北海道の狩勝峠といえば,かつてD51やC57が羊腸の道で力闘したもの.とはいえ,新線に切り替えられて既に半世紀近くが経過し,その姿を実際に見た人の数も少なくなってきた.
  もちろん現在のルートだって生易しい線形ではなく,僕が初めて車中から眺めた時には,地図を持って行ったにもかかわらず,ぞの全貌を把握することはできな かった.沿線に初めて立ったのは7年前の北海道特集の折り.その時のテーマの範囲ではなかったから,車輛取材の合間の,ほんの数時間に過ぎなかったが. で,それでもまだ,全貌を掴めないでいるわけである.

そんな狩勝峠の旧線のうち,新内(にいない)駅の跡には,9600と20系客車による“列車ホテル”が長い間営業していたが,廃業に伴い解体……の運命から救い出されて車輛の周囲にトロッコの線路が敷き詰められ“狩勝高原エコトロッコ鉄道”として人々に親しまれている.

その“狩勝高原エコトロッコ鉄道”では2月8日から3月2日まで,帯広市内の“帯広百年記念館”で,蒸機時代の狩勝峠を偲ぶ写真展を開催する.この写真展に出展される写真は,大崎和男,三品勝暉,村樫四郎,川本紘義,菊池彰,堀越庸夫,杉江 弘,村松 功のみなさん.弊社の“蒸機の時代”でおなじみの名前も多い.

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新内と狩勝信号場の間を行くD51牽引の貨物列車.画面右側に“阿寒岳を……”という標柱が見える.

写真:村樫四郎

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混合列車の客車から見たD51戦時型の後補機.新内と狩勝信号場の間.この時代,国道は冬期閉鎖となり,鉄道が唯一の交通機関だった.写真:村樫四郎

会場には旧線現役時代の写真だけでなく,往時の狩勝峠の立体地図も展示される.その地図上には撮影ポイントなどが記され,現代の人々にもこの峠道の険しさをより深く感じてもらうことができるという.
 さらに線路が生きていた時代と現在の“今昔”も展示され,この半世紀の時間が変えたもの,変化しなかったものを目の当たりにすることができるという.

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新旧比較写真の一例.現役時代は狩勝信号場に到着するC58牽引,D51後補機の混合列車.現在は樹木が成長して見通しが利かなくなっている.写真:村樫四郎

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期間:2月8日(土)から3月2日(日)
時間:午前9時から午後5時まで
場所:帯広百年記念館1階ロビー
入場無料
主催:狩勝高原エコトロッコ鉄道
協力:帯広百年記念館
   〒080-0846 北海道帯広市緑ヶ丘2番地
   電話0155-24-5352

写真展開催時期の道東は,まだまだ冬のさなか.残念ながら“エコトロッコ”は冬季休業中だが,折りしも運転されるJR北海道の“流氷ノロッコ”…2月1日~3月9日に網走と知床斜里で1日2往復運転…や,“SL冬の湿原号”…2月1日~3月9日に釧路と標茶の間で運転…の乗車や撮影と兼ねて訪問するだけの価値は充分にあると思う.みなさんも,是非!