吾妻線の小野上駅といえば,バラストに使う砕石の出荷駅として,知る人ぞ知る存在である.現在はDD51の担当だが,国鉄時代にはEF12の働き場所として,旧形電機ファンには注目されていた列車である.
 とれいん10月号のMODELERS FILEのための写真を撮影させていただくために高崎へ出向いた日,家を早くに出発して,ちょっと寄ってみた.
 というのも,この春以降この駅を発駅とする砕石輸送列車の運転がなく,どうなっているのだろうかと,疑問に思っていたから.
 バラスト用の砕石なのだから,おいそれと廃止になることもなかろう,とは思うものの,東海道本線真鶴発の砕石列車が,いともあっさり廃止されてしまった歴史もあることから,油断はできない.

吾妻線沿線に出掛けるのは115系特集で訪問して以来だから,10年ぶりのことだろうか.八ッ場ダムの堰堤が,ようやく姿を見せはじめ……いや,そのあと,レイルNo.91での,河村かずふささんの写真と分に寄る“草軽電鉄から長野原そして小海線と中央本線”という稿の,長野原線部分の“今と昔”を検証するために川原湯温泉駅や大子駅跡に出向いているから,8年振りということになる.
 もっとも,それにしても,往来していた電車は,特急列車こそ651系に置き替えられてはいたものの,普通列車は相変わらず115系の天下であった.
 ちなみに平成23/2011年に祖母島駅を訪問した時のことは,5月13日付けのここで記している.
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春雨がそぼ降る,あいにくの天候だったが,それはそれで,趣き豊かな撮影行ではあった.写真は第二吾妻川橋梁を渡る115系3輛編成の大前行き.新線に切り替えられてからの再訪は,実はまだ果たせていない.平成26/2014年4月30日

そして今年8月24日の小野上駅.
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平成19/2007年に建て替えられた駅本屋.本屋とはいうものの,駅員無配置または簡易委託駅としてのデザインである.
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渋川方に架けられた跨線橋から駅全体を見渡す.最初は渋川方を.重機のいるところに線路があって,奥に積み込み場が設けられていたのだが…….でも,なにやら基礎構造物が造られつつあり,しかもそれは線路に付随するもののように,見える.

古い写真を見ると,渋川方からも側線が分岐していたようだが,一般貨物の扱いがなくなった頃だろうか,渋川方からの分岐は廃された.
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少し待っていたら,万座・鹿沢口行きの211系がやってきた.跨線橋の上から見送る.線路撤去前には,画面奥の,バラストが白い部分に分岐器があって2本の側線が敷かれ,渋川方の積み込み場へのびていた.

往年は下りホームの左手にも1本の貨物側線が敷かれていたようである.先日までの側線分岐部が完全に新しくなっているということは,もしかしたら,機回しが必要ではないGV-E197系での運用を前提とした配線に変更されるということなのかもしれない.
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大前方の工事の様子を見る.真新しいコンクリート製(?)擁壁の向うには,旧貨物ホームが見える.ここに新しい積み込み設備が作られるのだろうか.
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長野原線時代のホームの痕跡.右手下りホームには,ホーム端のスロープをコンクリートで積み増しして新ホームと接続している.左手上りホームも同様だが,延長部分のホーム幅が狭いので,スロープが一部そのまま残っているのが見える.画面右側,駐車場となっている部分に側線と貨物扱い所があった.
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やや古めかしいデザインの跨線橋.階段を降りきった辺りのホーム擁壁が,他の部分とは異なってみる.構内踏切の痕跡だと思うのだが,どうだろうか.

ということで,DD51の記事の中に,“小野上駅側線の改良工事中であり”という1行を記したいための,小野上駅訪問は,終わった.