明けましておめでとうございます.
今年が,ここを観てくださっているみなさんにとって,すばらしい年となりますように.

さて今日は元旦.どんなことを話題にしようかと思いを巡らせてみたら,昨年の11月26日に開催された“東日本鉄道文化財団学芸員トークライブ”の模様を,まだお伝えしていなかったことに気がついた.

既にここで何度かお伝えしている通り,昨年11月から,鉄道博物館旧新橋停車場鉄道歴史展示室東京ステーションギャラリーでは,“東京駅開業100年”に関する企画展を開催している.これらの施設はみんな東日本鉄道文化財団に属していて,日ごろはそれぞれが独立して活動しているのだが,今回の東京駅100年に際しては,歩調を揃えて企画展を催したというわけである.

さてそのトークライブ.メンバーはといえば,鉄道博物館から川野敬子さん,東京ステーションギャラリーからは富田 章さん,旧新橋停車場からは河野真理子さん.モデレーターは旧万世橋駅担当の誉田 匠さん.
 トークショー……違ったトークライブは自己紹介に始まったが,皆さんのユニークな経歴,そしてそれぞれの“私と東京駅”のエピソードに大いに興味を惹かれたことである.

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会場は東京駅ステーションギャラリーの一室.平日の夕刻というのに,部屋は多くの参加者で超満員.東京駅そのものの内部で東京駅の100年に関するエピソードを聴くことができるなんて,得難い機会.

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会場に隣接した部屋には,東京駅と周辺にまつわる史資料が特別展示されていたが,中でも注目の存在は,新永間高架橋の工事写真帖のオリジナル.組立暗箱に よって撮影された鮮明な写真の数々は貴重な記録.印画紙が傷んでしまわないうちに,なんとか高品質の印刷で記録保存したいものである.

意外でもあり,でも“やっぱりね”とも思ったのが,今回のそれぞれの企画展の内容を煮詰めるのに際して,それぞれ連絡しあって調整し…ではなく,独立して進められていたらしいこと.
 もちろん,基本的な部分についてはお互いに重複しないように打ち合わせが行なわれたのだろうけれど,具体的な展示物の探索などについては,“歩調を揃えて”といいつつも,独自に行なわれたのだという.
 だからこのトークの会場で各学芸員さんの口から,“えっと,これは苦労してみつけてきた資料なのですけれど,きっと鉄道博物館にも収蔵されていないのではないでしょうか……”などという類の発言が続出した.
  やはり“史資料”の集積度は,呉服橋時代からの歴史に裏づけされた鉄道博物館が圧倒的に高い.それに張り合って(?)100年間の歴史を語ろうとすれば, 苦労は多かったことだろう.でももしかしたら,だからこそ自分たちで独自に探し求めることに,担当学芸員さんたちは,ある意味,意義を見いだされたのかも しれない.
 だからこそ,“それぞれの”東京駅展が充実した内容になったのだと思う.みなさん,達成感満点だったに違いない.
 だからこそ,それぞれに独自性の高い内容が展開されることになったわけで,これまた何度も記している通り,3つの企画展すべてを観覧して初めて,東京駅100年の全てが解るという思いを新たにしたのだった.
 ライブはその後,鉄道博物館の学芸員である奥原哲志さんの飛び入り(?)もあって,話題は四方八方に展開.文字通り“楽しくも役にたつ”ひとときとなった.

“ライブ”を文章でお伝えするのは,とても難しい.オフレコの発言が飛び出すこともあるし.幸いにしてこのトークライブ,1月10日にも場所を変えてもう一度開催される.
 生のトークを体感したい人は,ぜひ,大宮へ.

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東京駅100年3つの東京駅展学芸員トークライブ
東日本鉄道文化財団が運営する鉄道博物館、旧新橋停車場鉄道歴史展示室、東京ステーションギャラリーの3館では、開業100年を記念して東京駅展を開催します。各館の担当学芸員が、それぞれの東京駅展を紹介しつつ、展覧会の苦労話やウラ話をざっくばらんに語り合います。

講師:冨田章(東京ステーションギャラリー館長)、河野真理子(旧新橋停車場鉄道歴史展示室学芸員)、川野敬子(鉄道博物館学芸員)、モデレーター:誉田匠(旧万世橋駅担当学芸員)

日時:2015年1月10日(土)13:00~14:30
場所:2Fステンドグラス前

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このトークライブを聴くため,久し振りに東京駅丸の内北口を訪れたのだが,その際に,鉄道博物館での企画展展示説明で初めて知った,3階回廊のブラケットにあしらわれたお月様を改めて観察してみた.写真は満月状態

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こちらは三日月状態.ぐるっと一周で月の満ち欠けが表現されている.ドーム壁面の干支のレリーフといい,なんとも遊び心に満ち溢れた建物だというのを,再認識.

※ここに掲載したトークライブ及び特別展示会場内の写真は,このブログに掲載するために予め許可をいただいて撮影したものです.