一昨日のこと,千葉都市モノレールの最新型車輛“アーバンフライヤー”こと0(ゼロ)形の撮影にお邪魔してきた.
この路線が最初に開業したのは昭和63/1988年のことだというから,もう24年が経過したことになる.そろそろ車輛の更新が始まってもおかしくはない時期である.
その新車輛の構想は,もう随分前(4~5年ほども経つだろうか)に始まっていて,“とれいん”の“いちぶんのいち情報室”でお伝えした記憶がある.
その後,折りに触れて“あれはどうなったのかなぁ”と気にしてはいたのだが,昨年の後半,“いよいよ出来上がります”という報を耳にして,公開を心待ちにしていたのだった.
さ て,赴いたのは動物公園駅.ここが車庫と本社の最寄り駅で,改札前に集合した後,まずは車庫から出庫してきた新車輛に試乗し,終点の千城台(ちしろだい) まで一往復.在来車とは外観も内装もおおいに異なっていて,観るべきところ満載なのだけれど,“走っている状態”で観察しておきたかったのが,“空中飛行 鉄道”というコンセプトの一環として運転室の床に設けられた“下方観察窓”.懸垂式モノレールならではの“車窓風景”として,この車輛のセールスポイント (?)のひとつなのだけれど,ガラスの向こうには走る自動車や歩行者などが写っている方が,実感味が高いと思ったからである.

モノレールの真下で右折していく乗用車……こんな車窓風景,いままでにあっただろうか.まるで,湖や海の観光船“グラスボート”で海中の風景を見ているような気分だった.
取 材陣…いつもの鉄道趣味月刊誌各社メンバー…一同,“露出がむつかしいねぇ”とか“タイミングを狙ってたら齣数が増えちゃって.フィルムのころだったら使 いすぎっって叱られたかも”などと感想とも何ともいえないことを口々に発しながらの撮影.みんな,嬉しくて興奮していたのは間違いない.
話の行きがかり上,外観よりも先に,客室の全景をお目に掛けよう.どこかで見たことがあるような……つい先月に取材したばかりの京阪13000系や8000系更新車に通ずる造形と色遣いであった.デザイン検討委員会の中に,共通のメンバーがおられたのだろう.
一人分ずつ完全に独立したロングシートは最近のトレンドだろうか.背もたれ上部の円弧形状と色遣いが,京阪8000系更新車などに似ているようなそうでないような…….

さてこの“アーバンフライヤー”,製造は三菱重工.今回は全部で4編成を投入の予定.来年度以降,具体的な数は未確定ながら,順次,在来車を置き換えていきたいとのことである.
さ
て外観.試乗を終えて車庫の留置線での撮影だったが,東京の上野動物園のモノレールは地上から上を向いての撮影しか方法がないと聞いていたものだから,ど
んな展開になるのかと思っていたら,ちゃんと(?)地上線があって,目の高さでの撮影が可能だった.ただ,いつもの車庫での撮影とは全く趣が変っていて,
地面は普通の土.洗車機は両側面のほかに地上にもブラシがあって,車輛の床を洗浄するようになっているし…….
で,先ほどの地上観察窓を苦労して撮影していたら“入出庫線に転線しましょうか”との有難いお言葉.そこで地上から見上げての撮影となった次第.

入出庫線に留置中の“アーバンフライヤー”第1編成.これまでの実用本位から“乗ってみたくなる”車輛へ,というコンセプトがみごとに具現化されているといえよう.運転室部床面の四角い枠が“下方観察窓”.
こ の車輛,側面も前面も下へ向かって絞られるような傾斜があるので,各方面の写り込みが激しい.そのことは事前に“写り込みが激しいので偏光フィルターが あったほうが……”というアドバイスをいただいていたのだけれど(新車取材でこのようなアドバイスはきわめて珍しいこと),偏光フィルターは持っていな い.何とかなるさと思っていたら,K社のTさんが“アドバイスに従って買って来たよ.使ってみる?”とのことで,試用させてもらったところが,その効果に ビックリ仰天.さっそく僕も……とは思ったものの,価格が…….今後の課題である.
そろそろ取材も終了かという頃,誰かがつぶやいた“台 車ってどうなってるんだろう”という言葉を,担当の方が気にしてくださって“第2編成が検査線にいるから,見せてあげよう”ということになった.通常は, 屋根上機器(これもカバーされていて見えないが)のさらに上の,桁の中に隠れていてまったく見えない,けれど大切な部分だけに,一同,異論があるはずもな い.

見せていただいた台車.基本構造は在来車と変らないが,主電動機は三相交流誘導機に変更されている.主電動機の端に取り付けられたディスクは駐車ブレーキ
用.集電装置は中央部に空気上昇式のプラス側が,両側面に常時接触式のマイナス側が各台車に分散して取り付けられている.
ということで,全部終わった頃には周囲はすっかり薄暗くなっていた.普段の鉄道の車庫とは,まったく違ったルーチンでの取材に,とても戸惑いはしたものの,なんとも目新しくて興奮してしまった僕である.7月に予定されているデビューが待ち遠しい.
