昨年12月3日から開催されている愛知県岡崎市の,おかざき世界子ども美術博物館での企画展“わくわく鉄道博物館2022 名鉄特急とジオラマの世界~パノラマカーを中心に~”は,とれいん本誌の2022年12月号“伝言板”でご案内したから,ご承知の方も多いだろう.
深く関与された,名古屋レール・アーカイブスの皆さん,とりわけ地元にお住まいの藤井 建さんからは,“ぜひに!”とお誘いを受けていた.
しかし,近くて遠い岡崎市.会期末である3月5日までに三河の地を踏むことができるかどうか……と思っていたら,先週のここで記した通り,四日市まで出向くことになったものだから,これ幸い.朝一番の“ひかり”を豊橋で捨てて,一路岡崎へ……いや,豊橋市内線で,まだ見ることができていなかった,福井鉄道から譲り受けたモ800形802との邂逅を果してから,ではあったが.
本宿や名電山中など懐かしい撮影地を快調に通過して到着した美合の駅で,藤井さんと落ちあう.近年はずっとメールでのやり取りに終始していたものだから,実に数十年ぶりの再会である.でもお互い“変わりませんねぇ”.いや,お世辞ではなくて.
博物館へは自分の足で向かいたかったのだけれど,なにしろ“子ども……”といいながら,公共交通機関というものが存在しないのだそうである.そこで,藤井さん運転の車のお世話になった次第.
博物館のエントランス.美合の駅から約2キロだそうである.でも,駅からはずっと上り坂.歩くならば30分以上をつもりしておいたほうがよいだろう.
入口から展示室全景を見渡す……ことはとても不可能.なにしろ数え切れないほどのパネルが壁面一杯に並んでいるだけではなく,幾つものコーナーがあって,全体を見ることができない.それだけ“ワクワク感”は増すことになる.
有名なエピソード,知らなかったことがら,さまざま入り交じっていて,パネル前での滞留時間が,とてつもなく長くなる.この“パノラマカーの誕生(3)では,最短の2輛と最長の10輛での運転を紹介.2輛編成の写真を撮影したのは白井 昭さん.
白井 昭さんといえば,僕たちの世代では大井川鐵道での業績が身近ではある.けれど,パノラマカーへの大きな関わりも,忘れることはできない.1月号で紹介した中日新聞社の新刊“名鉄岐阜線の記憶 1955-70”に収録された写真では,白井さんの,これまで知らなかった世界を垣間見ることができた.なにしろ数が多いばかりではなく,すぐれた描写の写真の数々に圧倒されてしまう.レイルNo.124で,藤井さんや服部重敬さんとともに,ヒギンズさんの写真解説に筆を揮っていただいた田中義人さんの解説も,写真の価値を大いに高めていると思う.
こんな展示物も…….隣りでは歴史的ムービーの放映も行なわれていて,ここでも足を長い時間に亘って留めさせられることになる.
締めくくりは,1970年代以降の名鉄パノラマカーの勇姿がずらりと並ぶ写真展.撮影者は,“レイル”のほか,“蒸機の時代”でもお馴染みの服部重敬さん.
その服部重敬さん,3月5日には田中義人さんとともに,講演会に参加される.
テーマは“名鉄の特急史”と“パノラマカーの保存”.
13時から15時までが“名鉄の特急史”.15時10分から16時40分までが“パノラマカーの保存”だという.参加費は無料だが定員は先着順で僅か50名というから,うっかりしていると,会場から人が溢れるかもしれない.近所の方も,そうでない方も,興味と関心のある方は,お聞き逃しのなきよう!
僕自身は次の旅程の都合があって,いささか駆け足で巡らざるをえなかったが,それでもたっぷり1時間.本当にじっくりと見て回ったら2時間はどうしても必要だろう.
“子ども博物館での企画展ですよね,これ”と藤井さんにも館の方にも,なんども確認してしまったほどに,大人でも充分に楽しむことができる……いや,大人が満足できない企画展を,子供が喜ぶはずがない,と,思いつつ,岡崎を後にしたのだった.
おかざき子ども世界美術博物館の基本情報をお知らせして,今回の締めくくりにしよう.
期 間:2022年12月3日(土)~2023年3月5日(日)
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日と年末年始(12月28日~1月3日),祝日の翌平日(1月10日,2月24日)
観 覧 料:一般500円 小中学生100円 ※20名以上の団体の場合,一般は400円で小中学生が80円.また各種障碍者の手帳を所持する者とその付添者1名は無料
深く関与された,名古屋レール・アーカイブスの皆さん,とりわけ地元にお住まいの藤井 建さんからは,“ぜひに!”とお誘いを受けていた.
しかし,近くて遠い岡崎市.会期末である3月5日までに三河の地を踏むことができるかどうか……と思っていたら,先週のここで記した通り,四日市まで出向くことになったものだから,これ幸い.朝一番の“ひかり”を豊橋で捨てて,一路岡崎へ……いや,豊橋市内線で,まだ見ることができていなかった,福井鉄道から譲り受けたモ800形802との邂逅を果してから,ではあったが.
お昼過ぎ,名鉄豊橋駅のホームに出てみると,やってきたのは真っ赤に装われた3500系.“やっぱり名鉄はこうでなくちゃ”と思いつつ先のほうまで歩いて行ったら,途中からステンレス色に変わった.番号は3260と3160.はて…….先頭の塗装は最新モード.車内の製造銘板を見たら2008年とある.もしかして,5500系やパノラマカー7000系,7500系ばかりか5700系や5300系まで引退に追い込んだ張本人の一派か?と思い当たった.豊橋方に組まれていた3500系の後継車でもある…のでは,ないだろうかと思い当たった……帰宅後に調べてみたら,この推定は,概ね正しかったようである.
豊橋駅に停車中の3260.3300系…3150系は増備途中で塗装デザインが変更となり,それまでに就役していた車輛も,新塗装に変更されたようである.隣りには飯田線の313系が到着したばかり.
本宿や名電山中など懐かしい撮影地を快調に通過して到着した美合の駅で,藤井さんと落ちあう.近年はずっとメールでのやり取りに終始していたものだから,実に数十年ぶりの再会である.でもお互い“変わりませんねぇ”.いや,お世辞ではなくて.
博物館へは自分の足で向かいたかったのだけれど,なにしろ“子ども……”といいながら,公共交通機関というものが存在しないのだそうである.そこで,藤井さん運転の車のお世話になった次第.
博物館のエントランス.美合の駅から約2キロだそうである.でも,駅からはずっと上り坂.歩くならば30分以上をつもりしておいたほうがよいだろう.
入口から展示室全景を見渡す……ことはとても不可能.なにしろ数え切れないほどのパネルが壁面一杯に並んでいるだけではなく,幾つものコーナーがあって,全体を見ることができない.それだけ“ワクワク感”は増すことになる.
有名なエピソード,知らなかったことがら,さまざま入り交じっていて,パネル前での滞留時間が,とてつもなく長くなる.この“パノラマカーの誕生(3)では,最短の2輛と最長の10輛での運転を紹介.2輛編成の写真を撮影したのは白井 昭さん.
白井 昭さんといえば,僕たちの世代では大井川鐵道での業績が身近ではある.けれど,パノラマカーへの大きな関わりも,忘れることはできない.1月号で紹介した中日新聞社の新刊“名鉄岐阜線の記憶 1955-70”に収録された写真では,白井さんの,これまで知らなかった世界を垣間見ることができた.なにしろ数が多いばかりではなく,すぐれた描写の写真の数々に圧倒されてしまう.レイルNo.124で,藤井さんや服部重敬さんとともに,ヒギンズさんの写真解説に筆を揮っていただいた田中義人さんの解説も,写真の価値を大いに高めていると思う.
反対側の壁面から見たパネルの数々.真ん中を走るのはNゲージレイアウト.
振り返って見る壁面にもパネルがぎっしり.そういえば,気動車8000系と8500系は,パノラマカーの範疇には入らないようだが,連続窓のイメージから,僕にとっては,“お仲間”.8500系は,2月号のMODELERS FILEで採り上げたキハ85系とほぼ同時期のデビューで,深い関係にあった.こんな展示物も…….隣りでは歴史的ムービーの放映も行なわれていて,ここでも足を長い時間に亘って留めさせられることになる.
締めくくりは,1970年代以降の名鉄パノラマカーの勇姿がずらりと並ぶ写真展.撮影者は,“レイル”のほか,“蒸機の時代”でもお馴染みの服部重敬さん.
その服部重敬さん,3月5日には田中義人さんとともに,講演会に参加される.
テーマは“名鉄の特急史”と“パノラマカーの保存”.
13時から15時までが“名鉄の特急史”.15時10分から16時40分までが“パノラマカーの保存”だという.参加費は無料だが定員は先着順で僅か50名というから,うっかりしていると,会場から人が溢れるかもしれない.近所の方も,そうでない方も,興味と関心のある方は,お聞き逃しのなきよう!
僕自身は次の旅程の都合があって,いささか駆け足で巡らざるをえなかったが,それでもたっぷり1時間.本当にじっくりと見て回ったら2時間はどうしても必要だろう.
“子ども博物館での企画展ですよね,これ”と藤井さんにも館の方にも,なんども確認してしまったほどに,大人でも充分に楽しむことができる……いや,大人が満足できない企画展を,子供が喜ぶはずがない,と,思いつつ,岡崎を後にしたのだった.
おかざき子ども世界美術博物館の基本情報をお知らせして,今回の締めくくりにしよう.
期 間:2022年12月3日(土)~2023年3月5日(日)
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日と年末年始(12月28日~1月3日),祝日の翌平日(1月10日,2月24日)
観 覧 料:一般500円 小中学生100円 ※20名以上の団体の場合,一般は400円で小中学生が80円.また各種障碍者の手帳を所持する者とその付添者1名は無料