東急車輌製造が,4月2日に東急電鉄の系列から離れてJR東日本の100%子会社に移行したことは,本誌の今年4月号に掲載した.
4月上旬に出来上がった京急新1000形1153ほか8輛編成以降,総合車両製作所の製造銘板を取り付けた車両は続々落成しているわけだが,親会社であるJR東日本向けの第1号は,意外にも設立後4ヵ月以上を経た,今日となった.
同社ではこの初落成を記念して“JR東日本向け第1号完成記念式典を挙行した.その模様を取材して来たので,お伝えする次第.
なお,今月7日には,日本機械学会から,同会の“機械遺産”51号として,同社敷地内で保存されている東急電鉄デハ7000形と5200形が認定された.この車輛たちとその周辺も撮影できたので,同時にお伝えしよう.
正門からほど近い場所に置かれたデハ5201の脇には,“ステンレス車両発祥の地”というステンレス製の碑が建てられていた.今年1月がオールステンレス車完成から50年であることを記念したもの.
保存車のそばに設けられた“歴史記念館”も,表札を新たにしていた.展示も歴史の経過に従って更新されている.写真手前に東急の電車たちが置かれ,建物の向う側には佐久間レールパーク閉鎖に際して余剰となった新幹線0系22形の先頭部も保存車に加わっていた.
日本機械学会から授与されたプラーク(画面左)と感謝状(画面右).8月7日というのは,平成18/2006年に制定された“機械の日”なのだそうだ.機械遺産の認定は,その記念行事の一環として行なわれているもの.
この保存車は,デハ7052が加わった平成21/2009年8月にこのブログでも紹介している.あれから3年を経ているわけだが,車体の艶が当時とほとんど変らない…むしろ輝きを増しているようにみえたのは,単なる目の錯覚ではないと思う.
さ てそれで完成式.JR東日本の細川明良執行役員運輸車両部長,同社水戸支社の東野照道運用車両課長,そして総合車両製作所の宮下直人社長の3人でテープ カットが行なわれたわけだが,その前のスピーチでは,落成第1号となった車輛がE657系であることについて,一入の思い入れを語っておられたのが印象的 だった.このE657系は常磐線特急の新世代車輛として企画されたわけだけれど,編成が出来上がる前にに東日本大震災と東京電力福島原子力発電所事故が発 生……その結果として常磐線は長きにわたっての分断が必定となり…….
E657系K9編成の前で催された完成式.テープの前に立つのは,画面左からJR東日本水戸支社の東野課長,細川運輸車両部長,そして総合車両製作所の宮下社長.
テープカット後,正門前付近まで自力で走行したE657系を前に,関係者一同で記念写真撮影.自動車の特装部門や立体駐車場部門が分離されて,こじんまりした
所帯になったせいもあろうか,なんとなく“和気藹々”という言葉が頭に浮かんだのだった.今日の青空やみなさんの晴れやかな表情と同じように,この新しい
会社と社員の皆さんに,明るい未来があるよう願っている.
※2012.08.11:一部役職名及び一部語句修正