昨日,JR東日本の定例社長記者会見において,大宮の鉄道博物館を,開館10周年を迎える平成29/2017年10月の完成を目途にリニューアルする,という発表があった.
もっとも大きな動きは,敷地の南端に新しい建物を建設すること.その新館に“仕事”“歴史”“未来”“旅”という4つのテーマでの展示を行なうことだろう.規模は地上5階建,延べ床面積が約8,500平方メートル,うち展示面積は約4,800平方メートル.
それらのうち,1階の“仕事”の展示スペース(新たに“ステーション”という名前が与えられている)に,初めての新在直通車輛として画期的だった400系を保存展示し,対して最新の,という意味合いからE5系新幹線車輛も展示されるという.
E5系は登場したばかりだから保存車輛などあるわけなく,実物大のモックアップであるわけだが,どの程度まで現物と同じ構造になるのか,それはそれで興味津々.
400系は,分併裝置を持つ東京方先頭車の411形1輛(最後まで現役だった第3編成の411-3だろうか)が保管されているから,それを持ってくることになる.
その他のフロアは,2階が“未来”,3階が“歴史”4階が“旅”のステーション.そして最上階という構成.
新館の完成予想図.吹き抜け部分を設けて明るい光に包まれた展示スペースになるという.照明や空調設備には,できるだけ環境に負荷を掛けないシステムを採用することになっている.休憩室などとして使われている485系電車は健在のようである.写真:JR東日本
これが“仕事”ステーションの全体イメージ.400系はここでは姿が見えない.その代わりに,埼京線仕様と思しきE233系の運転室部分が描かれている.シミュレーターが仕込まれているのだろう.写真:JR東日本.
本
館部分では,これまでの“ヒストリーゾーン”を“車両”のステーションに模様替えするという.プレスリリースでは,車両の躍動感や迫力を,大型映像や音,
照明などに寄る演出で再現するとあり,さらには“最新のICT”を活用して,車輛が活躍していた時代の姿を再現するという.
さて,この中の
“ICT”という略語の意味がわからなかった.調べてみたら“Information and Communication
Technology”の略語なのだそうだ.しばらく前までは,真ん中の“Commnucation”がない“IT”,すなわち情報技術という言葉が一般
的に普及していたわけだが.そこにコミュニケーションが加わったらどうなるのか,新しい言葉が,僕にも一気に身近なものになった.
本館では,パノラマレイアウト(正式には模型鉄道ジオラマであるそうだが)が全面リニューアルするという.これまでのガラスの仕切りを撤去して,模型の情景と観覧者との距離感を,より近いものにするのだという.
さて,ここで僕たちが重大な関心を持つのが,これまでのヒストリーゾーンに保存展示されていた車輛たちの処遇だが,今のところ陣容に変更の予定はないとのこと.JR東日本の管内各地で保管されている車輛たちの行方が気になる読者も多いだろうが,今後に注目したい.
公表された,新しい“車両”のステーション.転車台の外周部に3枚のC57の写真が掲げられている.これが実際にはICTによって,実感味溢れる展示になるのだろう.写真:JR東日本
も
うひとつ,完成予想図で気になったのが,これ.今までの“ラーニングゾーン”に設けられる“キッズスペース”なのだが,画面中央に描かれているのが,どう
みても冷房化改造された101系なのである.そんな保存車,あったっけ? まさか館内の保存車であるモハ90の試作車を活用するのではあるまい.どこから
調達してくるのだろうか.写真:JR東日本