制御装置こそインバータ方式に更新されているとはいうものの,車体は古参の7000系や7200系のそれを活用した7700系や7600系が現役として残る東急電鉄池上・多摩川線に,ニューフェイスが登場することになった.今日はその電車の鉄道趣味誌向け報道公開のために車庫がある雪が谷大塚へ出向いた.
今回のニューフェイス,新造車ではなく改造車.その種車は,昨年春の東横線と地下鉄日比谷線との相互乗り入れ運転休止に伴って余剰となった地下鉄乗入れ用
の1000系8輛編成.その中から両先頭車(クハ1000,クハ1100)とM1車(デハ1200)を利用して2M1Tの3輛編成に組み替え,五反田・多
摩川方からデハ1500,デハ1600,クハ1700としている.
制御装置は池上線用の新7000系と同様のタイプ(東芝製SVF091-
B0=1C4M×2群)に変更している.台車は種車のTS-1006(動力車)とTS-1007(付随車)を利用しているが,パンタグラフは東洋電機製シ
ングルアームタイプを新調してデハ1600に2基搭載.空調制御装置も新しくなっている.
車体には新7000系を意識した緑濃淡の帯を入れ,客室見付けも7000系に近い配色とするなど,新しさを強調したデザインとされている.

五反田方から見た池上・多摩川線用1000系1500番代.手前からデハ1500,デハ1600,クハ1700.一桁の数字は編成ごとに揃えられ,また,種
車の番号を踏襲する.この編成はクハ1003,デハ1203,クハ1103が種車というわけである.改造は総合車両製作所.雪が谷検車区 平成
26/2014-5-2 写真全て:前里 孝

客室は内張り,床材,腰掛け表地,車椅子スペースなどが新しく,照明は川崎重工製のLEDに更新されている.
池 上・多摩川線ではワンマン運転を実施しているので,定位置停止支援装置や情報伝送装置(デハ1500の運転室に搭載),非常通報装置,自動放送装置などの 機器を新たに搭載している一方で,地下鉄乗り入れのためのATCや列車種別表示装置は撤去している.行先表示はLED化されている.
現在,
最初の編成が試運転中.具体的な営業運転開始時期はまだ発表されていないが,それほど遠くない時期だろうと思われる.増備計画は未確定の部分があるとのこ
と.ただ,下一桁の数字が種車の車号を踏襲することは決まっており,その結果として欠番が発生することになるだろう.
現在7600系は2編成,7700系は10編成が残存しているが,残っている1000系の元日比谷線乗り入れ用編成をどのように活用するのか,それによってこれら旧型車の動向が決まるわけである.注目したい.

7000系の車体を利用してインバータ制御車に改造した7700系トップナンバー編成.とはいえ7000系のトップナンバー編成ではないが.いずれにしても今後の動向が気になる.