先週土曜日の東急電鉄長津田での取材時,待ち合わせていた取材メンバーから“八王子にシキ611がいたよ”と教えられた.そうだ,久しぶりに公開情報となった,中央本線での特大輸送は今日だったんだ.とれいん8月号の“甲種・特大情報”にスケジュールを掲載していたのだが,今日だったということが,頭から抜けていた.仮に覚えてたとしても,ぼくの長津田へのルートからは大きく外れるから,“行掛けの駄賃”にはリスクが大きい寄り道になるわけだが.
 特大輸送,なんと魅惑的な言葉だろう.古の“闊大貨物”ならばなおさらのことだけれど,昭和40年代に,現在の呼び方に変更されてしまったから,それはしょうがないこと.
 思い返してみれば,福知山線の伊丹だか塚口だかに,なにやら“変な形”の貨車が留置されていて,それが“大物車”であることを知るのは,中学生の頃のことだった.
 各地へ旅行するようになってから,時折沿線で出会うことはあったものの,そのころには運転情報など得られるはずもなく,撮影は,たぶん,ほとんどできていないと思う.
 JR貨物や各方面からのご協力を得てとれいんで特大輸送の運転情報を掲載するようになってからは,特大輸送を目指して出掛けてこともあれば,出先で時間調整して待ち構えたことも,なんどかある.近年は運転される本数そのものが減っていることに加え,このところは詳細の運転計画の決定が締め切りに間に合わないということが続いているのが,とても残念で申し訳ないと思っているところである(今回の情報掲載に際して,一部駅名に誤植があったのは,それとはまったく別問題である.失礼しました).

さて8月6日午後の八王子駅.ホームにはちらりほらりと同好の士が見えるが,いたって平和な雰囲気.夜明け前から停車しているのだから,熱心な人々は,午前中に訪問観察を終えていたのだろう.
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留置線で待機中の9497列車.いや,八王子からの9495列車というべきか.いやいや,留置中だから列車番号はないだろう.甲府方に連結されているのはHD300-37.今年の2月に落成したばかりの,新車である.

それにしてもHD300,気が付けば数が増えたものである.新鶴見ではそろそろDE10の活躍は終わりが近いのではなかろうか.
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シキ611の全景.梁はB1.昭和46/1971年の日本車輌製で,5輛製造されたシキ610形の,唯一の現役車である.
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伝統の日通マーク.トラックなどを含めて続々と新ロゴに移行し,このロゴは残存数が激減している.
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しんがりを務めるのはヨ8629.末広町発南松本行きの車票が挿されている.今年の4月に川崎車両所で全般検査を受けたばかりのようである.

ということで,行先は南松本.7日に到着して荷卸しのあと,翌8日に南松本を発って9日に宇都宮貨物ターミナルへ帰着した.もっとも現車の常備駅表示は小山のままとなっているが,実際にはどうなのだろうか.

 ちなみにシキ611の票挿しにも車票は入れられていて,シキ611B1,変圧器とあり,第3限界,最大高4,080mm,最大幅2,960mm,最大長さ10,280mm,貨物下面と軌条面との間隔152mmと読めた.大高さはうまく読み取ることができなかった.ちなみにこれは,改札を出て自由通路のデッキから観察したものである.

さて,次に特大貨物と出逢うことができるのは,いつのことだろうか.