3年前の8月,“富山の射水と韓国の仁川の写真展”をこのブログで紹介した.その撮影者である高島史於さんから,今度はベトナムの写真展を開催するとの案内が届いた.題して“高島 史於 写真展 「3x20の旅」”.

ベトナムという国への関心,“3×20”というタイトルの意味への興味もあって,初日の6月22日に会場を訪問してきた.
 会場は,東京,新宿の新宿三井ビル1階にある“エプソンイメージングギャラリー エプサイト(epSITE)”.
 高島さんの気持ちは会場に入る前から伝わってきて,“なんだろう”と思ったら,それもそのはず,会場外の壁面にも少なからぬ数の“ベトナム”が既にあって,通りがかりの人々に訴えかけていたのだった.

MT-20120628-01
まだ見ぬベトナムを,どのように表現されたのか興味津々で駆けつけた,高島史於さんの写真展.高島さんとは,2002年に西スイスを一緒に旅した仲.そういえば,この秋でもう10年になる……

MT-20120628-02
会場に入る前から感じられたオーラの源(!?).普通の通路に面したウィンドウに展示されたベトナム風景の数々.

高 島さんの本業(?)は舞台写真.しかし,それだからこそというべきか,風景の中に溶け込んだ人々の表情を捉えるセンスはすばらしいと,いつも思う.今回も その“技”は存分に発揮され……展示されている写真の中に,なにやら見覚えのある顔が……と思ったら,なんと,奥様が出演されているではないか.
 とりわけ,ダラットという街のホテルでの朝食風景に登場するご婦人が,なんとも自然な写り込みで,どこのモデルさんかと思うほど.いや,本当の話です.

ということは,今回のベトナムへの旅はご夫婦で,ということになる.そこで登場するのが“3×20”の解.
 “3回目の成人式”なんですよと高島さん.“ベトナムへの旅は,その記念なんです.ふたりして《もうそろそろ家に帰ろうよぉ》と思うまでベトナムに滞在したいねぇ,というのが,目標でした”
 結果的には63日間,約2ヵ月の旅になったそうだが,その間には雲南省との境界であるラオカイにまで達した.

僕 にとって,ベトナムの風景や人や建物の他に興味を惹いた写真は,まず,ダラットの駅風景.駅構内での結婚式という特異な風景ももちろんだけれど,その背景 にいる機関車が,なんと,わが国鉄C12であることに驚いてしまった.ベトナムでの番号は131-428.かの地での現在の姿を,こういう形で確認するこ とになろうとは,夢にも思わなかった.

MT-20120628-03
会場の一面.画面右上がダラットのエンプレス・ホテルでの朝食風景.その左はフランス人が作らせた邸宅の庭.古いフランス製のトラクシオンアヴァン(シトロエン)が庭に待機しているという演出が心憎い.

会場にはこのほか,ハノイ市内に架かる道路(といっても歩行者と自転車専用)と鉄道の併用橋“ロンビエン橋”に,鉄道風景を見ることができる.
 さらに,この写真展に合わせて制作されたデジタル写真集には,夜の鉄道駅風景や,田園風景を走る列車の写真も含まれており,それらは会場の机に置かれたアルバムで見ることもできる.

MT-20120628-04
会場内の展示状況.ベトナムに興味のある人はもちろん,そうでない人にも,数は多くないけれど,優れた鉄道情景写真を鑑賞するためにも,出向く価値充分の写真展.

MT-20120628-05
高島史於さんと高島浩子さん.おふたりそれぞれ別々に“長い旅で意見が分かれることはありませんでしたか?”という問いかけをしてみたけれど,答えはみごとに一致“いいえ”.なんとも羨ましい,仲睦まじさである.

会期:平成24/2012年6月22日(金)~7月5日(木) 10時30分~18時(最終日は15時まで)
休館:日曜日

※ここに掲載した会場風景は,ブログへの掲載のため事前に許可を得て撮影したものです.
 

※2012.06.29:旅程及び一部語句修正