先日の京阪電車13000系取材で は,新しい本や進行中の題材に関する打ち合わせ,そして大阪の本屋さんの様子を観察するなど,いろいろな仕事を併せてこなしてきた.例によって例の如く, 物見遊山の余裕はあるわけもないのだけれど,市内での打ち合わせと打ち合わせの合い間の時間を盗んで,前から気になっていた建物をいくつか,改めて観察し てきた.

大阪の堺筋といえば,御堂筋ができるまでは随一の目抜き通りだったということは,高麗橋の八木通商ビルを紹介したときにも記した.戦災をくぐり抜けた建物が,昭和30年代までは数多く存在しただけれど,平成の御世となっては残り少なくなってしまった.そればかりか,第2次世界大戦後の建築物ですら,どんどん数を減らしている.

そ んな中で,本町から少し南へ下がったところにある教会は,古さを主張しすぎることなく,子供の記憶にも残る建物だったのだけれど,近年になって修復された ということで,気になっていた.それで,もちろん外観を一瞥しただけではあるけれど,周囲の風景に融け込んだ,自然な面持ちが残されていて,とても嬉しく 思ったことである.

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これがその教会.訪問時間帯が悪くて日陰になってしまった.通りの西側に面しているのだから,午前中に行くべきなのは,わかってはいることなのだけれど,出張の合い間となれば,それもままならぬこと.

正式名称は大阪日本橋キリスト教会(おおさかにっぽんばしきりすときょうかい).日本フリーメソジスト教団という宗派に属するのだそうだ.宗教のことはよく解らない.ご興味のある方は,教団名からインターネットで検索していただければ幸い.

大正14/1925年製の鉄筋コンクリート製だというが,設計者も施工者も不明というところが,なんとも残念.しかし,あるいみ楚々としていいではないか.

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実に質素な薔薇窓…と呼んでいいのでしょうね.

向かいは,大阪旧市街地の人たちの胃袋を預かる黒門市場(く ろもんいちば).南北1本の通りだけでなく交差する何本もの東西の通り,すべてが食料品とそれに関連する“物”のお店.京都の錦市場ほど観光客ずれしてい ないところが好きなのだけれど,今回は素通り.なぜならば,生活している者でなければ,冷やかすことしかできないから.

それで,ちょっと冷やかして堺筋に戻ったら,今まで気づかなかった,妙な建物が目に入った.

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外壁は,テラコッタというか化粧タイル張りで昭和初期モダンの香り高いのだけれど,それと純日本式の屋根の組み合わせが何ともユニーク.しかも,今は1階がメロンパン専門店という…….

まだまだあっちこっち寄り道したくなったのだけれど,心を鬼にして(?)次の待ち合わせ場所に向かった僕である.