今週日曜日2月15日の午後,名古屋鉄道…名鉄舞木検査場で,新造電気機関車EL120形の報道公開(同社の案内では“内覧会”)が実施された.
 このEL120形,1月29日に東芝の府中事業所を出発する甲種輸送列車で武蔵野線から東海道線を経由して翌日に笠寺へ到着,翌日そこから名古屋臨海鉄道を経由して大江で名古屋鉄道線入りしたものである.
  いわゆる私鉄向けの,一般的な形態や性能を持つ電気機関車が新造されたのは,いつ以来だろう……秩父鉄道の500形か東武鉄道のED5080形,はたまた 西武鉄道E31形…….もっと伏兵がるのかもしれないが,とにかく,“久し振り”であることに間違いはない.発注者である名鉄では,リリースに“製造から 70年以上経過している従来の電気機関車…”と記しているし,東芝も,自社のプレスリリースに“約45年ぶりに民営鉄道事業者向けに新型電気機関車を納入”というタイトルを付けている.

我々を待ち受けていたEL120形.名鉄創業120周年にちなんでの命名だという形式名の“EL120”を正面に掲げ,側面には名鉄伝統の書体で,121と122という番号が立派なステンレス切り抜き文字で取り付けられている.
  車体はもちろん(?)名鉄スカーレット(スカーレットレッド)で装われている.その車体中央部付近を一周する飾り帯もステンレス製だが,正面はちょっと 6500系や岐阜市内線のモ770やモ880に通ずるものがあるというか,なんとなく“名鉄”を感じさせてくれるデザイン.一方,同じ飾り帯が側面で ウェーブラインを描いているのはEH800風といえるかもしれないが.
 さらに,正面腰部左右のライトケース間をブラックアウトしているのは3150・3300系を思い出させてくれるし,屋根肩部のライトは100系に通ずるイメージ…….ということで,全身に“名鉄らしさ”が横溢しているといえるだろう.

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70年の歳月を経て,同じ東芝の府中で生まれた機関車が並んだ.機関車に感情があるならば,お互いになにを思っただろうか.

名鉄では現在も6輛の電気機関車が在籍しており,貨物の一般営業こそないものの,新造車輛の搬入のほか,レールや砂利などの保線資材の輸送に活躍している.
 近年,新造車輛の搬入には特別仕様の電車を用意する会社が増えた.資材輸送は車輛扱いではないモーターカーで深夜に実施する会社線が多い.ではなぜに名鉄では機関車なのか.
 作業そのものは終電と始発との間に実施するとしても,車輛…機関車ならば,線路閉鎖などの特殊扱いが不要で,現場までの移動などは昼間に行なうことが可能.その結果,効率の向上を図ることができるわけだ.
 実際,EL120形のスペック表を読んでみれば,貨車牽引時こそ最高速度は時速45キロに抑えられているものの,単機回送時には時速100キロでの走行が可能とある.
 これによって,機関車運用の大幅な効率アップが実現し,これまで6輛を必要とした機関車を,僅か2輛で賄うことができるのだそうだ.

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台車は新日鐵住金のFS571MB.ほぼ同形FS571台車は,同社の4000系に使われている.機関車なのに台車は電車用,という例は,古今東西の私鉄に 数多く存在する.“私鉄電機”らしい組み合わせといえるかもしれない.ちなみに主電動機は4000系の170kWより強力な190kW.ギヤ比は5.65 に対して6.53だから牽引力重視ということがわかる.

正面に回ってみれば,スカート周辺が賑やか.通常のブレーキ管のほか に直通管,総括制御のためのジャンパ栓があり,その横のスリットの中にはタイフォンとミュージックホーンのための電子笛が並ぶ.直通管と電気回路を貨車に も引き通すことによって,機関車が編成の前後に連結されていても総括制御運転が可能となる.

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豊橋方から見た121.赤いコックのブレーキ管の右に見えるのが総括制御用ジャンパ栓.その右のスリット内にタイフォンとミュージックホーン用電子笛がおさめられている.スノウプロウが標準装備されているのも特徴の一つだろうか.

さ て運転台.コンソール周辺を見ているだけでは,この車輛が電車なのか機関車なのか,よく判らない.コントロールハンドルも右手操作式の横軸ワンハンドルだ し.そういえばスペック表の“制動形式”には,電気指令式ブレーキ 貨車自動ブレーキとある.機関車単独での運転時には,電車と同じ応答性の高いブレーキ を使うことができるわけで,最高速度が時速100キロというのも納得…ならば,条件さえ整えば電車との併結運転も可能だろうか…これは妄想.

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運転室の運転席周辺.右手操作式横軸ワンハンドルのコントロールハンドル.速度計の目盛りは時速150キロまで刻まれている.

この2輛の機関車,2月上旬から本線での試運転が始まっているから,沿線にお住まいの方は既に走る姿を目撃しておられるかもしれない.
 試運転や試験は3月末頃まで実施,4月一杯は乗務員の習熟運転を行なって,5月から本格的な稼働が始まる予定とのこと.
 注目の在来機だが,EL120形に問題がなければ,まずは600形4輛を来年度で廃車し,再来年度には残る2輛の400形も廃車とする予定とのこと.6輛の中でも400形は,愛知電気鉄道のオリジナルなのだから,なんとか保存の策がとられることを願いたいものである.

そ れでこの電気機関車.名鉄では4輛ぐらいを投入すると思っていたのだけれど,僅か2輛ではもったいない.…と思っていたら,東芝のリリースに は,“40~50トンクラスの新型電気機関車も新たなラインナップとして,国内の鉄道事業者に展開していきます”とあるではないか.さて,その先は大井川 か三岐か秩父か…….楽しみなことである.

なお,このEL120形については来月発売の“とれいん”で詳しく紹介の予定.楽しみにお待ちいただければ幸いである.

ということで,3月20日発売の4月号にMODELERS FILEとして掲載しています.

※2015.02.20:一部語句修正
※2015.03.21:掲載号リンク追加