東京駅丸の内駅舎復原工事の進行状況をお伝えしたのは,昨年9月29日のここだった.その時点では足場をよじ登るような体制での撮影取材だったけれど,今回は6月の一部接客設備使用開始を目前に控え,仮囲いがほとんど取り払われた外観のほか,内装が仕上がった部分も報道関係者に公開するとの案内がJR東日本から届いたので,さる5月27日の日曜日,勇んで駆けつけたのだった.

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工事事務所のベランダから見た外観.昨年9月29日のエントリで最初に掲載した写真とほぼ同じ場所からの撮影である.

随 所に施された装飾は,オリジナルの部材を活用した部分と新しく制作した部分とで色が異なっているけれど,あえて色合わせなどせず,自然に変化していくのに 任せることにしているという.それは屋根のスレートや銅板も同じ.銅板は既に赤銅色から黒になっている.あと数年で立派な緑青色になることだろう.

今回は東京ステーションホテルの設備も一部公開された.
  最初に案内されたのが,中央口“屋根裏”に設けられる“アトリウム”と名付けられた朝食堂.ドームの駅ホーム側をガラス張りとして,朝の自然光を浴びなが らの食事を楽しむことができるように工夫された.ユニークなのは,内壁の一部にオリジナルの煉瓦を露出させてクラシックな雰囲気を味わってもらおうという 趣向.一般のお客さんからはどのような反応を得られるだろうか.

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アトリウム.左に見えるのが,丸の内駅舎オリジナルの煉瓦壁.天井の東側をガラス張りとして朝日を取り込んだ朝食堂を演出.

客室は,駅前広場に面した部屋と南口ドームに面した客室がそれぞれ一部屋ずつ,モデルルーム的に整備してあって,開業後の雰囲気をちょっとだけ味わうこともできた.
 どちらがいいのか,好みが別れるところだけれど,ドーム天井を眺めることができるホテルというのは,なかなか存在しないだろうから,ドームサイドの部屋が,重要なセールスポイントになるのいは間違いないことだろう

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ドームサイドの一室.装飾を愛でながら一献傾けて…….悪くない一夜にはなりそうだ.この部屋のラックレート(定価)は60,000円弱とのこと.

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部屋からのドーム内部の眺め.地上にあった時にはとてつもなく巨大だった鷲の彫刻も,こうやって眺めると普通の大きさ.安全確保の観点から回廊に出ることができないのは残念.

そして東京ステーションギャラリーの予定地.かつての北口ドームの南側から,駅舎北端に移動したが,その分,面積は大幅に拡大しており,充実した展示内容が期待される.
 なお,ギャラリーの入り口から展示室へ移動する途中には北口ドームの2階回廊を通る.ホテルの客でなくても装飾を近くで鑑賞することができるわけだ.

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ス テーションギャラリー2階展示室予定地.ここでも内壁に煉瓦が生かされている.この部屋へのゲートには鉄骨の柱構えが残されているが,そこには英国の Frodingham Iron Companyの銘がさりげなく見えるように演出されている.東京駅では,他に八幡製鉄所と輸入レールでおなじみのカーネギー製の鉄骨が使われているとい う.3階展示室はモダンなインテリアに仕上げられる.

ということで,来たる6月3日には北口の改札やびゅうプラザなどが使用開始となるほか,17日には南口のみどりの窓口や改札の外のトイレがオープンする.そして7月1日には中央口の改札も使用開始.
 待たれるグランドオープンは10月.ステーションホテルは10月3日から営業開始の予定となっている.