国鉄のC55,C57といえば,我が国の鉄道事情によく合致した大きさと性能で,蒸機現役最終期まで,四国を除く全国で愛用された.ここの読者にも,各地での思い出をたくさんお持ちの方がおられるだろう.
 そんなC55とC57の写真だけを集めた写真展が,東京の上野で開催されている.撮影者は,諸河 久,寺師新一,羽賀美知雄のお三方.
 いずれも,昭和40年代の“鉄道ファン”誌で,現役時代の彼女たちの美しい写真をたくさん披露しておられて,僕など,ただただその写真を眺めて溜め息をついていたものである.
 それから40年.こじんまりした会場に凝縮されたC55とC57の姿は,往年を知っている人にも,現在のC57 1やC57 180しか知らない人にも,その魅力を,改めて存分に味わうことができる,いい機会だろうと思う.題して“ぼくら青春のC55・C57”.

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こじんまりとした会場に,昭和40年代の彼女たちの姿が密集している.画面右端の,日本海沿いを走るC57の写真は,昭和46/1971年に交友社から発行 された“SL No.3”に二頁大で掲載された時,溜め息をつきながら眺めた,寺師さんの作品.もちろん,会場はこの写真に写っている一角が全てというわけではない

C55 とC57と,ひとくくりにいうが,それぞれに“ご贔屓筋”があって,やれ,C55は煙室が角張っているのが美しくない,とか,C57は箱型輪心がスマート さに欠けるとか,“酒場談義”のネタにはこと欠かない.僕はといえば,子供のころからのお馴染みということで,やっぱりC57が好きなのだろう.箱型輪心 だって,後端が斜めに流れた蒸気ドームとのマッチングは悪くないじゃないかと思うし,スポークの美しさといえば,やっぱり“水かき”のないC54やC51 の動輪の方が,さらにスッキリしているようにも思う.そういえば,大好きなのは,C54,のはず,なのだった.僕は.

機関車の美しさとともに,デジタルプリントでしっかりしたモノクロ写真の色調を再現していることでも特筆すべき,必見の写真展だと思う.皆さんも,是非.

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右から,寺師さん,諸河さん,羽賀さん.僕にとっては,みんな憧れの名前だった.

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会場は,昨年7月に蔵重信隆さんの国内鉄道写真展が開催されたのと同じ,ユニバーサルカラーの“フォトギャラリーUC”.会期は10月1日から10月29日まで


※ここに掲載した会場風景は,ブログへの掲載のため事前に許可を得て撮影したものです.