11月21日のここや,28日のここでも記した通り,えちぜん鉄道の7000系を採り上げることにしたのはいいものの,屋根上の写真をどこで撮影すればいいのか,随分と悩まさせられた.沿線地図を見ても,立体交差というものが,ほとんど存在していないのだ.
記憶にあるのは勝山永平寺線の松岡付近,国道がオーバークロスするところ.あとはえちぜん開発付近にある国道8号線のオーバーパスぐらいだろうか.でも,
真横写真と併せての撮影となると,三国芦原線の方が効率がよさそうなのだが…….で,沿線を地図で追っていたら,三国港の駅の外れに立体交差がある.ここ
なら,折り返しがすぐにやってくるから,効率よく違う角度の屋根上写真を撮影できそう.ということで,まずはロケハン.
それで三国港の駅に到着して,その立体交差を見てびっくり.立派なネジリマンポだったのである.
三国港駅のを出外れたところにあった,ネジリマンポ.しかも美しく整備されている.手摺も高くないから,屋根上写真の撮影にも使える.思わず小躍りしてしまったことである.
“ネ ジリマンポ”とはなんぞや,と思われる方もあるかもしれない.“ネジリ”の言葉から,なにかを捻ったとは想像していただけるだろう.その通り,煉瓦をネジ リながら積み上げる方法,あるいはそのようにして出来上がった構造物のことをいう.直交しない立体交差で用いられる.だから,それほど数は多くない.“ネ ジリマンボ”と記されることもあるようだ,“マンポ”あるいは“マンボ”の語源は,よくわからないそうである.
夕方の斜光線で見たネジリマンポ.駅側の壁面.実にみごとな,ねじれっぷりである.
駅と反対側の壁面.ツタでおおわれていて,全容を掴みづらいが,この方が自然な感じなので,僕は好きだ.こうしてみると,この跨線橋は,アーチ天井部だけが煉瓦造りで,あとは石積みであることがわかる.石を斜めに積むのを,避けたかったのだろう.
ネジリマンポの道路側.たもとには立派な説明板があって,大正2/1913年製であること,平成16/2004年に登録有形文化財に指定されたこと,福井県下のネジリマンポは,ここにしか存在しないこと,などが記されている.
そうそう,近鉄北勢線…三岐鉄道北勢線には,煉瓦ではなくコンクリートブロックに寄るネジリマンポが存在するそうだが,僕はまだ見たことがない.
外国では,ロンドンのフェンチャーチストリート駅の外れに存在するのを,2006年に見ているが,それ以外では記憶にない.ということは,発祥は英国なのだろうか…….
学術的な考察はさておき,煉瓦の橋を見る楽しみは,尽きない.