実のところ,6月11日の撮影ツアー取材にお誘いいただくまで,京成電車の観察や撮影とは,しばらくご縁がなかった.だから,久し振りに眺める京成電車の,大きな変化にはすぐ気づいた.それは屋根上である.
 京成電鉄では,今年度の事業計画の中で“デジタル列車無線の完備”を謳っている.そのための準備が車輛側でも着々と進んでいるというわけである.
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最新形である3100形は当然のこととして,在来車の多くに,筒状の新しい列車無線アンテナが取り付けられていた.写真は,3400形編成写真撮影会場の横に留置されていた3000形の一群.中央の3055は,つい先日,スカイアクセス線色から一般色へと装いを変えたばかりの編成だという.

その一方で,3400形や3600形は,これまでの誘導無線用ループタイプアンテナしか見えない.このあたりの違いが,京成電鉄車輛ラインアップの,来年度以降の陣容を想像する大きな手掛かりとなるのだろう.もっとも,工事は実用化直前まで続くから,今取り付けられていないからといって,来年度以降は使われない,ということには,ならない.

そこで,翌週の日曜日,第2回目のツアー列車である3600形リバイバルカラー編成を観察するのを兼ねて,高砂駅隣接の歩道橋で,少しウォッチングしてみた次第.
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最初に撮影したのはスカイライナー.運転室の屋根に,ちゃんと円筒形アンテナが取り付けられていた.

続いては,順調に数を増やしつつある3100形3150番代3154の編成がやってきた.
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円筒形アンテナが2基,取り付けられている.本誌2019年12月号(通巻540号)MODELERS FILEの時点では台座だけ取り付けられていた.

撮影はできなかったのだけれど,3000形の中にもアンテナ2基の編成が存在するようである.どういう違いがあるのだろうか…….
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3700形は,2基の誘導無線アンテナの間に取り付けられている.
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同じ3000形でも3006は3700形と同じように,誘導無線アンテナの間に取り付けられていた.この違いは,そもそも誘導無線アンテナの取り付け位置が異なっていることに起因するのかもしれない.

そして京成電車の合間には東京都交通局5500形も姿を見せる.こちらは2018年11月号(通巻517号)のMODELERS FILEでご紹介した.
 ほんの僅かの観察に過ぎないけれど,装着完了は,ぎりぎりまで時間を要しそう.5300形が1編成残されているというのは,改造工事の予備編成なのだろう.
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第15編成.これが落成時の姿で,台座ではなく丸い塞ぎ板が2ヵ所に設けられている.
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第24編成は未装着だが,準備工事は塞ぎ板ではなく台座である.塞ぎ板と台座の境目は何番なのか,今となっては現車からの観察は難しいかもしれない.
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そして第1編成.アンテナ装着済みだった.



ということで,気になりはじめたら落ち着かなくなって,ツアーの翌週も,猛暑という天気予報もものともせず,京成高砂まで出掛けてしまった,そのレポートをお届けした次第.