つい先日,久し振りに鴬谷駅を利用した.その時,なんとなく“おや?”という感じがした.
 すぐにはその理由が解らなかったのだけれど,改札を出て入谷方面への跨線橋…凌雲橋というのだそうだ…を渡りながら振り向いた時,ようやく理解できた.
 駅の跨線橋とその周辺が塗り直されていたのだった.しかも,骨組みに使われている古レールの色がこげ茶色.少なくとも何年か前までは,違う色だったような気がする…….

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山手線鴬谷駅の跨線橋,改札から跨線橋への通路途中から見る.調べてみたら,4年前には古レールの柱の色が,外壁のベージュに近い薄茶色だった.今回の色が,僕は好き.

用事が済んでの帰り道,少し時間を盗んで,改めてこの跨線橋を観察してみた.
  跨線橋の骨として使われているレールは,これまでの塗装が剥離されたのか,塗膜が薄くて,いくつかの銘を読み取ることができた.もっとも,地肌が荒れてい て,すぐには判読が難しい文字も多い.短い時間の中でざっと観察したところではカーネギー(Carnegie Steel)の名前がもっとも多いように思えた.
 いつもの参考資料“古レールのページ”では,その他にイリノイや,国産最初期である1902年の八幡製鉄製もあるというのだが,残念ながら,僕の目では発見することができなかった.

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跨線橋の南東隅柱で見つけた,2本のカーネギー.左が1908年,右が1910年だろうか.右側のレールの下部には,いくつかのアルファベットが刻まれているのだが,よく読めない.僕の目にはA,I,K,Pにも見えるのだけれど,そんな発注者名はないし……

“古レールのページ”では,八幡製鉄所製レールは跨線橋橋梁部の梁にあるという.さて,どの梁か…….いずれにしても近づきづらい部分である.この日に撮影した写真をいろいろ拡大してみても,それらしき刻みを発見することができなかった.
  この跨線橋には,僕にとって不思議な部分があって,それは階段部のホーム側構え.横梁に相当する部分でレールが継がれているのだけれど,そしてそれはよく あることなのだけれど,隙間が,とっても大きいのだ.これまでの間に拡幅工事でも行なわれたのかとも思ったけれど,ならば,その上にあるアーチ状のレール ニも隙間とか不自然な継目が存在しなければならないのだけれど,それは,ないのだ.しかもこれは,南行きも北行きも,両方の階段に存在する.さて,なんな んだろうか….

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階段のホーム側の構え.二重になっているレールのうち,内側の構えの上辺に不自然は隙間が.拡幅工事の痕跡でもなさそうだし,なにかの調整代とも思えない.不思議だ.

さ て,この鶯谷.ホーム上屋の柱や梁も,北端部を除いてレールで組まれている.何ヵ所かに銘らしき文字が存在するのだが,塗膜が厚く,しかも表面が荒れてい て,そのほとんどどが判読不能なのが残念.この駅でも,他の山手線各駅と同様,ホームドアの浩志が本格化しようとしている.その工事に際して,全面剥離し て塗り直し……などということは…ないだろうなぁ.

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跨線橋階段あたりから北を見る.ホーム間の架線ビームは上屋の梁を延長した古レール.2本のレールのの間に3つのリングを配した装飾は田端駅と軌を一にするデザイン.しかし田端が2本の帯金を組み合わせているのに対して鶯谷は1本だし,レールの曲げ方も違っている.

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跨線橋から見た駅本屋.その真下を京浜東北線の北行き線路が潜っている.ちょっと異次元な光景のように思うのだが.画面左奥にみえるのが凌雲橋.