう.近年では“SLばんえつ物語号”のクリスマス特別運転に際して,半 分雪に埋まりながら会津若松に辿りついた…というできごとが記憶に新しいほどに.

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いかにも丈夫そうな上屋に守られた除雪車2輛.先頭がキ621,次位にキ172.画面外右側には立派な記念碑があり,日付は昭和53/1978年となっていた.署名者は伊東正義氏.会津若松出身の国会議員である.

記 念碑の裏には,当時の西会津町長の名前により,“このロータリーとマックレーは当町学童の視覚教育資料の一助として西会津町尾野本出身の新田正夫氏から寄 贈されたものである”と車輛保存の経緯が記されている.“マックレー”という言葉が大いに疑問であり,最初はマックレーが保存されていて後にラッセルに置 き替えられたのかとも思ったけれど,帰宅後の調べでは,最初からラッセル車であり,誤認なのではないかと,思われる.

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ラッセル車キ172.上屋の軒先の説明板には“単線用ラッセル雪カキ車(マックレー車)(キ172)とある.誤認説は,この見出しに基づいている.車輛本体に銘板は見当たらなかったが,説明によれば昭和14/1939年の土崎工場製とのこと.

このキ172は,キ100の中でも標準的なスタイルを持つ1輛.台車はアーチバー.車体外部の塗装状態は悪くなく,表記もしっかりと残っているが,書き替えによって書体が現代風に変化していることが,惜しい.

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大きな回転羽根が造形美を見せるキ621.キ600の戦後増備タイプで舟底型テンダーなどが特徴のロータリー車だが,実はこの1輛しか現存しない.もともと5輛しか製造されなかったわけだが.

梅雨の合間の暑い午後,しばし除雪車と戯れて帰路についたわけだけれど,“道の駅 西会津 よりっせ”にちょっとさらに寄り道.そこで見付けたのは……

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栄川酒造合資会社の生貯蔵酒“水の音”.いかにも涼しい風情に手を伸ばしてみた.でも見掛けだけではなくて,冷やして呑んでみたら,汗がすっと引いていくような爽快な心地よさ.気に入ってしまった.

“栄川酒造”という名前に覚えがある方も少ないと思うが,有名なのは同じ会津でも磐梯町の酒蔵. こちらは地元,野沢の“栄川”で,読みも磐梯町の会社が“えいせん”であるのに対して“さかえがわ”.自社のウェブページを持っていないようで,詳しいこ とは,まだ知らない.いろいろ検索してみると,創業は文化4/1807年であり,石田三成の子孫が創業したのだともいう記述が…….