北海道の“国電”といえば,なんといっても昭和42/1967年の札幌と旭川の間の電化に際して登場した711系を忘れるわけにはいかない……というか,その後,北海道に姿を見せた国鉄電車は485系1500番代と781系だから,いわゆる“国電”は,この711系が唯一の存在となった.
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札幌駅に留置中の711系S-109編成.昭和55/1980年の川崎重工製で,室蘭D年かに備えた増備車だった.平成13/2001年には冷房化されたこともあり,711系の最後近くまで現役だったという.僕が711系電車を見たのは,この時が最後となった.2007-8-27

JR北海道の発足後は3扉クロスシートの721系をはじめとして,同じ3扉ロングシートで201系気動車との強調運転を考慮した731系,一部に指定席を備え,7輛固定編成も存在する733系,そしてアルミ合金製車体を採用した試験的車輛としての735系が存在する.

けれど今回の737系は,正面も側面も,デザインはこれまでの電車と一線を画している.
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正面貫通や裾絞りのある車体断面などは共通(数値は異なるだろうが)ながら,側扉は車体両端に寄せられ,その間には極めて幅の広い側窓が5枚並ぶ.そしてなにより,どうやらアルミ合金製にも見える……リリースに,明確に“アルミ合金製”と記されている.写真:JR北海道

車体塗色は“さくら色”と呼ぶ,淡いピンクだそうである.正面は黒をベースに,腰板へコーポレートカラーであるライトグリーンと,警戒色としての黄色を組み合わせたアクセントをあしらっている.
 台車は軸梁式に見える.パンタグラフはシングルアーム.
 車体は日立デザインの香りが漂い,台車は川崎重工…川崎車両の好み(?).あるいは両者合作だろうか.
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737系の投入目的は,この気動車の置き替え.とはいえ,この写真は札沼線大平付近で2007年に撮影したものであ.札沼線は既に電化されているから,投入先は室蘭,苫小牧方面ということになる.2007-8-27

キハ141系の置き替えが目的とするならば,両端に位置する側扉も納得のデザインといえよう.しかし室内はといえば……
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扉間には27人分のロングシートが設けられている.通路を挟んで反対側は一部が区切られてフリースペースとなっているからそれほど圧倒的なイメージはないが.写真:JR北海道
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平面図と側面図.左が電動車で右が付随車.付随車側に車椅子対応トイレと車椅子スペース,側面図で電動車の連結面寄りと付随車の連結面Y乗り側扉右側の,窓のない部分は機器室ということに案るのだろうか.提供:JR北海道
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画面左側の腰掛が途切れている部分がフリースペース.その手前の朱色の表地部分は優先席だろうか.写真:JR北海道

形式は,電動車がクモハ737-1~,付随車がクハ737-1~.定員はクモハが136名,そのうち座席定員は49名.クハの定員は133名でそのうち座席は44名.クモハが室蘭方先頭車となり,クハが苫小牧方先頭車となる.
 なお,JR北海道の通勤形電車としては初めてのワンマン対応車となるそうだ.
 製造数は13編成26輛が計画されている.

現車の登場が楽しみである.そうすれば,久し振りに津軽海峡を渡ることができるだろうか.