先週のここでお伝えした通り,JR東日本の次世代標準型E235系電車は,無事に配置区所である品川電車区…ではなくて東京総合車両センターに到着し,その翌々日,28日には早くも報道公開が実施された.
そこで,この日に目にすることができたこの電車の特徴の一部を,まずお伝えしようと思う.さらに細かいスペックなどは,近いうちの本文記事化でのお楽しみ….

お披露目の日のE235系量産先行車.先頭は山手線西側で池袋方先頭車となるクハE234-1.黒いドットでグラデーションを描いているのが目新しいが,こ
のグラデーション,客室の床や側面扉周辺など,各部に登場する.前照燈はJR東日本としては初めてのLED.16粒タイプで,通常は上半分の8粒が,ハイ
ビーム時には全16粒が点燈する.
まず気づいたのは正面と側面のLED.フルカラーであるというだけでなく,アニ
メーション的な表示もできるという優れものだった.そしてなにより,シャッタースピード1/1,000秒でもほとんど文字が欠けることなく撮影可能という
のが,我々には嬉しいところ.いや,それだけではなくて肉眼での視認性も格段に向上しているから,大いなるサービス向上といえる.
今から3年前,平成24/2012年7月号“Coffee Cup”の文末で,写真で文字が欠けないLEDの普及を願ったことがある.まさかそれが関係の人に伝わって今回のLED採用に繋がったわけではないと思うのだが,なにはともあれ,めでたいこと.
しかしこの電車の真骨頂は,もっと大切な部分に,たくさん存在する.
まずは主制御装置.長編成が前提の“国電”としては101系以来の,ペアを組む一組の電動車のうちの1輛に搭載された制御装置で2輛分8個の主電動機を制
御するという方式が廃されて,各電動車の床下に主制御装置を搭載,それぞれの車輛の4個の主電動機を制御する方式となったことが,もっとも大きな変更点か
もしれない.
そしてその主制御装置の素子にはシリコンカーバイド(SiC=炭化珪素)が採用され,さらに“量産先行車”らしく,三菱電機と東芝
の二つのメーカーの製品が半分ずつ搭載されていることも特徴.209系950番代…E231系900番代…を思い起こさせる…あの時は三菱電機と日立だっ
たが….三菱電機製はモハE235-1,モハE234-1,モハE235-2に搭載.東芝製はモハE234-1,モハE235-3,モハE234-3に搭
載されているようである.
電動空気圧縮機は3輛のモハE234に,クノールブレムゼ製オイルフリー・レシプロ式を搭載している.
駆動装置は平行カルダン.歯数比は209系などと同じだがE233系とは異なる14:99=7.07.
台 車は電動車がDT80.付随車は先頭の駐車ブレーキ付きがTR264,先頭車の連結面寄りとサハE235-1がTR264A,サハE234-1が TR264B.基本構造はいずれも同じだが,DT80のブレーキは片押し踏面式.TR264系は各軸2枚ずつのディスクブレーキが加わる.いずれも軸ダン パは準備工事だけで装着はされていない.なおサハE231-4600番代改造のサハE235-4600番代は元の台車である軸ダンパ付きのTR255をそ のまま使っている.

クハE234-1の先頭台車TR264.枕バネの右側に駐車ブレーキ用のシリンダーが見える.
パンタグラフはモハE235に搭載されているが,-2には予備パンタを取り付けている.またこの-2のクハE234-1方(東海道本線基準では下り方)のパンタグラフはアームが角パイプタイプだが,他の3基はE233系用のPS33Dと同形に見える丸パイプタイプである.

モハE235-2.上昇しているパンタグラフは角パイプタイプ.なぜこの1基だけが角パイプなのだろうか.ラインカラーは,窓下の帯に代えて側扉部にあしらわれている.ホームドアの普及に伴う変化といえよう.
モ ハE235-1の屋根上に搭載されていた箱は,やはり検測装置で“電車線路設備モニタリング装置”というのだそうだ.そしてその隣りのサハE235-1の 床下には,“線路設備モニタリング装置”が取り付けられていた.これにより,営業列車での地上設備のチェックが可能となり,効率が大幅に向上するわけだ.
一般の人々にとって大切なのは客室.
まず目につくのが,いわゆる中吊り広告の取り付け具がないこと.その代わりに,荷物棚の奥にたくさんの液晶画面が並ぶ.荷物が衝突したらどうなるか?などと余計な心配をしてしまうが,もちろんそんなことは織り込み済みで強度などは確保されているのだろう.
それから,東急電鉄のサハ5576に採用されたロールバーが全面的に採り入れられている.袖仕切りの一部が半透明になったのも目新しい.

吊り手は山手線の緑.E233系の黒い吊り手は僕にはちょっと重い印象だったから,これは歓迎すべき変化.幕板にずらっと並んだ液晶画面が壮観.
このE235系量産先行編成は,秋頃には営業運転に投入される.その後,各種データを反映して量産仕様を決定し,平成30/2018年頃から量産が始まる見込みとのことである.
※2015.04.03.:適合台車形式一部修正