かねて動態への復元工事中のC58 239.いよいよ火入れ式が催された.
時は今日,場所はJR東日本の大宮総合車両センター…今でも大宮工場の方が馴染みがある人も少なくないかもしれないが….
今朝の関東地方は,いかにも12月らしく冷え込んだ.空は一面の深い青.今日は木曜日なので,“行き掛けの駄賃”として札幌からの“カシオペア”を大宮で
出迎えるべく,指定の時刻より早めに家を出たのだが,一昨日の札幌行きが強風のために運休になっていたのを,大宮への途中で思い出したのだった.ではせめ
て“北斗星”だけでもと思ったものの,定刻に姿を見せなかった.指定の受付時間に遅れてしまうと,何のために大宮までやってきたのか,本末転倒になる.諦
めて集合場所へ向かったのだった…もしかしたら昨冬あたりから正式に始まった,雪落としなどの作業時間を確保するため,宇都宮以南の所定時刻を20分程度
遅らせる“冬ダイヤ”が始まったのかとも思ったのだが,帰宅後に調べてみたら,今シーズンは上野着14日からだった.だから,途中で雪かなにかの影響で遅
れていたのだろう.
さて,指定の場所に集まった報道陣は,東京周辺だけでなく,この機関車が走る岩手からも多数が参加.大賑わいとなった.
このC58の復元の模様は,ブログではまだ採り上げていなかったが,本誌では3月号のCoffee Cupで最初の分解作業を,12月号ではボイラー載せをお伝えしている.

火入れ式の始まり.主催は大宮総合車両センター.60人以上の関係者が列席し,工事の進展を祝い,今後を祈った.

メインロッドと走り装置は未組み立てだし,煙室扉のナンバープレートは仮止め….しかし,主要なディテールは,この1枚の写真から見て取っていただけるだろう.
※いつも通り,画面をクリックしていただければ大きな画像が開きますが,せっかくなのでサイズを大きくしました.通信環境によっては展開に時間が掛るかもしれません.ご注意ください.
機関車の前方から順に挙げれば,まず前照燈.主燈も予備燈もシールドビーム.しかも予備燈の位置が際立って高いのは,郡山工場で検査修繕を受け持った蒸機,とりわけC58に多い特徴.例えば松木壽雄さんの写真集“山形の鉄道情景(下)”でも,陸羽東線のC58 161や22,114など小牛田機関区配置機に見ることができる.保存時の主燈は250WのLP403だったから,不思議に思う方もあるかもしれないが,実は現役時代に“復元”されているのだ.
ナンバープレートは新たに鋳造された新品が取り付けられる.数字の並びが乱れているように見えるのはオリジナルのとおり.煙室扉ハンドルは黒塗り.
端梁の連結器両側には4ヵ所ずつの穴が開けられている.これはスノウプロウ用.盛岡では必需品ともいえるが,C61と同様,ATS-Pの車上子を保護する
役目も担っている.現役時代は東北タイプの先端が前に突き出したタイプを取り付けていたが,恐らくはC61と同様の角度が弛いタイプになるだろう.
煙突は原形.郡山工場式集煙装置は取り付けられない.
発電機はC61と同じタイプを2基取り付け.キャブ前面の旋回窓もC61と同じ,現代の汎用品.
従台車とキャブの間の機械式速度計のロッドは未装着だったが,ダミーとして取り付け予定.
テンダー台車のうちキャブ側についてはATS-P用の速度検出装置を取り付け.これもC61と同じ装備.ちなみにテンダー車輪は新品の一体車輪に交換された.結果としてスポークは失われたことになる.
テンダー内部には重油タンクを取り付け.テンダー上辺から飛び出さないように,背が低くされた.そのタンク上面には列車無線アンテナを取り付けている.
テンダー背面では解放テコの向かって左側が短縮され,生み出されたスペースにジャンパ栓受けが新設された.
右端には太いパイプが目立つが,役割は不明.なにかのドレンか,あるいは給水パイプか.前照燈は未装着だった.

後方から見たテンダー.本体のみならず,台枠の側梁も腐蝕が著しく,新製せざるをえなかったという.キャブ側台車には速度検知装置…速度計発電機…が取り付けられている.
今日の儀式が済めば,作業はいよいよ大詰め.本格的に圧力を上げての各種チェック,走り装置の組み立てと調整へと進むことになる.年内には構内試運転が,年明け早々には高崎へ運んで上越線などでの本線試運転が実施されることになる.
岩手に運ばれ,客車を牽いての試運転が始まるのは2月だろうか.
年越しの大いなる楽しみである.