今年12月20日が,東京駅の開業100周年記念日であることは,既に各方面からリリースされているのでご存じの方も多いことだろう.山手線では 10月11日から“煉瓦色”にラッピングされた編成が走りはじめているし,12月19日には東京駅から伊東駅まで特別記念列車が走る…などを10月号“いちぶんのいち情報室”でお知らせしている.
  山手線のラッピング編成は,完成予想イラストを10月号に掲載したが,残念ながら僕はまだちゃんと観察できていない.それどころか,反対方向の列車として すれ違いざまに,チラッと見かけただけに過ぎない.早くちゃんと記録せねばと思っているうちにカレンダーはどんどん進んで,もはや11月20日となった.
東京駅100周年まであと1ヵ月の今日,大宮の鉄道博物館で,22日から始まる“東京駅開業100周年記念企画展 100年のプロローグ”のプレス・プレビューが催されたので,開幕より一足早く,そのハイライトをご紹介しよう.

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企画展の会場は博物館2階の“スペシャルギャラリー”.入り口には復元された東京駅丸の内駅舎全景と,水鏡のように天地反転した骨格のCG(コンピュータグラフィック)をあしらった大きな画像が掲げられている.

展示は“東京駅開業前史”,“東京駅誕生”,そして“東京駅開業後”の3部構成.
 明治5/1872年の鉄道開業以降の東京都心部への鉄道線路延伸の様子から説きはじめ,東京駅の場所選定,“中央停車場”としての位置付け,そしてそれらに関わった人々の紹介と続く.

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東京の周囲から都心へ向けて鉄道線路が延長され,やがて各ターミナルが結ばれ,環状線路と東西横断線路が完成する様子が図で示される.東京もロンドンやパリのようなターミナル分立時代があったことが一目で理解できる.説明するのは奥原学芸課長.

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ドイツ人技師フランツ・バルツァーが提案した和風建築による中央停車駅駅舎.これまで図面ではその姿を見ることができたが,今回初めて,1/200の模型が 製作されて立体的に実感することができた.画面右が新橋方で,南から乗車口,皇室専用口,降車口と並ぶのは,後の辰野金吾による設計と同じ.

東京駅本体と東京駅から新橋にかけての連続高架橋建設の過程は,一段ときめ細かく写真や図面で紹介される.これらの写真も図面も,オリジナルを間近に鑑賞できるというのは,まことに得難いチャンス.
 復原の際に製作された装飾の,レプリカやオリジナルを展示している他,ベルリンの市街鉄道風景との近似性もこのコーナーで語られている.

“開業後”は,東京駅に出入りした列車や車輛などが,第2次世界大戦後を中心として列挙される.

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第3章の入り口には,塗り分け試験機のEF58 4の模型と東海道本線全線電化記念ヘッドマークと“あさかぜ”のヘッドマークが.その右には151系“こだま”.このあと,電車急行などの車輛模型やヘッドマークなどの現物の展示が続く.

そして締めくくりは現在の東京駅.“名所案内”と題して,東京駅100年の歴史と密着した,12ヵ所の注目ポイントが紹介されている.

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締めくくりの“東京駅名所案内”.ドームの装飾からホーム上屋の柱,オリジナルを残すホームへの階段など12ヵ所がチョイスされている.そして左は“明日への東京駅”.来年には北陸新幹線の延長開業や,東京と上野を結ぶ“上野東京ライン”の開業があり,東京駅は,さらに新たな一歩を踏み出すことになる.

さて“東京駅100周年記念行事”は,これだけではない.
 引き続いて12月9日からは旧新橋停車場歴史展示室で企画展“東京駅開業とその時代”が始まる.
 さらに12月13日からは東京ステーションギャラリーで“東京駅100年の記憶”も開催される.
 これら3ヵ所すべてを巡れば,あなたはもう東京駅のオーソリティ.

そうそう,年明け1月10日の午後1時半から,鉄道博物館で,“東京駅100年 3つの東京駅… 学芸員トークライブ”が開催される.鉄道博物館と旧新橋停車場の企画展を担当した学芸員さんとステーションギャラリーの館長が集っての,“ライブ”! 必見必聴!.問い合わせは鉄道博物館へ.

※ここに掲載した写真は,報道公開に際し,このブログに掲載するために予め許可をいただいて撮影したものです.会場内は撮影禁止です.

※学芸員トークライブの日付けが間違っておりました.1月10日が正当です.修正いたしました.2014.11.21

※2014.11.21:一部語句修正