こないだパリへ行ったのは,いつだっただろう……記憶を少し辿ってみると,答はすぐに出た.2007年9月のこと,レイルヨーロッパが主催する,ユーロスター英国国内新路線開業記念のプレスツアーにお誘いをいただいた時である.成田からエールフランス航空のボーイング777に乗って.
シャルル・ドゴール空港で降りて,そのまま駅へ向かうと,RERの電車が待っていた.
北駅まではすいすいと…でも,指定された宿までは道路の大渋滞に巻き込まれて,集合時間に間に合わなかったという,苦い思い出も,甦ってきたけれど,だからこそというべきか,鉄道の便利さも再確認できた,パリの思い出である.
翌朝,東駅から乗ったのは,開業して間もない,ストラスブール経由チューリヒ行きの路線.今ではこの塗装も“旧デザイン”となって,歴史記録に分類されるわけだが.
旅はストラスブールで途中下車して翌日チューリヒへ.さらにシティナイトライン(CNL)の寝台車に揺られてベルリンへ.ベルリンからはICEに乗ってケルン,ケルンからブリュッセルへはタリスで,そしてユーロスターに乗ってロンドンのセントパンクラス駅へ!という行程だった.
香港,韓国,インド,タスマニア,オーストラリア,そして日本から僕と桜井寛さんという,個性豊かなジャーナリストのチームだった.
この旅の模様は,当時のとれいん誌で詳しくレポートしたから,古くからの読者なら,ご記憶の方も多いだろう.
それから15年後の11月16日,フランス政府観光局……今は正式にはフランス観光開発機構(ATOUT-FRANCE)……から1通のメールが到着した.タイトルは“【記者発表会】エールフランス航空 日本就航70周年記念”.
会場は東京日本橋のビル群の一角.
ここがエールフランス日本支社事務所ではなくて,実際の事務所は青山四丁目交叉点のすぐ近くにある.
会見は,エールフランス航空/KLMオランダ航空 日本・韓国・ニューカレドニア支社長であるボリス ダルソー(Boris Darceaux)さんによる開会の辞に続いて,エールフランス・KLMグループ取締役執行役員 副社長 コマーシャルセールスのアンリ ドゥ ペイルロング(Henri de Peyrelongue)さんから,最近の同社の情勢と今後の事業展開についてのプレゼンテーションがあった.
それによれば,この3年間で需要は急激に落ち込んだ.けれど,COVID-19の蔓延時期も,そしてウクライナでの戦争が始まった今年2月24日以降も,エールフランスは,一日たりとも日本とフランスとの定期便を休止することはなかったと,誇らしく報告があった.
今年の半ばから需要は再び急速に回復しつつあり,2023年の座席供給量は2019年の7割程度を確保する予定.そのため,同社では新機材の投入や空港ラウンジへの設備投資を積極的に行なう予定しているという.
実は11月27日(記者会見の2日前)が,日本就航スタートの記念日だったということで,中盤は70年の歩みがムービーで紹介された.その冒頭に登場したのが……
ロッキードスーパーコンステレーション! 僕が幼い頃に絵本だったか新聞だったかで見た“尾翼が3枚もある飛行機”の正体.“AIR FARNCE”の文字が大書されていて,親に,読み方を教わり,世界地図でその場所を一所懸命に探したものである.それがフランスという国の存在を知った,最初だと思う.傍らで説明するのはボリス ダルソーさん.
続いてボリス ダルソーさんから,日本発着便について今後の計画が発表された.それによれば,現在の日本発着便は,成田発着便を週3便,羽田発着は週5便,そして関西空港は週3便を運行している. それに対して,来年の夏ダイヤでは週10便程度まで増便し,夜便は毎日運航とする計画である…….
機材は最新のボーイング777-300を投入し,フルフラットでフルアクセスで,フルプライバシーを確保したビジネスクラスに衣更えする.そして,休止していたファーストクラスも復活する.
ラ・プルミエール(La Première)のシート.シートというより,ホテルのラウンジである.長さ2mのベッドにもなる.もちろんシートだけではなくケータリングも一流のシェフが監修したメニューが用意される.
続いて,持続可能な航空燃料開発や,より経済的なエンジンの運用方法……例えば地上でのタキシングではエンジンを1基だけで移動するとか……の研究開発を行なう…….
21世紀の今日,日本から憧れの外国や地域へ向かうためにもっとも一般的な手段は,飛行機であることに間違いないだろう.
その飛行機だが,目的地の国や地域の会社の便に乗るのが最善であるというのが,僕の持論…というほどのものではないけれど…である.
だって,例えばエールフランスならば,2007年9月の便で2回目に出てきた機内食は,ご覧の通りの内容だった.
野菜類は日本産にちがいないだろうし,水もエールフランスの文字はあるが日本製.でもワインはペイ・ドックのシャルドネ,チーズもドレッシングもフランス産.砂糖がドイツの会社の製品というのはご愛嬌.
半分以上はフランスに到着したも同然.おまけにサーブするクルーの間で飛び交う言葉はフランス語.
ということで,記念記者会見に乗じての,改めての“目的地の会社の飛行機に乗りましょう”論(!?)なのであった.
※2022.12.02:副社長アンリ ドゥ ペイルロングさんの名前のつづり及び一部記述訂正
シャルル・ドゴール空港で降りて,そのまま駅へ向かうと,RERの電車が待っていた.
大きな時計の下の表示板には“全ての列車はパリへ行く!”
北駅まではすいすいと…でも,指定された宿までは道路の大渋滞に巻き込まれて,集合時間に間に合わなかったという,苦い思い出も,甦ってきたけれど,だからこそというべきか,鉄道の便利さも再確認できた,パリの思い出である.
翌朝,東駅から乗ったのは,開業して間もない,ストラスブール経由チューリヒ行きの路線.今ではこの塗装も“旧デザイン”となって,歴史記録に分類されるわけだが.
旅はストラスブールで途中下車して翌日チューリヒへ.さらにシティナイトライン(CNL)の寝台車に揺られてベルリンへ.ベルリンからはICEに乗ってケルン,ケルンからブリュッセルへはタリスで,そしてユーロスターに乗ってロンドンのセントパンクラス駅へ!という行程だった.
香港,韓国,インド,タスマニア,オーストラリア,そして日本から僕と桜井寛さんという,個性豊かなジャーナリストのチームだった.
この旅の模様は,当時のとれいん誌で詳しくレポートしたから,古くからの読者なら,ご記憶の方も多いだろう.
それから15年後の11月16日,フランス政府観光局……今は正式にはフランス観光開発機構(ATOUT-FRANCE)……から1通のメールが到着した.タイトルは“【記者発表会】エールフランス航空 日本就航70周年記念”.
会場は東京日本橋のビル群の一角.
ここがエールフランス日本支社事務所ではなくて,実際の事務所は青山四丁目交叉点のすぐ近くにある.
会見は,エールフランス航空/KLMオランダ航空 日本・韓国・ニューカレドニア支社長であるボリス ダルソー(Boris Darceaux)さんによる開会の辞に続いて,エールフランス・KLMグループ取締役執行役員 副社長 コマーシャルセールスのアンリ ドゥ ペイルロング(Henri de Peyrelongue)さんから,最近の同社の情勢と今後の事業展開についてのプレゼンテーションがあった.
それによれば,この3年間で需要は急激に落ち込んだ.けれど,COVID-19の蔓延時期も,そしてウクライナでの戦争が始まった今年2月24日以降も,エールフランスは,一日たりとも日本とフランスとの定期便を休止することはなかったと,誇らしく報告があった.
今年の半ばから需要は再び急速に回復しつつあり,2023年の座席供給量は2019年の7割程度を確保する予定.そのため,同社では新機材の投入や空港ラウンジへの設備投資を積極的に行なう予定しているという.
プレゼンテーション中の,アンリ ドゥ ペイルロングさん.
実は11月27日(記者会見の2日前)が,日本就航スタートの記念日だったということで,中盤は70年の歩みがムービーで紹介された.その冒頭に登場したのが……
ロッキードスーパーコンステレーション! 僕が幼い頃に絵本だったか新聞だったかで見た“尾翼が3枚もある飛行機”の正体.“AIR FARNCE”の文字が大書されていて,親に,読み方を教わり,世界地図でその場所を一所懸命に探したものである.それがフランスという国の存在を知った,最初だと思う.傍らで説明するのはボリス ダルソーさん.
続いてボリス ダルソーさんから,日本発着便について今後の計画が発表された.それによれば,現在の日本発着便は,成田発着便を週3便,羽田発着は週5便,そして関西空港は週3便を運行している. それに対して,来年の夏ダイヤでは週10便程度まで増便し,夜便は毎日運航とする計画である…….
機材は最新のボーイング777-300を投入し,フルフラットでフルアクセスで,フルプライバシーを確保したビジネスクラスに衣更えする.そして,休止していたファーストクラスも復活する.
ラ・プルミエール(La Première)のシート.シートというより,ホテルのラウンジである.長さ2mのベッドにもなる.もちろんシートだけではなくケータリングも一流のシェフが監修したメニューが用意される.
続いて,持続可能な航空燃料開発や,より経済的なエンジンの運用方法……例えば地上でのタキシングではエンジンを1基だけで移動するとか……の研究開発を行なう…….
21世紀の今日,日本から憧れの外国や地域へ向かうためにもっとも一般的な手段は,飛行機であることに間違いないだろう.
その飛行機だが,目的地の国や地域の会社の便に乗るのが最善であるというのが,僕の持論…というほどのものではないけれど…である.
だって,例えばエールフランスならば,2007年9月の便で2回目に出てきた機内食は,ご覧の通りの内容だった.
野菜類は日本産にちがいないだろうし,水もエールフランスの文字はあるが日本製.でもワインはペイ・ドックのシャルドネ,チーズもドレッシングもフランス産.砂糖がドイツの会社の製品というのはご愛嬌.
半分以上はフランスに到着したも同然.おまけにサーブするクルーの間で飛び交う言葉はフランス語.
ということで,記念記者会見に乗じての,改めての“目的地の会社の飛行機に乗りましょう”論(!?)なのであった.
※2022.12.02:副社長アンリ ドゥ ペイルロングさんの名前のつづり及び一部記述訂正